第68話 奥義激突! 勝利はどちらの手に!?
「かあああっ!!」
ドン! ヤーバンが突き出した右手から放たれた不可視の衝撃波がシャイニーフェニックスを襲う! 彼女は腕をクロスさせガードするもそのまま後方に吹き飛ばされていく。
「ずおあああああっ!!」
ヤーバンはダッシュを掛けると飛ばされていくシャイニーフェニックスを追い抜き背後に回り身体を回転させ蹴りを放つ!!
「ぐふぅっ……」
呻き声を上げるシャイニーフェニックスには構わず、奴はそのまま彼女の足を掴むとそのまま大きく腕を振り上げ地面へと叩きつける!!
――ズガアァァァンッッ!! 轟音と共に土煙が舞い上がる中、ヤーバンは飛び上がると下方に向けて両腕を突き出す。
「ギガントクラッシュ!!」
――ドオオオオン!! 轟音と共に地面に底すら見えないほど深い大穴が穿たれこちらにまで衝撃が来る!
再び情けない声を上げながら飛ばされそうになっているルビィの身体を掴みながら、俺は内心気が気ではなかった。
これだけの攻撃に晒されたとあれば、いくらシャイニーフェニックスが強くなったと言えど……。
そして、そう考えたのは俺だけではなかったようで、ヤーバンは勝利への確信に満ちた笑いを浮かべながら上空から自らが作り出した大穴を見下ろしていた。
「ふっはははは、シャイニーフェニックスよ、貴様もなかなか頑張ったがやはりこの俺には遠く及ばなかったようだな! だが、あの世で自慢するがいい、この俺に本気を出させただけでも貴様は称賛に値するのだ!!」
高笑いをしつつ言い放つヤーバンに、俺は怒りを感じ拳を握りしめる。
クソッ、体力さえあれば今すぐにでも奴の顔を殴りつけてやるのに……。
しかし、そんな俺の耳に空気を切り裂くような甲高い音が聞こえてきた。
なんだ……?
思った瞬間、大穴の中から一条の光が飛び出しヤーバンに向かう。
「スーパーフェニックスアッパー!!」
その光の正体は凄まじい勢いで奴へと突撃していくシャイニーフェニックスだった!
――ドゴォッッ!! 鈍い音が響き渡り、ヤーバンの顎へと突き刺さった一撃は、奴の身体を上空高く吹き飛ばしていく。
「う……はぁはぁはぁ……あ、危なかった……我ながらよく耐えたもんだよ……」
シャイニーフェニックスは地面に降り立つと片膝を突き息を荒げている。
先ほどの攻撃はなんとか防ぎきったものの、ダメージは決して軽くはなかったようだ。
「シャイニーフェニックス!」
名を呼び駆け寄ろうとする俺だったが、彼女は手を突き出し制止する。
「シュナイダーさん、まだ戦いは終わってません。この戦いには手出しをしないって約束、でしょ? それに、言ったら悪いですけどまだエネルギーの回復してないシュナイダーさんがこっちにきても、戦いの邪魔なだけですから……」
シャイニーフェニックス……こいつ……言うようになったじゃないか……。こんな時だというのに俺は彼女の成長に口元が緩むのを感じたのだった……。
「さあ、そろそろ決着の時は近いわね。次はどんな攻撃を仕掛けてくるの!?」
シャイニーフェニックスは上空に視線をやり、その先のヤーバンに向けて問いかける。
「決着の時か……いいだろう、見せてやろう。このヤーバン・ジーン最大の必殺技を!」
応えるように叫ぶと、ヤーバンはエネルギーを集中させていく……。
「エネルギー計数15000……16000……まだだ、まだエネルギーが上昇していく……! シャイニーフェニックス、ヤバイよあれは……なんとかして逃げるしかない!!」
エネルギーを計測しながら警告を送るルビィだったが、シャイニーフェニックスは首を振る。
「それは無理だよ、仮に私が避けられても、シュナイダーさんやルビィは間違いなく巻き込まれ死んでしまう……。それに、あれはそんな甘い技じゃない、何しろヤーバンがあれだけ自信を持って繰り出そうとしている技だもの。きっと受け止めるか迎撃するしかないんだと思う!」
「だけど……」
「いいから下がってて! 私も最大の技であれを迎え撃つから……!」
そう言い放つと、シャイニーフェニックスも全身に力を込め始めるのだった――!!
「な、なんだあれ!?」
ほどなくして、ルビィが驚愕の声を上げる、その理由はシャイニーフェニックスの周囲の空間の歪みだった。
「空間を歪ませるほどの凄まじいパワーか……!」
しかし、ヤーバンの周囲でも同じ現象が発生していた。つまり、二人の発するエネルギーはほぼ互角ということだ……。
そして、ついにその時は訪れた……!!!
「この空間ごと消滅するがいい! グランドヤーバンバスター!!」
咆哮と共にバッと突き出されたヤーバンの両手から真っ黒い光としか形容できないものが放たれた!
「私は負けない! フェニックスストリーム!!」
呼応するようにシャイニーフェニックスは赤く輝く光線を撃ち出した!
赤と黒、二つのエネルギーが突き進み、中間地点で激突する!!
「馬鹿な!? 俺のグランドヤーバンバスターと互角だと……!!」
ヤーバンの驚愕に満ちた声が響く中、バチバチバチッと激しいスパークを巻き起こしながら二つのエネルギーはせめぎ合う。
「ぐ……ぐぐ、ぐ……!」
「くっ、パ、パワーが……。やっぱり、あいつの方がまだ……」
ダメだ! シャイニーフェニックスの方が僅かに弱い……!
「う……」
ガクガクと膝を揺らすシャイニーフェニックスだったが、その時ルビィが叫んだ。
「シャイニーフェニックス頑張れ!! 君なら勝てる!! 君はヒーローでしょ! ヒーローはどんな相手にだって負けないんだーーーー!!」
「そ、そうだ、シャイニーフェニックス、見せてくれ、君の本当の力を!!」
ルビィに釣られるように俺が叫んだ、と同時にシャイニーフェニックスの瞳がカッと見開かれ、「うあああああああああ!!!」と喉の奥から搾り出すような雄叫びを上げた!!
「な、なんだ急にパワーが増し……」
ヤーバンの戸惑いと驚きの声を遮るように、輝きを増したフェニックスストリームがグランドヤーバンバスターを飲み込み押し返していく!
「ぐ、お、おおおおおおおおお!!」
そしてそれはそのままヤーバンすらも飲み込み、上空へと飛び去って行ったのだった……。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
シャイニーフェニックスはしばし、肩で息をしていたがやがて息を整えると、ふうと一つため息を吐く。
「終わった……」
彼女の呟きに、俺も心の底から安堵し、彼女に視線をやる。
彼女がこちらを向いて小さく微笑んだその瞬間。
「シャイニーフェニックスーーー! やったね! 凄かったね! ボクは君なら絶対勝てるって信じてたよ!!」
ルビィが俺の手から飛び出し、彼女の胸の中へと飛び込んでいった。
「ルビィ……ありがとう……」
シャイニーフェニックスは優しい手つきで彼の頭を撫でると、こちらに視線を向けてくる。
「シュナイダーさん、ありがとうございます。私が勝てたのも、全部シュナイダーさんのおかげです。あいつ以外の敵と戦って私の体力を温存してくれたり、特訓をしてくれたり、本当にシュナイダーさんには感謝してもしきれません」
そう言って頭を下げてくる彼女に俺は首を振る。
「君を任命した者として当たり前のことをしたまでだよ。それに、君があいつに勝てたのは君自身の力の賜物だ。胸を張るんだ!」
俺の言葉に彼女は少し照れたように微笑むのだった……。
「ふ、ふふ、ふふふふ……。そういうやり取りをするのにはまだ早いのではないのか……」
勝利ムードに水を差すように背後から声が響く。
バッと振り返ると、そこには全身ボロボロながらもしっかりと両の足で立つヤーバンの姿があった!
「貴様、まだ生きて……」
「さっきも言っただろう、伊達にギーガーク帝国の将軍ではない、と」
そう笑うヤーバンだったが、シャイニーフェニックスが歩み出てビシッと指を突き付ける。
「だけど、もうボロボロじゃない! 私も疲労してるとは言え今のあなたほどじゃない、このまま戦いを続ければ間違いなくこっちの勝ちよ!」
確かにその通りだった。それに、多少とはいえ俺のエネルギーも回復しつつある。シャイニーフェニックスとの約束がある以上戦いに割り込むことは出来ないが、いざとなれば加勢することも出来るはずだ……! そんな俺たちに対し、しかしヤーバンは不敵に笑ってみせるのだった……。
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