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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第10章【超決戦! シャイニーフェニックスVSヤーバン・ジーン!!】

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第59話 感激! 憧れのヒーローとのバイク二人乗りです!

 放課後、私は一人学校からの帰り道を歩いていた。

 智子が朝の宣言通り、放課後になると同時に教室を飛び出して行っちゃったので、今日は一人で下校だ。

「今日は家に帰ったらどうしようかな?」

 私はそんなことを呟きながら新緑の並木道を歩いていた。

 そろそろ夏が近づいているせいか、日も長くなっている気がする。

「それにしても、ルビィはいつ戻ってくるんだろう、あの子がいないと、ちょっと寂しいんだよね……」

 この間の戦いでダメージを受けたルビィはシュナイダーさんの宇宙船で修理と強化改造を処理を受けているはずなのだけど、あれから2日経ってるのにまだ戻ってこない。

 何かあったのかな? 私はそんなことを考えて少し心配になる……。

 その時だ、背後からドルルルルル! と、バイクらしきエンジン音が聞こえてきた。

 私はすっと道の端に避けた。

 すると、私の横を一台のバイクが走り去っていく……かと思いきや、そのバイクは私の前で止まった。

「え……?」

 私は驚き目を丸くする。

 バイクのライダーは落ち着いた色合いのライディングウェアを身に纏った男性だった。

 顔はフルフェイスのヘルメットで覆われていて見えない。

 彼はバイクのエンジンを止めると、そこから降り立ちゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。

 え、ええ!? たまたま私の目の前に止めたとかじゃなくて、もしかして私に用があるの!? 私は突然のことに頭が真っ白になる……。

 しかし、私の前に立ち止まりヘルメットを外しながら彼の発した言葉に私は一気に脱力したような気分になる。

「やあ、みうちゃん」

「仁さん……!」

 そう、ヘルメットの下から現れた顔は、宇宙戦士シュナイダーさんこと伊勢仁さんのものだったのだ!

「び、びっくりしましたぁ、いきなりバイクが目の前に止まるから、もしかして不良に絡まれちゃうのかなとか思っちゃいましたよ……」

 私は安堵のため息を吐きながら仁さんにそう言う。

「ごめんよ、驚かせたね。実は君の家に行くところだったんだけど、途中で見かけたもんだからつい、ね」

 仁さんはそう言うとバイクを手で示し、苦笑する。

「え? 私の家に?」

「ああ、君に届け物があってね」

 と微笑みながら言いつつ一旦言葉を切ると、彼は自分のバイクの方に向けて声を掛ける。

「出て来いよ、恥ずかしがることないだろ」

 すると、バイクの影から一羽の鮮やかな紅の翼を持つ鳥が姿を現した。

「ルビィ!」

「や、やあ、久しぶり……ってほどでもないけど、なんかこうして改めて顔を合わせるのは照れるね」

 そう照れ臭そうに笑うルビィ、私は駆け寄り彼を両手で包み込むように抱きしめる。

「お帰り……! よかった、本当によかった……もうどこにも異常は残ってない?」

 私はルビィの身体を触りながら尋ねる。

「だ、大丈夫! もうどこも壊れてないよ! それどころか改造のおかげでボクは絶好調なんだ!」

「そ、そう……よかった……」

 私はホッと胸をなでおろしルビィを解放する。

 すると今度は彼の方か私の身体を触ってくる。

「ちょ、ちょっとルビィ?」

「みうちゃんこそ、あの時はとんでもない目に遭わされて……聞いたよ、ヤーバンともう一度戦おうと考えてるらしいね、どうしてだい?」

 ルビィは心配そうな顔でそう言う。

「……あいつを自分の手で倒さないと、きっと私は前に進めないんだ。だから、どうしてもあいつともう一度戦わないといけないの……」

 私はルビィにそう答える。

「そうか……でも、無茶はしちゃダメだよ? 君が傷ついたら悲しむ人は大勢いるんだから、もちろんボクもその中の一人だよ」

「うん、分かってる……ありがとう……」

 ルビィの言葉に私は胸が熱くなるのを感じる。

 彼も本当に私のことを心配してくれているんだ。

「仁さん、ありがとうございます!」

 私はルビィとのやり取りを見守っていた仁さんの方に顔を向けペコリとお辞儀をする。

「何、いいんだよ。それよりみうちゃん、この後時間あるかい?」

「この後ですか? 今日は特に用事はありませんけど……」

 私がそう答えると、仁さんは嬉しそうに微笑んで言う。

「ならよかった! じゃあ、ちょっと付き合ってくれないかな?」

 ……え、え、ええええっ!? それって、まさか……デデデデデ、デートのお誘い!? 私は予想外の展開に動揺する。

「じゃ、じゃあボク、家に帰ってるよ、それじゃ、みうちゃん、シュナイダー様……じゃなくて仁様と楽しんできてね~」

「ル、ルビィ!?」

 私が慌てて手を伸ばすもルビィはさっさと飛び立ってしまう。

「ルビィの奴しょうがない奴だな、あいつにも来て欲しかったんだが……」

「え?」

 仁さんが頭を掻きながら漏らした言葉に私は思わず聞き返す。

「対ヤーバンに向けた作戦会議をしようってのに、サポートアニマルのあいつがいないんじゃあな……」

 さ、作戦会議……。そ、そうだよね、デートなわけないよね……。

 私はホッとしたような、残念なような複雑な気持ちになる。

「うん? どうしたんだい? そんな顔をして」

 仁さんが私の顔を覗き込んで尋ねる。

 か、顔近いですよぉ! ああ……でもやっぱりかっこいい……。

「い、いえ! なんでもありません!」

「そうか、ならいいんだ。まあルビィの事は置いておいて、とにかく行こうか。それじゃ、乗ってくれ」

「の、乗る……?」

 私はチラッとバイクに視線をやりその後で仁さんの顔をもう一度見る。

 こ、これって二人乗りってことだよね……? 私はバイクと仁さんを交互に何度も見やる。

「もしかしてバイクに乗るのは初めてかい? 大丈夫だよ、あまりスピードは出さないようにするから」

 言いながら仁さんは、シートを開けてヘルメットを取り出すと私に差し出してくる。

 た、確かにバイクに乗るのなんて初めてでちょっと怖いって気持ちもあるけど、私が戸惑っているのはそれだけが理由じゃなくて……。

 仁さんはヘルメットを被ると、バイクに跨りポンポンと自分の後ろを叩く。

 そこに乗れと、そういうことなんだろうけど……。

 私は意を決してヘルメットをかぶると仁さんの後ろのシートに座る。

「しっかり摑まっててくれよ」

 そう言われ、私はおずおずと彼の腰に手を回す。

 こ、これって結構密着度が高いよぉ……。それになんだか……仁さんの体温とか匂いとかが伝わってくるような気がする。

 私は顔が熱くなるのを感じながら彼の腰に手を回し身体を密着させる。

「それじゃ行くよ」

 ブルンブルンとバイクのエンジン音が鳴り響き、私はドキドキしながら頷く。

 仁さんはクラッチを繋ぎギアを入れるとバイクを発進させた。

 仁さんは私が乗っていることに気を使ってか、一気にスピードを上げずにゆっくりとした速度でバイクを走らせる。

「真っすぐ向かってもいいけど、せっかくだからこっちの道から行くか……」

 仁さんは呟くとバイクを右折させる。

 少しして、視界が開けるとバイクは海岸通りを走っていた。

 横に目を向けると、海がキラキラと陽の光に反射して輝いていた。

「綺麗……」

 私は思わずそう漏らす。

「このまま20分ほど走れば目的地に着くよ」

 仁さんはバイクを運転しながらそう言う。

「はい……」

 20分か……。まだ目的地がどこなのかも分かっていないけど、その間ずっとこの状態でいるの? 私はそう考えると顔が熱くなるのを感じた。

「そ、それにしても仁さんってやっぱり本物のヒーローなんですね!」

 私は恥ずかしさを誤魔化すように話題を振る。

「ん? なんだいいきなり」

 仁さんはバイクを走らせながら答える。やっぱりこの姿勢、結構密着してるな……。緊張するよぉ……。

「だ、だってこんな凄いバイク持ってて、それを颯爽と乗りこなしちゃうなんて、まるで仮面ファイターみたいなんですもん!」

「はは、仮面ファイターか。だけど、俺なんて結局格好だけさ、君にヒーローなんて言ってもらう資格はないよ」

 仁さんは自嘲気味に笑いながらそう言う。

「そ、そんなことありません! 仁さんの正義の心は本物だって私分かります!」

 私は彼の腰に回した手にギュッと力を込める。すると彼は左手を私の手に重ねた。

「ありがとう、君みたいな子にそう言ってもらえるなら、俺も少しは自信を持てるよ」

「い、いえ……」

 私は恥ずかしくなって彼の背中に顔をうずめた。

「だけど、俺に言わせれば君こそヒーローだ、義務も義理もないのに、君は辛い戦いに身を投じ、死に掛けてまでもなお、地球を守るために戦おうとしている。そんな君を俺は尊敬するよ」

 仁さんが私にそう言ってくれた。私は嬉しさで胸がいっぱいになるのを感じた。

「私なんて……全然です……。この間だって調子に乗り過ぎたのが敗因の一つでしたし……」

 私はそう言って少し落ち込む。

「だから、あんまり褒めないでください。仁さんに言われたら嬉しくてまた調子に乗ってしまうから……それに……」

「それに?」

「恥ずかしいですから! 仁さん優しいのはいいですけど、あんまり優しさを振りまきすぎるのもよくないですよ?」

 そうじゃないと……勘違い、してしまうから……。

 もしかしたら、私のことを……なんて思ってしまいそうになる。

 私は彼に聞こえないように、そう小さく呟いたのだった。

「はは、ごめんね。俺はもしかしたら浮かれてるのかもしれないな。君のような後輩が出来て……っと、いつまでも喋ってないで運転に集中しないとな、少しだけスピードを上げるよ」

 仁さんはそう言うと、グリップを握る手に力を込めるのが分かった。そしてバイクのエンジン音が大きくなり、更に加速していくのを感じた。

 より強くなる私を通り抜ける風の感触、しかし、それは私の熱を奪うにはまだまだ足りないようだった。私は彼の背に顔を押し付けると目を瞑り、このまま時間が止まってしまえばいいのにと思っていた。

お読みいただきありがとうございました。

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