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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第9章【甦れ不死鳥!】

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第56話 決意、ヤーバンは私が倒します!

「シャイニーフェニックス! やったわね、やっぱりあなたはあたしたちのスーパーヒーローよ!」

 智子が嬉しそうに駆け寄ってくる。私もそれに笑顔で答える。

「うん、ありがとう……。だけど、智子のおかげだよ、恐怖に負けそうだった私に大事なことを思い出させてくれた……」

 お礼の言葉を述べながら微笑む私に、智子は照れ臭そうに、「いや~」と頭を掻く。

「騒動の前にみうとカラオケ行く話をしててさ、それを思い出してつい口走っちゃったのよ、みうの好きなヒーローソングのフレーズ。それにしてもシャイニーフェニックスもみうみたいにヒーローモノが大好きなのね」

「ま、まあね……ヒーローモノが好きじゃなきゃこんなことやってないみたいな~?」

 智子の言葉に、私は正体がバレるんじゃないかとドギマギしながらも何とか誤魔化す。

「と、ともかく、怪人は倒したし私は帰るね、それじゃ、また!!」

 続けて言うと、きょとんとした顔の智子に見送られつつ、私は慌ててその場から立ち去るのだった。


 公園に戻ると、仁さんが待っていた。

「仁さん……地球に迫ってた敵は?」

「片づけてきたよ。しかし、敵の本命は君で、俺を引き付けておくのが目的だったようだね」

 仁さんは腕を組みながら難しい顔でそう言った。

 私はそんな彼の様子を見つめながら意を決して話を切り出す。

「仁さん……。さっきの話ですけど、私、辞めませんから……!」

「え?」

 私の言葉に、仁さんは驚いたような顔を浮かべる。

「私は辞めません、シャイニーフェニックスを、宇宙戦士を、ヒーローを! 仁さんに戦いを任せて普通の女の子に戻って平和に暮らすなんてできません!」

 私は勢いに任せて自分の胸の内を吐き出す。

 仁さんはただ黙って話を聞いているが、その瞳は私の瞳をまっすぐに見据えている。まるで、私の決意が本物かどうかを見極めようとしているかのようだった。

「確かに私の中は恐怖でいっぱいです。でも、見て見ぬふりなんてできない! 私の大好きなヒーローは、いつだって恐怖を乗り越えて敵に立ち向かっていくんです。だから私も……私も……!」

 私がそう言うと、仁さんはふっと表情を緩めると頷いた。

「そうか……そうだったね。忘れてたよ、君は強く優しく、正義感の塊で、何よりも頑固だ。一度決めたらテコでも動かない」

「そ、そこまで頑固じゃないです……!」

 仁さんの言葉に私は思わず顔を赤くする。そんな私の様子に彼は微笑むと続ける。

「恥ずかしがることじゃないさ、それは意志の強さの表れでもあるんだ、心の強さを力に変えるSPスーツを纏って戦う宇宙戦士には何よりも必要な精神なんだよ」

 仁さんはそう言うと、私に手を差し伸べてくる。私はその手を取り立ち上がる。

「わかったよ、君が決めたのならば、俺はそれを尊重しよう。これからもよろしく頼むよ、みうちゃん……いや、シャイニーフェニックス!」

「はい! こちらこそよろしくお願いします、仁さん!」

 私と仁さんはお互い握手を交わした。そして私たちは笑い合うのだった。

「しかし、君が宇宙戦士を続けることは了承するが、もうヤーバンと戦わせるわけにはいかない。あいつと戦えば君はまた酷く傷つくことになるだろう。だから、あいつは俺が地球にいる間に意地でも倒す、あいつも俺を狙ってくるはずだしな」

 そう、真剣な表情で言う仁さん。だけど、私はそんな彼に向かって言った。

「仁さん……。その事なんですけど……。もし、またヤーバンが出てきたら、その時は私に戦わせてください」

「何を言ってるんだ!? 忘れたのか、奴に植え付けられた恐怖を、そして奴の強さを!」

 仁さんは私の発言に驚いたような、そして怒ったような表情で言う。だけど私は怯まず言い返す。

「忘れてません! 今も名前を聞くだけで、顔を思い浮かべるだけで怖くてガタガタ震えがくるくらいです。でも、だからこそ、それを払拭するためにも私は戦わなくちゃいけないんです、恐怖に打ち勝つために!」

「しかし……」

 仁さんは困った表情で口籠もる。私はそんな仁さんに自分の思いをぶつけ続ける。

「私は戦いなんて嫌いです。でも、今、生まれて初めて心の底から思うんです、戦いたい、あいつを倒したいって……!」

 そう、私は今心の底から思っているんだ。恐怖に抗い立ち向かってみたいと! だから……。

「お願いします、私に任せてください! もちろん、勝てる可能性は薄い……それでも、0じゃ無いのなら、私は挑戦したいんです!」

 懇願する私の言葉を仁さんは黙って聞いていた。

 やがて大きく息を一つ吐くと、仁さんは言った。

「全く……君って子は……。本当にどうしようもないくらい、純粋で真っすぐで、何よりも眩しい……。わかったよ、君がそこまで覚悟しているのなら、俺も覚悟を決めよう。だけど、これだけは約束してくれ。決して無理はしないって……」

 呆れたような口調ながらも、どこか嬉しそうに言う仁さん。

「はい! ありがとうございます!」

 私は満面の笑顔でお礼を言った。

「さてと、それじゃ新たな決意を固めた君のために一つプレゼントをあげようかな」

「プレゼント?」

 首を傾げる私に仁さんは頷きながら答えた。

「ああ、実は今回俺が地球に来たのは元々はそれが目的だったんだ」

 言いながら、仁さんは懐に手を入れそこからあるものを取り出し私の前に差し出した。

「え? これって、SPチェンジャーじゃないですか……」

 私は自分の左手首に巻かれたSPチェンジャーと見比べながら言う。

「そう、SPチェンジャーだよ、()()のね」

「新型?」

 首を傾げる私に仁さんは頷く。そして言葉を続けた。

「色々と機能面でバージョンアップがなされているんだ。特にこの新型は変身前の状態に対するサポート機能の充実化が図られていてね、変身しなくても一時的に能力を開放したりもできるんだ」

「え、それってつまり……変身しなくてもシャイニーフェニックスの力を使えるってことですか!?」

 私の問いに仁さんは頷く。

「ああ、もちろん変身した時とは比べ物にならないくらい弱いものだけどね。なんらかの理由で変身できない時なんかに身を守るのに使えるはずだよ」

 凄い! つまり、香取みうのままでも多少なら戦えるようになって事だ。

「ただし、ある意味無理やり能力を引き上げてるようなものだから、使いすぎるととんでもない疲労と筋肉痛に襲われるよ、注意してくれ。たとえば、体育の授業でそれを使ってヒーローになろうとかは考えないこと、いいね?」

 ギクギクギクッ! な、なんでわかったんだろう……。

 私は仁さんの指摘に身体を硬直させた後、恐る恐る顔を上げ彼を見る。すると彼はいたずらっぽい笑みを浮かべているのだった。どうやらカマをかけられたらしい……うぅ~悔しい……。

 やっぱり仁さんは大人だ、私の考えなんてお見通しなんだろう。

 私は自分の浅はかさを恥じつつ、目の前のSPチェンジャーへ視線を向けるのだった。

「さて、それじゃ今着けてるSPチェンジャーを外してくれ、この新型にデータを引き継ぐよ」

「あ、はい!」

 私は仁さんの指示に従いSPチェンジャーを外しにかかる。

 SPチェンジャー……今までありがとう、ヒーローになるという私の夢を叶えてくれて……。

「この旧型はどうするんですか?」

 まさか廃棄処分でもするんだろうか? 私は少し不安になる。

「これは新型へと改良され、新たな宇宙戦士へと渡されることになるんだ。最もまだ候補者すら決まってないけどね」

 そっか……これは私の後輩へと受け継がれるんだね……。

 私はSPチェンジャーをそっと撫でると、仁さんの指示に従い、旧型SPチェンジャーを手渡した。

 仁さんは旧型と新型のSPチェンジャーを手の中で重ね合わせると、表面をタップし何やら操作する。

 ほどなくして、ピーッという音が鳴った。

「終わったよ」

「へ? は、早いんですね……」

 仁さんに言われて、私は目をぱちくりとさせる。

「そりゃ、新型だからね」

 仁さんはそう言うと私にSPチェンジャーを手渡す。

 私は受け取ったそれを左手首に装着した。うん、ぴったり! 前のと同じ感覚で使えそうだ。

 よーし、SPチェンジャーも新しくなったし、これで新たな気持ちで戦えそうだよ。

 私は左手首で輝く新型SPチェンジャーを見てにんまりと笑うと、仁さんへ向き直る。そして感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

「ありがとうございます、仁さん!」

「喜んでくれて嬉しいよ」

 そう言って微笑むと、仁さんは、「さてと」と一呼吸おいてから続けた。

「それじゃ、俺はそろそろ戻るよ」

「そう言えば、仁さんはどこに滞在してるんですか?」

 私はふと疑問に思い問いかける。

「宇宙船だよ。俺の乗ってきた宇宙船に居住スペースも付いててね、そこで寝泊まりしているんだ」

 そうか、宇宙船があるんだもんね……凄いなぁ……。

「ヤーバンはおそらくすぐには攻めてはこないだろう、奴もこちらの事は警戒しているはずだからね。俺は君がヤーバンとの戦いで勝てるよう奴らの動向を伺いつつ、全力でサポートさせてもらうよ」

 仁さんはそう言うと私の肩をポンと叩く。

「はい! ありがとうございます!」

 私は満面の笑顔で礼を言うのだった。

「ルビィは改造が完了次第、君の元へ帰らせるよ。それじゃ、君はゆっくりと休み、戦いが始まるまでは日常を満喫していてくれ」

 仁さんはそう言うと、片手を上げ背を向ける。

 私も手を振り返しながらその背中を見送ったのだった。

お読みいただきありがとうございました。

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