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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第9章【甦れ不死鳥!】

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第53話 謎のイケメンの正体判明です!

「あ、あの……その……」

 私のすぐ隣に腰掛け微笑む超イケメンお兄さん伊勢仁さん……。

 私は彼から距離を取るようにベンチの端に移動すると、彼に向かって恐る恐る声をかけた。

「あ、あの……あなたは一体……?」

 自分から離れるように移動し怯えるような仕草を見せつつ尋ねる私に対して、彼は少しだけきょとんとした顔を見せていたけどすぐに得心が言ったという表情に変わる。

「あ、そうか……。ごめんごめんみうちゃん、不安にさせてしまったね。いやあ俺としたことが、()()()君と会うのはこれが初めてだということをすっかり失念していたよ」

 そう言って自分の頭を軽くコツンと叩く。そんな仕草もいちいちキマっていて、私はまたもドギマギしてしまう。

 だけど、それをなんとか振り払い彼の発した言葉を反芻し、私は首を傾げた。

 素顔? この人今素顔って言ったよね……素顔で会うの()初めてってどういうことだろう……? それに、さっきからこの人はやけに親し気だ、まるで私の事をよく知っているように……。

 やっぱりこの人が言うように本当にどこかで会ったことがあるんだろうか? 顔を隠したこの人と……。

 でも、そうだとしたらどこで会ったんだろう……? そして、なぜ彼はその時顔を隠していたんだろう?

 私は頭の中で一つ一つこの人についての情報を整理しつつ記憶を探ってみる。

 優しげな瞳と声、全身から醸し出される雰囲気。知ってる……私はそれを確かに……。

 だけど、伊勢仁という名前には本当に聞き覚えがない……。

 つまり、私と会った時彼は別の名前を名乗ってた可能性が高いと思うのだけど、素顔も見せず名前も偽って(?)いた、そんな知り合いなんて私には……。

 ハッと私は息を飲む。

 いた、一人だけ……。

 まさか……そんな、でもそれ以外考えられない……。

 私は彼の正体に思い至ると、恐る恐るその名を口にした。

「もしかして……シュナイダーさん……?」

 尋ねる私に、彼はとっておきのイケメンスマイルでこう言った。

「正解! そう、俺だよ。S.P.Oの宇宙戦士シュナイダーだ」

 宇宙戦士シュナイダー――それは私の命の恩人。憧れのヒーロー。私にSPチェンジャーを与えシャイニーフェニックスにしてくれた先輩戦士。

 そっか、道理でその瞳と声に覚えがあったはずだよ! 素顔で会うのが初めてという言葉も、知らない名前を名乗ってる理由もこれで全部説明がつく! やっと思い出せた……! そうだ、この人は私の憧れの宇宙戦士……シュナイダーさんだ。

 私は緊張が解れると同時にどっと力が抜けるような感覚に襲われる。

「ごめんよ、智子ちゃんの前でシュナイダーの名を出すわけにはいかなかったんだ、おかげで彼女と君を混乱させてしまったね」

 片手をごめんねのポーズにしながらシュナイダーさんは謝罪の言葉を口にする。

「い、いえ……そんな、ただ、ちょっと驚いただけで……」

 慌てて答えながら私は、自分の心が高揚していくのを感じていた。

 ずっと見たいと思っていた憧れのヒーローの素顔とこうして間近に対面し、会話しているんだ。

 そりゃあドキドキだってするよ……!

 初めて会ったあの日から、何度マスクの下の顔を想像しただろう。

 理想のヒーローなんだからきっとイケメンに決まってると決めつけて妄想し、もしも違ってたらどうしようかとちょっとだけ不安になり、だけど、たとえどんな顔でも彼の事を嫌いになったりするわけなんてないと自分に言い聞かせて……。

 だけど、そんな杞憂は全部無意味だった。

 だって今私の目の前にいるイケメンお兄さんは、私の想像通り、いや膨れ上がり美化されまくった妄想すらをも遥かに凌駕する超イケメンだったんだから。

 私は思わず彼の顔を見つめてしまう。

 すると彼は私に向かって優しく微笑んでくれた。

 ああ、やっぱりこの人はシュナイダーさんだ……私の憧れのヒーローなんだ……。

 ただイケメンなだけじゃきっと私はここまで心を動かされたりしないと思う。

 纏う雰囲気――これぞヒーローという感じのオーラが私の心臓をぎゅうううっと鷲掴みにして離さないんだ。

 私はシュナイダーさんを見つめながら、改めて彼が私の理想のヒーローそのものであることを再認識する。

「……ちゃん? みうちゃん?」

 私がボーっとそんなことを考えていると、シュナイダーさんが私の顔の前で手をひらひらさせながらそう呼びかけてきた。

「ひゃ、ひゃい!」

 私はビックリして変な返事をしてしまう。

「大丈夫かい? まだ混乱してるのかな? ごめんよ、いきなり素顔で出てきたらビックリするよね」

 そう言ってシュナイダーさんは申し訳なさそうに目を伏せる。

 ああ、そんな表情もイケメンだ……じゃなくて! 私は慌てて彼の言葉を否定する。

「だ、大丈夫です! 色々あって混乱はしてますけど、と、とりあえずは大丈夫ですから! そ、それよりその……シュナイダーさんはどうしてここに? もしかして、私を助けてくれたのはあなたなんですか? ルビィは? ってああああ、もう色々と聞きたいことがありすぎて頭がパンクしちゃいそうです!」

 私がまくし立てるように言うと、シュナイダーさんは苦笑しつつ言う。

「落ち着いて、一つ一つ教えてあげるから。そのために智子ちゃんには向こうに行ってもらったんだしね」

 そっか、だから私と二人きりになる必要があったんだね。

 何も知らない智子にシャイニーフェニックスとかシュナイダーとか宇宙戦士関連の話を聞かせるわけにはいかないもんね。

 おかげで彼女にはシュナイダーさんが不審がられる結果になっちゃったけど……後でちゃんと「ごめん、この人やっぱり私の知り合いだったよ」って説明して謝らないと……。

「さてと、まず何から話すべきかな……」

 私がそんな事を思っていると、シュナイダーさんは腕を組み視線を落として考え始める。

「……と、そうだ、その前にせっかく買ってきたんだし、これでも食べるかい? 少し長い話になりそうだし、溶けてしまったら勿体ないしね」

 そう言ってシュナイダーさんが差し出してきたのは、先ほど彼が買ってきたアイスクリームだ。

「え?」

 私は差し出されたアイスクリームとシュナイダーさんの顔を交互に見る。そして、ハッと我に返る。

「あ、ありがとうございます……」

 私はアイスクリームを受け取ると、パッケージを開けて付属のスプーンですくい取り口に運ぶ。冷たくて甘いバニラ味のアイスが口の中に広がってゆく。

 うん、美味しい! やっぱり暑い日に食べるアイスは最高だね。それに冷たいアイスのおかげで身体と脳が冷やされかなり落ち着いた。

「あ、あの! あの時の話の前に一つだけ聞いてもいいですか?」

 私はアイスをパクつきながらそう言ってシュナイダーさんに問いかける。

 すると、コンビニ袋の中からスポーツドリンクを取り出し飲んでいたシュナイダーさんがそれから口を離して言う。

「なんだい?」

「智子には伊勢仁って名乗ったんですよね? それは、シュナイダーさんの本名なんですか? それとも、偽名?」

 伊勢仁という名前はどう考えても地球人――日本人の名前だ。私はシュナイダーさんはずっと宇宙人でシュナイダーという名前も本名だとばかり思っていたけど、もしかしたら彼は地球人なのかもしれない。

 シュナイダーさんは私の問いに顎に手をやって僅かに目を閉じる、しかしすぐに私に向かって微笑んでこう言った。

「その問いの答えは半分正解、半分間違いって言うのが適当かな? 伊勢仁というのは俺の本名であり同時に地球で活動をするときの偽名でもあるんだ。複雑な事情があってそう言うことになってるんだけど……」

 と、そこで言葉を切ると、僅かに目を伏せる。

 複雑な事情……? なんか、あまり聞かない方がいいのかな……? 私がそう思っていると、シュナイダーさんは顔を上げて言葉を続ける。

「ともかく、素顔で活動してるときは俺は伊勢仁と名乗るようにしてるんだ。だから、君も今後は素顔の時はシュナイダーとは呼ばずに伊勢仁と呼ぶようにして欲しい」

 確かに言われてみれば当然の配慮だ。彼の事をシュナイダーさんなんて呼んだりしたら、下手すれば私がシャイニーフェニックスであることもバレかねない。

 私は少しだけ思案しぎゅっと拳を握りしめた後で、改めてシュナイダーさんに向き直る。

「わかりました。改めてよろしくお願いします……()()()……!」

 伊勢さんという苗字呼びではなく、名前で仁さん。

 私はそう呼ぶことに決め、彼の名を口にする。すると彼は優しく微笑んでくれた。

「ああ、よろしくね、みうちゃん」

 仁さんはそう言って私に手を差し出してくる。握手の催促だ。

 私は一瞬ドキッとしながらも、仁さんの目を見るとその手をぎゅっと握りしめた。

 大きくて温かい手……プロテクター越しでも十分温かかったけど、やっぱり素肌で感じるのとは全然違う。

 手が離され私はぼんやりと握られた自分の手をじっと見つめていたのだけど、急に恥ずかしくなってそれを誤魔化すように再びアイスをすくって口に運んだ。

 仁さんはそれを見て再び微笑むと、ペットボトルを取り出しスポーツドリンクを一口飲んだ。

お読みいただきありがとうございました。

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