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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第7章【出現、シックザールクリスタル!! ブーミ最後の戦い!?】

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第43話 さよならブーミ、もう二度と来ないでね♡

「ぐ、ぐおおおおおっ。ち、力が、力が抜けていくぅぅぅ!!」

 シックザールクリスタルを砕かれたことで、ブーミの身体からエネルギーが抜けていく……。

 しゅうしゅうと音を立てて、元の姿に戻って……ってあれ? 奴の身体の収縮は止まらず、さらにガリガリにやせ細っていく!

「あ、あがが。なんだこれは……俺の肉体が……」

 収縮が収まった時、そこには骨と皮だけになったミイラのような姿の奴がいたのだった!

「どうやら、反動が出たみたいね……可哀想だけど、あんな力に頼った罰ね……」

「ち、ちくしょぉぉぉ!!」

 ブーミは膝を突き弱々しく拳を握ると地面を叩く。

 しかし、軽く音を鳴らしただけで腕はそのまま力なく地面に落ちてしまった。

「もう戦うことも出来ないでしょ、降参しなさい」

 私はゆっくりとブーミに近づきながら言った。彼は虚ろな瞳でこちらに視線をやるが、すぐにギリッと歯軋りをしたかと思うと、「誰が降参などするか……!」と叫んできたのだった。

 ……やっぱりね。さて、ならどうしようか……? 殺すのなんて嫌だし、かと言って逃がすわけにも行かないし……。

 とりあえず拘束してルビィを通じてS.P.Oに連絡を取って、引き取りに来てもらおうかな……。

 そんなことを考えている時だった。

 突如として上空からブーミの前方に光が降り注ぎ、その中から一つの影が姿を現したのだ。

 な、なに……こいつ……。私はその異様な姿に目を見開いた。

 そいつは二足歩行の巨大なウサギが白衣を纏ったような姿をしていた。もちろん、こんな奴が普通の生物のわけがない。ギーガーク帝国の一員、つまりブーミの仲間であることが推測できた。

 そいつは、真っ赤な目を私に向けると言ってくる。

「お初にお目にかかるわ。私はギーガーク帝国医療班のヒィラー・ラヴィット」

「ヒィラー・ラヴィット……。そのヒィラーが何をしに来たの?」

 私は警戒心も露わに尋ねる。すると、彼女はニヤリと笑みを浮かべると言った。

「安心なさい。戦いに来たわけじゃないから……。私はただ不甲斐ない仲間の回収にやって来ただけよ」

「お、おおお、ヒィラー。俺を助けに来てくれたのか……感謝するぜぇ……」

 ブーミがヒィラーと名乗る巨大ウサギの足元に縋り付きながら言う。そんな奴を見て、ヒィラーは呆れたようにため息をついた後言った。

「なんという情けない姿なのかしらね……。おまけにシックザールクリスタルも壊されて……。あなた、ただじゃすまないわよ」

「ひ、ひぃぃ。ま、まさか処刑されるのか、俺は……」

 ブーミはぺたんと腰を突きながら悲痛な声を上げる。

 自業自得だけど、私は少しだけ可哀想な気になってしまった。敵だし、嫌な奴だけど流石に処刑って聞くと、ちょっと、ねぇ? あーあ、私って甘いなぁ……。

 しかし、ヒィラーはクスリと笑う。

「安心なさい。レガーン司令は寛大なお方なのよ。処刑だけは免れたわ。もっとも、あなたには処刑されてた方がよかったと思うくらいの処分が下されたけどね」

「な、なんだよ、それは……?」

 恐る恐ると言った感じで尋ねるブーミにヒィラーは空……いや、おそらく遥か彼方の宇宙を指差しながら言った。

「一般兵に降格の上、本星の地獄の新兵訓練所行き」

「う、うげぇぇぇ、あ、あそこにまた入れられちまうのか……」

 ブーミの顔が真っ青になる。地獄の新兵訓練所……想像もできないけど、きっととんでもないところなんだろうなぁ……。

 でも、ブーミがそこに送られるってことは、つまりもうこいつとは会わなくて済むって事だ!

 よかったぁ……。これでもう、俺の嫁だの、お前を俺のモノにするだの気持ち悪いことを言われずに済むんだ……! ああ、嬉しいっ!! 私は思わず笑みを浮かべるのだった。

「シャイニーフェニックス、何を嬉しそうな顔してやがる……。俺はお前を諦めない……必ず戻ってくるぞ、それまで他の誰のモノにもなるなよ……」

「諦めの悪い男ね、あなたも、でも、ま、その気力があれば大丈夫でしょう。ともかくとりあえず基地に帰るわよ。それじゃ、シャイニーフェニックスちゃん、またね」

 そう言い残し、ヒィラーとブーミは降り注いできた光の中へと消えていく……。

 やれやれ、やっと行ってくれた……。ブーミを逃がしちゃったのはちょっと残念だったな、あの様子だといつかまた来そうだし……。

 それに、ヒィラー・ラヴィット……医療班とか言ってたけど、あいつから感じた力はブーミを超えていた気がする。

 私の戦いは楽にはなりそうもないね……。だけど負けない、絶対にあいつらから地球を守るんだ……!!

「シャイニーフェニックスーー!!」

 そんな感じで私が決意を新たにしていると、ルビィときらりちゃんが駆け寄ってくる。

「大丈夫? 怪我はない?」

 心配そうに尋ねてくるきらりちゃんに、私はうんと頷くと言った。

「それはこっちのセリフだよ。きらりちゃんこそ、どこも怪我とかしてない?」

「ええ、それは大丈夫」

「そっか、よかった……」

 私は安堵のため息を吐く。そして、目を伏せながら、言葉を続ける。

「だけど、ごめんなさい……。あなたの大事な水晶を壊すことになってしまって……」

 私の言葉にきらりちゃんは、静かに微笑むと、「いいのよ」と一言言ってから続ける。

「むしろすっきりした。これでもういつかあれが無くなり、アイドルの地位を失ってしまうという恐怖に怯えなくて済むんだもの……」

「きらりちゃん……ありがとう……」

「さてと、あたしは戻らないと……シャイニーフェニックス、みうちゃん。また機会があったらあたしに会いに来て、二人だったら、いつでも歓迎するから」

 そう言って片手を上げて私たちに背を向けるきらりちゃん。私は思わずその背中に声を掛けていた。

「きらりちゃん……私は、あなたはあんなクリスタルなんかなくてもアイドルとしてやっていけるって信じてる……だけど、あれがなくなった以上きっと今までみたいに順風満帆というわけにはいかないと思う……」

 私の言葉にきらりちゃんは、背を向けたままで答える。

「だから、何?」

「え……?」

 聞き返す私に、きらりちゃんはくるっとこちらを向くと、不敵に笑う。

「舐めないで……。あたしはスーパーアイドル星野きらり! やって見せるわ。トップアイドルの道、走り続けてやるわよ……!!」

 それだけ言い残すと、きらりちゃんは振り向かず走り去って行く……。

 ……す、すごい……シックザールクリスタルを持ってた時よりも、遥かにキラキラしてる……。これが……本物のアイドルなんだ……。私はその背中を見つめながら思った……。


 きらりちゃんが完全に建物の中に消えたのを確認すると、私とルビィは物陰に移動し、変身を解いた。

「きらりちゃんは大丈夫そうだね」

 横から、鳥の姿に戻ったルビィが声を掛けてくる。私は、「そうだね」と答え微笑むのだった……。

「でも、凄かったね。欠片とはいえシックザールクリスタルの力を得たブーミに勝っちゃうなんて!」

 さっきの私の戦いを思い出してかにこやかな笑顔を浮かべてくるルビィに、私は「うん」と力強く頷く。

「今回の事で、なんだかグッと自信が付いた気がするよ。それに、シックザールクリスタルを壊せたし、これでクリスタルが完全な形になることはなくなるね!」

 さらに笑顔で続ける私に、ルビィは、「それが、そうでもないんだよね……」と呻くように言った。

「え? どういうこと?」

「シックザールクリスタルはね、再生するんだ。だから壊してもまた別のところに出現する。壊して何とかなるんだったらとっくにそうしてるよ」

 私の疑問に答えるように呟くルビィの言葉に、私は腕を組んで唸る。

 しかし、すぐに顔を上げて言う。その瞳には力強い決意の炎が燃えているようにルビィには見えたはずだ。

「なるほどね……。だけど、再生にはそれなりに時間はかかるんでしょ? なら、完成を遅らせることは出来るね。その間に、ギーガーク帝国をやっつけちゃえばいいんだよ! そうすればもう誰も傷つかなくて済むんだからさ!!」

 私がそう言うと、ルビィは少し驚いたような顔をした後、「大きく出たね。だけど、その意気だ! 頑張れ、みうちゃん、いや、シャイニーフェニックス! ボクも君の事精いっぱいサポートするよ」と言ってくれた。

「任せてよ! さあ、ギーガーク帝国、いつでも来なさい。私は絶対に負けない、必ずあなたたちを倒して見せるんだから!!」

 誓いを込めて叫んだ青空は、憎いくらいに澄み渡っていたのだった……。

 地球の衛星軌道上に浮かぶギーガーク帝国要塞基地。その窓から眼前に浮かぶ青い星を眺めながら口元を歪める一人の男がいた。

 ビキニパンツ一枚にマントという変態的衣装を身に纏う赤銅色の肌を持つその男の名はヤーバン・ジーン。ギーガーク帝国が誇る将軍である。

「見事な成長だ、シャイニーフェニックス……」

 呟きながら彼は先ほど送られてきた記録映像で見たブーミとシャイニーフェニックスの戦いを思い返す。

 かつて、ブーミ相手に圧倒されていた少女は、今やブーミを圧倒するまでとなり、シックザーリクリスタルの力で強化された奴にすら勝利して見せた。

「そろそろ、俺の出番が来るかもしれんな……」

 ヤーバンは再び呟き更に笑みを深くする。彼は楽しくてたまらないのだ、この地球という辺境の星で自らが戦うにふさわしい強者が現れたことが……。

「俺の睨んだ通り、あの娘は素晴らしい力の持ち主だった。さっさと始末せずに成長を待って正解だったな……クックックッ」

 ピクピクッと彼の全身の筋肉が痙攣する。

「くく、俺の身体も歓喜している。早く戦わせろと言っているようだな。だが慌てるな、指令はすぐに下る。今回の事でレガーン殿もシャイニーフェニックスを本格的に排除すべきと判断したはずだからな」

 そう呟く彼の表情は喜色に満ち溢れている。彼はバサッとマントを翻すと、歩き出す。

「さて、その時が来るまで、俺は入念なウォームアップでもしておくか」

 そう言うと彼は、基地内部のトレーニングルームへと足を運ぶのだった。


第7章


【次回予告】

みう「ブーミも倒して気分は最高! もうどんな敵が出てきても負ける気がしないってね~へへ。だけど、そんな私の前にあのヤーバンが現れた! ふふん、私の強さに驚かないでよ? って、あ、あれ、おかしいな……私の攻撃が全然通じないなんて……。も、もしかして私、史上最大の大ピンチ……? 次回、シャイニーフェニックス『絶体絶命! ヤーバン・ジーンの挑戦状!!』次回は絶対、見逃せないよっ!」

お読みいただきありがとうございました。

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