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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第6章【バレちゃった!? 私の秘密!!】

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第33話 日常が帰ってきました!

 翔くんたちに別れを告げ上空に舞い上がった私は、そのまま空の彼方に飛び去るふりをしつつ誰もいない校舎の裏へと向かうとそこに降り立った。

「ふう……今日はいつも以上に疲れた……」

 私は小さく息を吐くと精神を集中し、頭の中で変身を解除するイメージを思い浮かべる。

 私の身体が淡い光に包まれ、その姿が変化する。シャイニーフェニックスの姿から元の姿――香取みうの姿へと……。

 そう、今さら言うまでもないだろうけどシャイニーフェニックスの正体はやっぱり私、香取みうなのである。

 それはおかしい、さっき香取みうとシャイニーフェニックスが別々にいたじゃないかと思われるだろうけど、もちろんそれにはちゃんとした理由がある。

 トトトと聞こえてきた足音に、私がそちらに目を向けると一人の少女が小走りに近寄ってくるのが見えた。

 茶色い癖毛のショートカットに髪と同じ色をしたくりくりっとした大きな瞳。秋桜(コスモス)学園指定の制服姿のその子の容姿は、私と瓜二つだった。

 私の双子の姉か妹……なわけはない。私は一人っ子だし。じゃあこの子は誰かと言えば……。

「なんとか、ピンチを切り抜けることが出来たね。みうちゃん」

 そう言ってニッコリと微笑むその子に、私は「うん」と一つ頷き返しつつ言う。

「ほんと怪人が出てきた時はびっくりしたけど、終わりよければ……だね。でもルビィ、そろそろ元の姿に戻ってよ。私が二人いるのを見られたりしたら困るからさ」

 私の言葉に、もう一人の私は、「あっ、そうだね」と言いつつテヘッと舌を出すと、その場で飛び上がり空中で一回転する。その瞬間その身体が光り輝き、一羽の茶色い羽毛を持つ鳥へと変化した。

 そう、これが二人の『私』のからくり。さっき最初に現れたシャイニーフェニックス、あれは私の可愛い相棒、サポートアニマルのルビィが変身した姿だったのだ!

 さっきの戦いの中で、シャイニーフェニックスがいきなり強くなったように見えたのは、戦いの途中で影武者であるルビィと本物のシャイニーフェニックスである私とが交代したからだったのだ。

 交代のタイミングは『シャイニーフェニックス』が茂みの中に消えた時だ。戦いに夢中になっている翔くんたちの目を盗み茂みの中に移動し変身した私はルビィを回復させ、入れ替わったのだ。そして、ルビィは今度は香取みうの姿に変身し、翔くんたちと共に私の戦いを観戦することで香取みうとシャイニーフェニックスは完全に別人であるという認識を植え付けることに成功したというわけである。

「それにしても、ここまで上手くいくとは思わなかったよ。最初シュナイダー様にこの作戦を提示された時はどうなるかと思ったもんだけど……」

 どこか感慨深げに言うルビィに、私は昨夜のシュナイダーさんとのやり取りを思い出していた。

――――――

――――

――

「えぇ!? ボクにみうちゃんの影武者を務めろと言うんですか!?」

 驚愕の声を上げるルビィに、モニターの向こうのシュナイダーさんは鷹揚に頷きつつ言った。

『そうだルビィ。お前たちサポートアニマルには変身能力が備わっている。それを使うんだ』

 ルビィにそんな能力があったなんて……と驚く私だったけど、確かに考えてみればルビィは派手な紅い翼の鳥の姿と地味な茶色い翼の鳥の姿を切り替える能力を普段から発揮していることを思い出した。

 あれを変身能力の一種だと考えるならルビィにはそういう能力があると言えるけど……。

「し、しかし。ボクの能力ではせいぜい翼の色を茶色く変えるくらいしか出来ないですよ?」

 そうだよね、翼の色を変えるのと変身は全然違うよね……。

 困惑気味に言うルビィに、シュナイダーさんは小さく首を振る。

『どうやらお前は自分の能力を把握しきれていないようだな。まあ、スペック不足とのことでS.P.Oで雑用に回されていたから仕方ないとも言えるが……』

「あっ、シュナイダー様! それ言わない約束……」

 慌てたような口調で言いつつ、ルビィは私の方にチラッと視線を向ける。

 だけど、私は驚くこともなく「知ってたよ」と言わんばかりの視線で答えてあげた。

 いや、実際ルビィって(私が言えた義理じゃないけど)かなりのドジっ子だし、彼が自分で言ってた「あまりに優秀過ぎてS.P.Oで干されていた」という話が嘘であることぐらい、とっくに気づいていたんだよね……。

 そんな私の反応にルビィはどこかバツの悪そうな顔をしつつ、シュナイダーさんの映るモニターの方に視線を戻す。

『とにかくだ。お前たちサポートアニマルに搭載されている変身能力は本来はもっと凄いものなんだ。お前がそれを発揮できないのは、ハッキリ言って努力不足が原因だな』

 シュナイダーさんの言葉に、ルビィはますます縮こまるような声で言う。

「……はい、すみません……」

 そのしょんぼりした様子はまるで叱られた子犬みたいで、ちょっと可愛いかもと思ったのはここだけの話。

「つまり、ルビィのその変身能力を使えば、たとえば私そっくりの姿に変身することもできるってことですか?」

 横から口を挟む形で尋ねる私に、シュナイダーさんは、「ああ、そうだよ」と頷き返すと再びルビィに向かって言う。

『今から特訓をし、みうちゃんとシャイニーフェニックス、両方の姿に変身できるようになってもらう。そして、みうちゃんの影武者としてみうちゃんとシャイニーフェニックスが別々にいる状況を作り上げるんだ。そうすれば、みうちゃんとシャイニーフェニックスが同一人物だなんて考える者はいなくなるだろう』

 その言葉に、私の胸に希望の光が灯される。確かにそれならなんとかなるかも知れない!

 それにしても、無理だと思ってさっさと却下していた影武者作戦がこんな形で実現出来るかも知れないなんて……。なんだか不思議な気分だ。

「でも、ボクに出来るんでしょうか……」

 しかし、当のルビィは自信なさげだ。そんな彼にシュナイダーさんは勇気づけるような口調で言う。

『出来るさ。ルビィ、そもそもお前はスペック不足と言われていたが、本来サポートアニマルに個体ごとのスペック差なんてないはずなんだ。差が生まれる原因があるとすればそれはお前自身の心が関係しているんだよ。だから……』

 そこまで言ってから、シュナイダーさんは大きく息を吸い込む。それから大きな声で叫んだ。

『もっと自分に自信を持て!』

 その言葉にルビィはハッとした表情で顔を上げる。

「ルビィ、私もね、宇宙戦士適性値0って測定されてショックだったけど、シュナイダーさんに宇宙戦士にしてもらってそれにふさわしい存在になれるように頑張ってるんだよ。だからね……」

 私はそこで一度言葉を切ると、ルビィに向かって微笑みかけながら言葉を続けた。

「一緒に頑張ろうよ! 大丈夫! きっとなんとかなるからさ!」

 そんな私の言葉にルビィは一度顔を下に向けると、勢いよく顔を上げて言った。

「うん……! ボクも頑張る……!」

 その目にはもう迷いの色はなかった。彼は決意を固めたようだ。そんな彼を見てシュナイダーさんは満足そうに頷くと、再びルビィに言った。

『よし、それじゃあ今から特訓を始めるぞ!』

「はいっ!!」

――

――――

――――――

「たださ、やっぱり慣れないものは慣れないね。一応ボクは男だからさ、女の子の姿に化けるのってめちゃくちゃ恥ずかしいよ……」

 ルビィのその言葉に、回想から引き戻された私はさっきの『シャイニーフェニックス』や『香取みう』としてのルビィの振る舞いを思い起こし苦笑する。

 確かに、姿かたちは私そのものだったけど、中身はルビィそのまんまだったので違和感バリバリだったよね……。まあ、からくりを知らない翔くんや新部(にいべ)さん。ギーガーク帝国の連中にバレることはないと思うけど。

 ただ……。

「それは我慢してもらうしかないけど。今後私の姿に変身するときは、せめて一人称だけは『私』にするように努めてね。私の姿でボクなんて一人称使われたら変だから!」

 私がそう指摘すると、彼は頭を掻きながら、「善処するよ」と答えた。

「それはそれとして……」と私はルビィをまっすぐに見つめながら言った。

「ありがとう、ルビィ。あなたのおかげで危機を乗り越えられたよ。戦闘能力のないあなたに怪人との戦いまでさせてしまって本当に申し訳ない気持ちと感謝で胸がいっぱいだよ」

 私がそう言って頭を下げると、ルビィは慌てた様子で翼を振る。

「そんな、頭を上げてよ。ボクはサポートアニマルとしてみうちゃんの手助けをするのが仕事なんだから!」

「ううん。私、改めて思ったの、あなたがいて本当によかったって。これからもよろしくね、可愛い相棒さん」

 そう言うと私は、手を伸ばし両手で彼を包み込むように抱き寄せると、その頬に軽くキスをしたのだった。

「うひゃあ……!」

「えへ、私のファーストキス。な~んてね」

 顔を赤くするルビィに、ペロリと舌を出しながらおどけて見せる私なのだった。


「みう、どこ行ってたんだ?」

 ルビィと別れ教室に戻ってきた私に開口一番翔くんが尋ねてくる。

「え? んー、ちょっとね」

 曖昧に答える私に翔くんは僅かに首を傾げるものの、特にそれ以上は追及してこなかった。

「そうか、まあそれはいいや。それより改めて謝らせてくれ、みう本当に……」

「ストーップ!」

 頭を下げ掛ける翔くんを手で制すと、私は続ける。

「さっき言ったでしょ、この話はもうおしまいだって」

 言ったのは私に化けてたルビィだけど、シャイニーフェニックスとして話は聞いてたし、私も同じ気持ちだ。

 それに、翔くんは自分こそがこの騒動の元凶だと思っているのか知れないけど、本当の元凶は他ならぬ私、私が正体を隠していることが一番の原因なのだから……。

「そうか……。お前がそう言うならオレももうこの話はやめることにするよ」

「そうそう、明日からはまたいつもの私たちに……ってね」

 そう笑顔で言うと、翔くんは「ああ」と一つ頷くのだった。

「ところで翔くん。翔くんはこれから新部さんの記事作りに協力するんだよね?」

「ん? ああ、約束したからな」

「私も……」

 協力するよ、と続けようとしたのだけど、翔くんはそんな私を手で制す。

「おいおい、お前に迷惑を掛けたことへのお詫びのための記事でもあるんだぜ? お前が協力したら意味がないだろ」

 正論だったし、そもそも私が手伝うなんて言い出したらかえって邪魔にしかならないだろうことは明白だったので私は渋々引き下がることにした。

「う、う~ん。そうだね……。それじゃ、私は帰ることにするよ。それじゃ、またね」

 そう言って私は教室を後にする、扉から出て行くときにふと振り返り彼を見ると、へらっと笑いながら軽く手を振ってきた。なんだか久しぶりに見る彼のそんな表情に私はようやく騒動が解決したんだということを実感して嬉しくなり、笑顔で手を振り返すのだった。


【お詫び、先日のシャイニーフェニックスの正体に関する当秋桜(コスモス)学園新聞部の記事は誤報であったことが判明しました。読者の方々、ならびに関係者の皆様方に多大なるご迷惑をおかけしたことを深く反省するとともに、謝罪させていただきます】

 翌朝、掲示板に張り出された記事を見ながら私は満足気に頷いていた。しっかりと訂正記事も出た、昨日の騒ぎの最中私とシャイニーフェニックスが別々にいるところを目撃した生徒も数多くいる、これでもう完全に噂は鎮火したはずだ。

「いや~、しかし、あの新聞部が訂正記事を出すなんてなぁ」

「確かにな、今まではどんだけデタラメ記事を書いても謝罪なんて一切しなかったのにな」

 そんな言葉が私の耳に聞こえてくる。う~ん、新聞部ってめちゃくちゃ評判悪かったんだね……。だけど、そんな新聞部の中で新部さんは自分の出した記事に対して真摯な態度で向き合ってくれたんだ。やっぱり彼女はすごい人だ。

 それに、新部さんは元々間違ってなんかいなかったのだし……。

 ともかく、彼女がいれば新聞部はきっと変わっていくはずだ。そんな事を思いながら、私は掲示板に背を向けると歩き出した。

 教室に向かって廊下を歩いていると、前方から翔くんがやってくるのが見えた。

 すっきり事件が解決したことで、朝から機嫌が良かった私は、片手を上げると彼に向かって笑顔で挨拶をしようと口を開く。

「おは……」

 シュッ! その時、翔くんが素早く私の横を駆け抜けた! 

 ……え?

 一瞬何が起こったのか分からなかった、だけど、足元に感じるスースーした感覚と翔くんの次の言葉でようやく理解することが出来たのだ。

「おいおい、お前まだこんなお子様みたいなパンツ穿いてるのか? 幼稚園児かよ!」

 バッと私はスカートを押さえながら振り返る、そこにはニヤニヤしながらこっちを見ている彼の姿があったのだった。

 カァーッと顔が熱くなるのが分かる、私は恥ずかしさのあまり涙目になりながら彼を睨みつけた。

「な、な、な、なんてことするの!!」

 怒鳴りつける私に、翔くんは小さく肩をすくめる。

「昨日お前言ったよな、『明日からはまたいつもの私たちに』って。だから、“いつもの”挨拶をしただけだろ?」

 そう言って彼はニヤリと笑う、その言葉に昨日のことを思い出して私の顔は再び真っ赤に染まった……確かにそう言ったけどさぁ!

「こんなのが“いつもの”だなんて私は認めたくない!」

 そう叫ぶ私を見て、あははっと笑いながら馴れ馴れしく肩を抱いて来る。

「まあまあ、そう怒るなって。ようやく普段通りの日常が戻って来たんだしよ」

「軽々しく触ってこないで!」

 私は彼の腕を振り払うとキッと睨みつけた。だけど、当の本人はどこ吹く風といった様子でヘラヘラ笑っている。まったく反省の色が見えない彼に怒りが込み上げてくるが、同時に自分が騒動の元凶だと難しい顔で大人しくしてるより確かにこっちの方が本来の、日常の翔くんのような気がして少し安心したのだった。

「しかしなぁ、そろそろプチピュアのプリントモノのパンツは卒業すべきだと俺は思うぞ? いつまでも子供っぽいの穿いてないでさ、もっと色気のあるやつをだな……」

 ……安心はしたけどムカつくことには変わりない、私が無言で蹴りを入れると翔くんはその場に蹲って悶絶していた。

 ふんっだ、そこでしばらく反省してなさい!

 心の中で吐き捨て歩き出す私、だけどその口元には何故か笑みが浮かんでしまうのだった。

 ……やっぱりいつも通りの日常が一番だよね。ムカつくこともあるけど、それもまたスパイスで楽しくなっちゃうんだ。そう思いながら教室へと入る私だった。

 こうして無事(?)翔くんの意地悪も再開され、ようやく本当に日常に戻れると思った私だったのだけど、実は一つだけ問題が……。

「香取さん! 私にあなたのことを取材させて! あなたについての特集記事を作りたいのよ!」

 ガラガラッと扉を開けて教室に飛び込んでくるやいなやそんな事を言い出した新部さんに、私は目を白黒させて固まってしまった。

「は、はぁ? に、新部さん。もう私のシャイニーフェニックス疑惑は解消されたんでしょ? 私の特集記事なんか作ってどうするの……?」

 もしかして新部さんはまだ疑惑を捨ててないのだろうか、なんて冷や汗を流すも次に彼女が発したのはこんな言葉だった。

「私はわかったのよ、香取さんはシャイニーフェニックスじゃなくても、素晴らしい心を持った秋桜(コスモス)学園が誇るスーパーヒロインだって! そんなあなたをもっと知りたいし、みんなに知ってもらいたいの!!」

 そう言って彼女は目を輝かせながらグッと拳を握るのだった。

「え、えぇ……?」

 私を買ってくれるのは嬉しいけど、正直ありがた迷惑というか……困惑してしまう私だった。そんな私に構わず、新部さんはテンション高く言葉を続ける。

「それじゃさっそく教えてくれるかしら、まずは香取さんの好きな人なんかの話から……」

「ちょ、ちょっとそんなの答えられるわけないでしょぉ!!」

 そう叫ぶ私に、新部さんは怯むことなく質問を飛ばし続けるのだった……。

 どうやら新部さんが落ち着いてくれるまで、平穏無事な日々は訪れてくれそうにないみたいだ。

 ああっ、もうっ! 早く本当の日常に帰らせてぇ!!

 *

「やはり、この香取みうはシャイニーフェニックスじゃなかったか……。ちょーっとだけ期待してたんだがなぁ」

 ギーガーク帝国の要塞基地の一室、香取みうの資料をテーブルに投げ出しブーミは呟いた。

 シャイニーフェニックスと香取みうが同時に出現したことによりみうのシャイニーフェニックス疑惑はギーガーク帝国内においても完全に消え去った。それは同時にシャイニーフェニックスの正体候補が完全にいなくなってしまった事を意味していた。

「やはりシャイニーフェニックスの変身者を見つけ出すのは無理なのか……?」

 頭を抱えるブーミ、そんな彼は背後から近づく者の存在に気づかなかった。

「愚か者め」

「なんだとぉ!」

 背後から投げかけられた言葉に、怒りもあらわに振り向きながら言うブーミだったがそこに立つ人物の顔を見た瞬間にその表情が凍り付く。

「ヤ、ヤーバン様……」

 そう、そこにいたのは黒いビキニパンツ一枚とマントという変態的な格好をした筋骨隆々の赤鬼のような男、ギーガーク帝国の将軍にしてブーミの上司ヤーバン・ジーンその人であった。

 ヤーバンは意図せぬ形で上司に対して暴言を吐いてしまったブーミを冷たい目で見下ろしながらしかし落ち着いた口調で言葉を発する。

「シャイニーフェニックスの正体を暴き、変身前の弱い状態を狙おうなどと下らんことを考えているからそうなるのだ……」

 その言葉に顔を青ざめさせるブーミであったがすぐに気を取り直して反論する。

「お、お言葉ですが、真正面からぶつかるだけが戦いではありません! 敵の弱点を突き弱みを握ることで勝利に繋がるのです!」

 ブーミの意見は正論である。戦いにおける定石と言ってもいい。しかし、強国ギーガーク帝国の部隊長としてはいささか情けない発言であった。

 特にこのヤーバンという男は正面から正々堂々と戦うことを好む傾向があったのである。案の定彼は弱気とも取れるブーミの姿勢に対して顔をしかめた。

「それは自分がそんな手を使わなければ勝てないほど弱いと認めているようなものだろう。まだ未熟な小娘相手に恥を知れ、恥を」

 そう切って捨てると、ヤーバンは香取みうの資料を手に取りクシャクシャに丸めて軽く上に放り投げる。

 ボッ! と空中で炎が上がり一瞬で灰と化した紙くずはそのまま床に落ちるのだった。

 シャイニーフェニックスではなかったとはいえ、好みの美少女の詳細なデータが記載された資料が燃えてしまった事にショックを受けた様子を見せるブーミであったが、上司に文句を言えるはずもなくただ黙って見ているしかなかった……。

 そんな部下の様子を気にも留めずヤーバンは言った。

「どちらにしろ、今回の失敗でシャイニーフェニックスの正体を暴くことなど不可能だということがよく分かっただろう? そんな事を考えている暇があったら、自らの実力を高め、真正面からあの小娘を屈服させてやるくらいの気概を見せろ……いいな?」

(そんな簡単にいかないから苦労してんだよこっちは!)

 ヤーバンの言葉に内心で悪態を吐きながらも、表面上はキリッとした表情を浮かべ、「は、はいっ!」と敬礼しつつ返事をするブーミである。

 そんな彼を冷たい目で一瞥すると、ヤーバンはマントを翻しながら部屋を後にするのであった。

「ちくしょう、ヤーバン様に釘を刺されちまった。シャイニーフェニックスの正体探しに関しては中止せざるを得ないな。しかし、ならどうすべきか……」

 一人部屋に残され、頭を抱えるしかないブーミなのであった。


 第6章

 完


【次回予告】

 みう「最近人気急上昇中のアイドル<星野 きらり>ちゃん。彗星のごとく現れて瞬く間にトップスターになった彼女が大事にしている『願い石のペンダント』。え? これって、もしかして、シックザールクリスタル!? もしそうならきらりちゃんがギーガーク帝国に狙われちゃう! よーし、シャイニーフェニックス出動だ! 次回、シャイニーフェニックス『出現、シックザールクリスタル!! ブーミ最後の戦い!?』。次回も見逃せないよ☆」

お読みいただきありがとうございました。

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