第29話 絶体絶命! 助けて私のヒーロー!!
「ううむ、我輩の推理によればシャイニーフェニックスは必ずこの近くにいるはずなのだが……」
秋桜学園の前の道路を黒いマント姿というどこからどう見ても不審者にしか見えない格好をした男が歩いていた。
男の名はミケホームズ。数日前シャイニーフェニックスによって撃退されたあの巨大猫怪人の人間体であった。
「このままシャイニーフェニックスが見つからねば、ブーミ様にどのような処罰を受けるか分からんというのに……」
ミケホームズは苛立った様子で口に咥えたパイプをガシガシと噛みながらぶつぶつ呟く。彼の脳裏をよぎるのは数日前、シャイニーフェニックスに敗れ基地へと帰還した時の事だ。
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「ミケホームズ、貴様よくもおめおめと戻ってこれたな!」
ギーガーク帝国要塞基地の医務室、戦闘で受けた傷を癒すためにやってきたそこでミケホームズを待ち構えていたのは、彼の上司であるブーミ・ダインの叱責の言葉であった。
「ひぃっ!」と身をすくませる彼を睨みつけ、ブーミは怒りを隠そうともせずに言葉を続ける。
「シャイニーフェニックスの正体探しを命じておいたのに、的外れな推理を披露するわ、負けて恥も外聞もなく戻ってくるわ、貴様がここまで無能だとは思わんかったぞ!」
部下である怪人の働きは、彼らに埋め込まれた装置によって基地に送られているため、その行動は全て筒抜けだ。当然彼が敗北したことも、その理由もブーミは全て把握していたのだった。
だからこそ、彼は激怒していたのだ。
「そ……それは……」
ミケホームズは何も言い返せず言葉に詰まるしかなかった。
「せっかくシャイニーフェニックスと××××する最高の夢を見られて気分が良かったというのに、貴様のせいで台無しになったのだ! どう責任を取るつもりだ!」
「も、申し訳ございません……!」
理不尽に怒り狂う上司に対しひたすら謝罪を繰り返すしかない哀れな下っ端であった。
「まあまあ、そう頭ごなしに怒鳴りつけるものではないわよ?」
そんな険悪な空気の中に割って入る者がいた。医療班所属のヒィラー・ラヴィットである。
彼女はミケホームズの肩に手を置きつつブーミに向かって微笑を浮かべる。
「シャイニーフェニックスの正体に関する的外れな推理はともかくとして、負けたことやあっさり逃げ帰って来たことに関してはあなたはこの子を責められる立場ではないでしょう?」
その言葉には、静かな迫力があった……。
「うるっさい! 戦闘要員でもないくせに口を出すんじゃない!」
しかしそんな威圧も今のブーミには通用しなかったようだ。彼は声を荒げて反論するのみだ。
「やれやれ、困ったちゃんねぇ」
そう肩をすくめるヒィラーを無視し、ブーミはミケホームズに指を突き付ける。
「ともかく! 貴様はもう一度地球に赴きなんとしてでもシャイニーフェニックスの変身者を特定するのだ! その任務を成し遂げられるまで二度と戻ってくることは許さんからな!」
その剣幕に押されてか、ミケホームズは思わず頷いてしまうのだった。
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「我輩にはもはや後がない、しかし手掛かりすらないのではこれ以上推理のしようもない……」
自分を名探偵だと信じて疑わないミケホームズは手掛かりさえあれば必ず真相を解き明かして見せる自信があったのだが、肝心のそれが見つからないので頭を抱えていた。
そんな時である、気まぐれに吹いた強風によって飛ばされてきた何かが彼の顔に張り付いた。
「むぐっ、なんだこれは!?」
手を伸ばし、それを顔から剥したミケホームズの目に飛び込んできたのは驚くべき文字であった。
【衝撃! シャイニーフェニックスの正体は当学園中等部1年B組のヒーローオタク少女M!】
そう、それは秋桜学園新聞部が発行した例の記事が掲載されている学校新聞だったのだ。
「こ、これは……。フハハハ! 地球の運命の女神とやらはどうやら我輩の味方のようだぞ!」
探し求めるシャイニーフェニックスの正体の手がかり、それがこんな形でもたらされたことに興奮を隠しきれない様子で身体を震わすミケホームズ。
「シャイニーフェニックス、貴様の尻尾掴んだぞ!! これをブーミ様に報告し、ヒーローオタク少女Mとやらの調査をしてシャイニーフェニックスであることを暴いてやる!!」
記事を握りしめながら歓喜の声を上げるミケホームズ。そして彼はマントを翻しその場を後にするのだった。
*
とうとうギーガーク帝国が疑惑の調査を開始する段階まで来てしまった。
だが、当のみうはそんな事を知る由もなく生活を送っていた……。
*
私がシャイニーフェニックスの正体だと指摘する記事が出たあの日から今日で約一週間。
私はその日も自分に向けられる好奇の視線に耐えながら学校での一日をこなしていた。
(ああ……もういい加減この騒ぎ収まってくれないかなぁ……)
休日を挟んだことで騒ぎが沈静化することを期待していたのだが、その願いは虚しく裏切られたようで、登校してみれば相変わらず私に突き刺さる視線の数々。
それはまるで針の山のようだった。
その中でも一際鋭い視線がある、振り返って確認するまでもない。あの記事の執筆者にして私の正体暴きに執念を燃やす新部文乃さんだ。
『さあ、いい加減正体を見せなさい香取みう! 疲れたでしょう? 認めてしまえば楽になれるわよ!』
なんて声が聞こえてきそうな程ギラギラとした瞳で私を睨んでいるのが分かるし、その視線には様々な感情が込められていることも分かる。
理由はよく分からないけど、どうやら新部さんは私に対してかなりの敵意を持っているようなのだ。
それが、真実を知りたいという好奇心と記者としての使命感と混ざり合った結果が今の状態なのだろう、多分……。
「はぁ……」と私は周囲に漏れ聞こえないよう小さくため息を吐く。
この状況をどうにかしたいとずっと考えてるのだけど、いい方法が見つからない。
シャイニーフェニックス疑惑を払拭するのは無理でも、せめてこの学校での居心地の悪さを改善したいと思うのだけどそれも難しかった。
観察するみたいなことはやめて欲しいなぁ~と一応みんなには言ってるのだけど、人の好奇心をそう簡単に止められるはずもなく、結局現状維持のまま時間だけが過ぎていくのだった……。
だけど、さらに私を焦らせる事態が起こってしまった。それは放課後の事だ。
「あのー、香取みうさんですか?」
智子と並んで校門までやってきた私に、横から声がかかった。
そちらに視線をやると、そこには一人の男性が立っていた。
ヨレヨレのスーツを着た30代後半の男性で、どこか頼りなさげな風貌だけど、目だけは爛々と輝いているような、そんな人だった。
(誰だろう?)
私はその男性に見覚えがなかった。だから私は首を傾げながら少し不審げな視線を向けつつこう答えたのだ。
「……そうですけど、どちら様でしょうか……?」
すると男性は慌てた様子でこう言った。
「ああ! いやすみません突然声をかけてしまって……怪しい者ではないんです」
そう言って彼は懐から名刺入れを取り出し、そこから一枚の紙を取り出して私に差し出した。
「私、こういう者です」
名刺に視線を落としそこに書かれた文字を見た瞬間、私の心臓は跳ね上がった。
「えー、なになに? 『週刊ギガック』岸谷?」
智子が肩越しに覗き込んでくる。そして彼女は驚いたような声を上げた。
「『週刊ギガック』ぅ? 聞いたことない雑誌だけどプロの記者ってこと? そんな人がみうに何の用なの?」
(プロの雑誌記者だなんて……。でも確かにこの人には普通の人にはない雰囲気を感じる……。まるで獲物を狙う肉食獣みたいな……。そんな人が私を待ってた理由って……まさか……)
私はゴクリと唾を飲み込むと彼の言葉を待つ。想像外れてて、お願い……!
「実は、シャイニーフェニックスの件であなたにお話を伺いたいと思いまして……」
やっぱり! あああ、最悪ぅぅぅぅ!! とうとうあの話が学校外にも漏れてしまったんだぁ~! もうおしまいだよぉ~っ!!
あまりのショックで目の前が真っ暗になりかけた私だったけど、なんとか踏ん張り気を取り直して言う。
「シャ、シャイニーフェニックスの件で私に聞きたい話ってなんですか? まさか、私がシャイニーフェニックスとかいう話ですか? や、やだなあ、雑誌の記者さんともあろう人がただの学校新聞のいい加減な記事を信じちゃうなんてぇ……」
精いっぱい冗談めかして言うけど、声が震えてしまっているのが分かるし、何より自分でも分かるくらい目が泳いでいた。
すると男はニヤリと笑い肩をすくめる。
「確かにいい加減な記事かも知れませんねぇ、しかし火のないところに煙は立たないとも言いますよ? まあともかく真実はどうかを確かめるためにもお話を聞かせていただきたいのですがね?」
(うう……どうしよう……?)
私は心の中で頭を抱えた。この人はきっと私をシャイニーフェニックスだと疑っているのだ。もしここで認めてしまえば大変なことになるに違いない。
学校内で噂が広まっただけでもあの騒ぎだもの、全国で売られているであろう写真週刊誌なんかに載ってしまったら一体どうなることか想像もできない。
少なくとも今までみたいな平穏な生活は送れなくなるだろうことは容易に予想できた。それだけは何としても避けなければならない! でもどうやってこの場を切り抜けるべきか全然思いつかなかった。だって相手は雑誌記者さんだもん、下手な言い訳なんて通用しないだろうし、そもそも何を言っても信じてもらえる気がしないよぉ~!
そんなこんなでパニックになる私を見かねたのか、智子が毅然とした態度で口を開く。
「雑誌の記者ってのは暇なのね! あんな噂を信じて学校にまで来てさ!」
「なんだって?」
ムッとした様子で眉を吊り上げる男に怯むことなく、智子はさらに追い打ちをかけるようにこう続ける。
「それに下校時間に校門で待ち構えて『話を聞かせてくれ』なんて常識なさすぎじゃないの? 通報されたって文句言えないと思うんだけど?」
その言葉に男はハッとして周囲を見回す、智子が大きな声をだしたせいで周りの生徒たちから注目を浴びてしまっていたのだ。
「チッ……」
私の耳に彼が舌打ちする音がハッキリと聞こえてきた。
「そうですな。仕方ない、今日のところは引き下がりましょう。香取みうさん、後日改めてあなたにはお伺いさせていただきますのでそのつもりでお願いしますよ?」
「え、ええ……」
男の言葉に、私は苦笑いを浮かべるしかできなかった。
(智子のおかげでなんとかこの場は切り抜けた……けど)
きっと彼はまた来るに違いない。どうしよう……。だけど、それ以前に私の噂がすでに学校外にまで広がりをみせているというその状況がすでに危機的だった。今後彼以外にも私に対して取材を申し込んでくる記者が現れかねないからだ。私の平穏はもう崩れかけている、なんとか……なんとかしないと……!!
「ただいま……」
とりあえずあの後は特に問題はなく私は自分の家へと帰ってきた。
「お帰り……って、ど、どうしたの!? ものすごく暗い顔して?」
私を出迎えてくれたルビィがビックリした表情で問いかけてくる。
「ルビィ……どうしよう……このままじゃ、秘密バレるのも時間の問題だよぉ……!」
泣きそうな声でそう訴える私に、彼は慌てた様子でさらに問いかける。
「一体どうしたの? 落ち着いて話してごらんよ!」
そう促され、私はさっきの出来事を話す。静かに話を聞いていたルビィだったけど、次第にその顔が青くなっていくのがハッキリと見て取れた。
「え、えぇ!? 雑誌の記者が君に接触してきただって……!」
「うん……。とうとう学校内だけじゃなくて、外にも私がシャイニーフェニックスなんじゃないかって話が漏れ出しちゃったみたい……」
私はそこまで言うと一旦言葉を切り、両手を胸の前で組みながらルビィに縋り付くように続ける。
「ルビィ。もう悠長なことを言ってられないよ! 沈静化するどころか噂はどんどん広がる一方なの。新部さんも諦める様子が全くないし……。もっと噂が広まれば最悪ギーガーク帝国の奴らにまで知られちゃうかもしれないんだよ!?」
私の訴えに、しかしルビィは困り果てた様子でその顔を翼で覆う。
「う、う~ん……。けど、一体どうすればいいのか、ボクにもわからないんだよぉ。この一週間何度も対処方法考えたけどどれもこれも現実的じゃないものばかりだし……」
確かにそうだ。さんざん考えて結局いい方法が見つからなかったから今の状態があるわけで、急にいいアイデアが降って湧いてくるわけはないのだ……。
「こうなったら、いっそのことその新部って子に君がシャイニーフェニックスだって教えちゃおうか? その上で事情全部話して秘密にしてくれって頼むんだ。言い出しっぺのその子が訂正記事を書いてくれれば君の疑惑は消えるはずだからさ」
ルビィの提案に私は一瞬思案する。それしか手はないのかもしれない。
新部さんは本質的には悪い子じゃないはず。私に敵意は持ってても事情を知ればわかってくれるくらいの度量はあるはず。
私がシャイニーフェニックスだと知ったとしてそれを周囲に言いふらしたりしないだろうし、頼めば訂正記事だって書いてくれるだろう。だけど……。
「ダメ……。話すということは新部さんをギーガーク帝国との戦いに巻き込んでしまうって事でしょ? それに、どれほど注意していたとしてもうっかり口を滑らせるってことがないとは言えない。話したら、その時点で終わりなんだよ……」
それに、ここまで事態が大きくなってしまった今、新部さんが「ごめん、あの記事は私の勘違いだったわ、てへぺろ☆」みたいなことを言ったとしてそれで事が収まるのかという疑問もある。むしろいきなり記事を取り下げることで逆に不信感を持たれてしまうかもしれないのだ。
「そっか……そうだね。新部って子の安全も考えたら、話すって案は却下せざるを得ないね……」
「うん……」
力なく言うルビィに同じく力なく答え私はふらふらとベッドに歩み寄るとそのまま倒れこむ。
私の頭の中にはどんどん暗い想像が広がっていく……。
正体がバレ、シャイニーフェニックスの正体として世間の注目を浴びる私。そこまではいい、それは一種のアイドルみたいな状態になるってことだもの、むしろ私自身心のどこかで望んでいたことでもある。
だけど問題はその後、その話はすぐにギーガーク帝国の知るところとなり、奴らが私を捕まえに来るのだ! もちろん私はそれに対抗して戦うけど、あいつらはほぼ無限に戦力を送り込んでくることが出来る、それに私を倒すために私の近しい人たち――パパやママ、智子や翔くんを始めとする友達たちが人質に取られる可能性だってある……!
そうなったら、私は確実に負けるだろう……。そして負けるということは殺されちゃったり、洗脳されて奴隷にされちゃったりするってことなんだ……。
そんな未来のビジョンが見えてしまい、私は心の底から恐怖を感じた。
(そんなの嫌だよぅ……!! どうすればいいの……誰か助けて……。誰か……)
じわっと涙があふれてくるのを感じた。……ダメだ、泣いちゃ……。泣いたって何も解決なんかしないんだぞ……。
自分で選んだ道でしょ? 苦しくても、辛くても、ヒーローなら乗り越えて見せなきゃ……。
私は顔を上げてベッドの枕元の棚に目をやる、そこにはシュナイダーさんを模した自作フィギュアが置かれていた。
私はそれに手を伸ばすと、握りしめそれに向かい心の中で問いかける。
(ねぇ、シュナイダーさん。シュナイダーさんだったら、こういう時どうするんですか……?)
だけど、答えが返ってくることはない。当たり前だ、これは人形だもの、本物じゃないもの……。
「みうちゃん……」
ルビィの呟きが聞こえてくる。ああ、ルビィにこんなみっともない姿見られて恥ずかしい……。涙拭かなきゃ、大丈夫だよって笑って見せなきゃ……!
そう考え、体を起こそうとしたその時。
ブゥーン――……とかすかな振動が左手首に伝わるのを感じた。
私はハッとして自分の手首……そこに巻かれたSPチェンジャーに目をやる。
これって……もしかして……。
SPチェンジャーのこの挙動を私は知っている。これは、通信を受信したときのものだ! つまり、誰かが私に通信を送って来たという事。
ドクッドクッと心臓が激しく脈打つのを感じた。まさか、まさか、まさか……。
私は恐る恐るSPチェンジャーを操作し通信回線を開く。すると、SPチェンジャーから光が発せられ空中にモニタを映し出した。
そこに映っていたのは……今一番会いたかった私のヒーロー! 相変わらずの全身プロテクター姿で顔もヘルメットに覆われているけど、バイザーの奥から覗く優しい瞳は私の心をあったかくしてくれる。
『よしよし、ちゃんと繋がったな。通信回線は良好のようだ。……と。やぁ、みうちゃん、久しぶりだね。元気にしてたかい?』
「シュ、シュナイダーさん……!!」
ああ、やっぱり本物だ……! 本物のシュナイダーさんが喋ってる……!! 感動のあまり涙がボロボロこぼれてくる。
ベッドの下ではルビィが、「えっ? シュナイダー様?」なんて驚いた声を上げていた。
「は? え? ちょ、ちょ、ど、どうしたんだい? 急に……!?」
モニタの向こうではいきなり泣き出した私にシュナイダーさんが戸惑いの声を上げる。
いけない、こんな恥ずかしいところ見せちゃいけないのに……。
だけど、拭っても拭っても涙が溢れてくる。だって、嬉しくてうれしくて仕方がなかったんだもん。
大ピンチの時に「助けてください」って心の中でお願いしたこのタイミングでまるでそれが届いていたかのように通信をくれたんだもの!
「ご、ごめんなさい……でも、ぐすっ、嬉しくて……う、う、うえええぇぇん……!」
私はもう我慢できずに声を上げて泣きじゃくってしまうのだった。
『みうちゃん……もしかして、何かあったのかい?』
真剣な声で問いかけてくるシュナイダーさんに私はハッと顔を上げる。
『俺は君についてそんな詳しいわけではない、だけど、君の性格は理解してるつもりだ。だから、君はよっぽどの事じゃない限り泣いたり弱音を吐いたりしない子だって事もわかってる』
シュナイダーさんは私の事をよく見てくれている。その事がとても嬉しかった。
「うう、ぐすっ……」
その事が余計に私を涙ぐませてしまった。事情を説明したいけど声が詰まって言葉が出てこない。
「シュナイダー様、大変なんです! みうちゃんの……シャイニーフェニックスの正体がバレそうになってるんです!」
そんな私の代わりに、横にやってきたルビィがモニタを覗き込みながら言った。
『なんだって……? 正体が……。詳しく教えてくれ!』
「はい……」
「そうか、なるほどな……」
ルビィと、落ち着きを取り戻した私の説明を聞きシュナイダーさんは顎に手を当てて頷いた。
「シュナイダーさん、どうすればいいんでしょう……。このままじゃ私がシャイニーフェニックスだと知られちゃうのは時間の問題です、だけど私にもルビィにもどうすればいいのか見当もつかなくて……!」
私は縋るようにシュナイダーさんに問いかける。シュナイダーさんが助けてくれればきっと何とかなる! そう信じて疑わなかったんだ。
そして、それに答えてくれるのがヒーローだ。シュナイダーさんは一つ頷くと私たちを安心させるような優しい口調で言った。
「この状況を解決する方法はただ一つ。シャイニーフェニックスと君は別人であるとみんなに認識させることだ」
「ええ、だけどそんな方法思いつかなくて……」
顔を伏せる私にシュナイダーさんは親指をグッと立てて答えてくれる。
「大丈夫、いい方法がある。だけどそのためには」とそこで言葉を切るとルビィに視線を向け続ける。
「ルビィ、お前の頑張りが必要だ」
「え、ボ、ボクの? でも、ボクに出来ることなんて……」
戸惑った様子で自分を翼で指差すルビィ。そんな彼を勇気づけるようにシュナイダーさんは言う。
「あるさ! いや、出来るようになってもらう。お前はサポートアニマル、そして成長型バイオロイドだ。お前に秘められた能力を今こそフルに発揮してもらう!」
「ボクの……能力……。分かりました、なんとかやってみます!」
ルビィは困惑しつつも、力強く頷くのだった。
「みうちゃん。この方法を使えば君とシャイニーフェニックスを別人と認識させることが出来るはずだ。だけど、君にも多少の危険が伴ってしまうかもしれない、それでも大丈夫かい?」
真剣な表情で問いかけるシュナイダーさん。私は一瞬躊躇するもすぐに頷いて答える。
「……はい、大丈夫です。お願いします」
私がそう言うと彼は少し安心したように微笑んだ。
「よし、それじゃ説明するぞ。まずは……」
こうしてシュナイダーさんによって私はこの危機を乗り越える方法を教えてもらうのだった……。
お読みいただきありがとうございました。
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