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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第6章【バレちゃった!? 私の秘密!!】

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第23話 呑気な私と悩む翔くんです!

「ええっ!? ギーガーク帝国の怪人に遭遇した!?」

 商店街から自宅へ戻り、お留守番をしていたルビィにさっきの出来事――ミケホームズという怪人と戦った話をしようと口を開いた私に、ルビィがさっそく驚きの声を上げた。

「そ、偶然って怖いよね、たまたま行った商店街で怪人に遭遇しちゃうなんてさ」

 そう肩をすくめながら言う私に、ルビィは翼を顎に当てると、「そうだねぇ」とどこか感心したような呆れたような声を上げる。

 私の運の悪さ、いやあるいは良さと言うべきなのか、とにかくそれに対して思うところがあるらしい。

「でもまあ、怪我とかしなくて良かったよ」

 そう言ってホッと胸を撫で下ろす仕草を見せるルビィだったが、私は片手を軽く振りながら言う。

「大丈夫大丈夫、あの程度の相手に苦戦するほど私もヤワじゃないからね!」

 私がそう言うと、ルビィは「それならよかったよ、君も強くなってるんだね!」と言って笑顔を見せた。

 そう言われて何だか嬉しくなった私は、胸を逸らし「ふふん♪」と自慢げに鼻を鳴らす。

 私は最近自分の強さに対して自信を深めていた。あの怪人は決して弱くはない、最初の頃だったら勝てたかどうか怪しいぐらいの相手ではあったのだ。それをあっさりと撃退出来たのだからこれはもう強くなったと言っていいだろうと思う……まぁそれでもまだまだ未熟な部分は多いのだけど。

 そんなことを考えているとルビィがふと「でも……」と呟いたのでそちらを見ると、彼は顎に手を当てて何やら考え込むような素振りを見せると続けて言った。

「その怪人は一体何の目的で商店街なんかに現れたんだろう?」

 その言葉に私はハッとなる。そうだ、忘れてた。そのことについても話そうと思っていたんだった。

 そう思いつつ私は答える。

「なんかその怪人私の事を探してたみたい……」

「君の事って……? シャイニーフェニックスのことを?」

 聞き返してくるルビィに私は軽く首を振る。そして、少しだけ固い声で言った。

「シャイニーフェニックスじゃなくて、その変身者……。つまり、正体である私を見つけ出そうとしていたみたい……」

 私のその返答にルビィは目を丸くし、慌てた様子で言う。

「え、ええっ? それって、結構まずいんじゃ……!」

 私――香取みうがシャイニーフェニックスの正体だということは、基本的に秘密となっている。

 知られたら色々と面倒なことになるからだけど。その面倒事の一つとして、敵に正体を知られたら色々と動きづらくなるというものがある。

 変身前を狙われたり、家族や友達を人質に取られたりとかする可能性も出てくるのだ。

 敵が私の正体探しを本格化したということは、当然正体がバレる危険性が増すということで、ルビィが“結構まずい”というのはそういう事なのだけど……。

「うーん、でも、実はそこまで怖がる必要ないのかも……」

 私は人差し指を顎に当てながら呟く。脳裏に浮かぶのは商店街での怪人の言動だ。

「え? どうして? だって、怪人が君を探して回ってるんだろ? そんなお気楽に構えてる場合じゃないと思うけど……」

 ルビィはそう言って首を傾げるので私は続ける。

「いや、何て言うか、ギーガーク帝国のシャイニーフェニックス探しの担当者がみんなあんな感じなら、私この先も絶対正体バレないんじゃないかなーって」

 私がそう言うとルビィは一瞬キョトンとした表情になった後、「それってどういう事?」とさらに大きく首を捻った。

 そんなルビィの頭を軽く撫でながら、私は商店街での出来事をルビィに説明する。

「へ、へぇ……。5歳ぐらいの女の子を指差してシャイニーフェニックス、ね」

「ありえないでしょ? あんなのがいくら頑張って探してみたところで、どうやったって私に辿り着けっこないよ」

 正直私は敵がシャイニーフェニックスの正体が紗印(しゃいん)市在住の中学生の女の子というところぐらいにまで辿り着くことは覚悟していた。

 ただ、そうなったところで、この町に女子中学生が何人いるんだという話でどっちにしろ特定は無理だろうと思っていたのだけど、敵は私の想像以上におバカさんだったらしい。

「確かにね……5歳の子捕まえてシャイニーフェニックスだって指摘するレベルでしか特定できてないのなら、君の事を見つけられそうにないけど……」

 そう言って苦笑するルビィに私はさらに思い出した事を付け加える。

「それにね、ルビィと出会う前の話だけど一度シャイニーフェニックスの正体探してる怪人に遭遇したことあったのよね」

「えっ、そうなの?」

 興味津々と言った感じで身を乗り出してくるルビィに私は指を一本立てて話を続ける。

「そいつ、どんな方法でシャイニーフェニックス探してたと思う? 自分にゲームで勝てるのがシャイニーフェニックスの正体だとか言ってたのよ?」

 その話にルビィは目をまん丸くして驚いた様子を見せる。まさかルビィもギーガーク帝国がそこまでおバカなことをするとは思っていなかったのだろう。

 あの時はゲーム大得意な智子がシャイニーフェニックスの正体だと疑われるという別の意味で危ないことになったけど、私と智子が別々にいる姿を見せたおかげであっさりと疑いの目は晴れたのだ。

 あれ以来智子が狙われる様子がないことを考えると、敵はシャイニーフェニックスの変身者を狙ってはいてもそれ以外の相手に危害を加えるつもりはあまりないらしい。

 つまり、仮に誰かが私の代わりにシャイニーフェニックスだと疑われたとしても、私が出て行って「その人と私は別人だよ!」とか言ってやればすぐに解決するはずだ。

 要するに私本人がピンポイントでシャイニーフェニックスの正体だと疑われ指摘されない限りは問題ないということだ。

 そしてそれは逆に言えば……。

「君が誰かに怪しまれて問い詰められたりでもしたら、その時はもう誤魔化しようがないってことだね……」

 私の説明を聞いたルビィはそう言って小さくため息をつくのだった。

「それも心配ないよ。変身にも変身解除にも気を使ってるんだから! それにそのための目くらましスモーク機能でしょ?」

 今日に関してはルビィを連れて行かなかったので使えなかったけど、ルビィには変身用のスモーク発生能力がある。その煙の中ではカメラやセンサー類の類は一時的に機能を失い誰にも見咎められることなく変身することができるのだ。

「そう……だね。みうちゃんは少しドジなところもあるけど、そこらへんは慎重なはずだし大丈夫だよね」

 そう言って安心したような笑顔を見せるルビィに私は大きく頷きながら「そう、そう!」と返すのだった。

 ……ん? 今何か失礼な言葉も聞こえたような気がするんだけど……まぁいいか。

「さてと、それじゃこの件はここでおしまい! 夕飯の時間までまだあるし、ゲームでもしよっか?」

 私が尋ねると、ルビィはパッと顔を上げと嬉しそうに目を輝かせた。

「うんっ!!」

 こうして一日は過ぎて行ったのである。私はまだ知らない……翌日から自分の身に降りかかる災難を……。

「あいつがシャイニーフェニックス……そんな馬鹿な……いや、でも……」

 オレはぶつぶつと呟きながら部屋を行ったり来たりしていた。

 ここはオレ、氷川翔平の自宅のオレの部屋。結局あの後何をする気も起きず家に帰ってきたオレだったが頭の中はやはり先ほど目撃した光景で一杯になっていたのだ。

 トイレに入って行ったシャイニーフェニックス……直後に出てきたみう……どれだけ冷静になって考えてもやはり出てくる結論は同じだった。

(みうが元からトイレの中にいたのなら、シャイニーフェニックスと鉢合わせしないはずがない。なのにトイレから出てきた時のみうは何のリアクションも起こさなかった)

 みうはヒーロー大好きだ、シャイニーフェニックスと出会ったなら絶対に声の一つも上げるはずなのだ。

 シャイニーフェニックスが個室に入った瞬間にみうが出てきて奇跡的にすれ違ったという説も考えてみたが、時間的にそれは考えづらかった。

「くそっ、さっきから否定しようと頑張ってるのに何をどうやってもあいつがシャイニーフェニックスだって答えしか出てこない……!」

 オレは苛立ちながら頭をガシガシとかきむしった。

 しばらくそうしていたオレだったが、ふと大きく息を吐くと机の前に座りパソコンの電源を付ける。

 そして、検索ボックスに『シャイニーフェニックス』の名を打ち込んでみた。

 オレたちの住む紗印(しゃいん)市を中心に活躍する正義のヒロイン・シャイニーフェニックスは実在の人物であるが都市伝説的に語られている存在でもある。

 まあ、それは当然とも言える。

 アニメの世界から抜け出てきたようなコスチュームを身に纏い、宇宙人と思しき怪物たちと戦う謎の少女なんて実際に目の当たりにでもしない限り信じる方が難しいだろう。

 今日もネットではシャイニーフェニックス(とギーガーク帝国)の正体についての議論が白熱しているようだ……。

 オレはそれにざっと目を通しながら考える、シャイニーフェニックスの正体を、目的を……。

 もしも本当にみうがシャイニーフェニックスだとするならば、あいつは何故力を身に付けることが出来たのか、いや、オレが知らないだけであいつは元々特別な存在だったのか。

 オレはそんな事を考えながらパソコンの文字を目で追った……。

「なるほどな、ネットではシャイニーフェニックスの正体については色々語られてるみたいだが、大きく分けて地球人説と宇宙人説の二つがあるみたいだな……」

 地球人派にも色々いるが、彼らの大きな根拠としてはシャイニーフェニックスがあまりにも地球人然とし過ぎているというのが挙げられる。

 実際間近に接したことのあるオレの目から見ても、彼女は本当に地球人と何も変わらないように見えた、他の人にとってもそうなのだろう。

 また、シャイニーフェニックスの格好が変身ヒロインアニメ(プチピュア)そっくりということも根拠として挙がっていた。

 それを理由としてシャイニーフェニックスとギーガーク帝国の戦いは、新作映画の宣伝だという説を唱える者もいるほどである。

 最も実際に戦いによる被害が出ている以上これは流石にありえないだろうというのが大方の見解だが……。

 まあ、そんな感じで地球人派の根拠は彼女の見た目によるところが大きいわけだが、彼らを悩ませているのはやはり彼女の能力についてのようだ。

 地球人と考えるには、シャイニーフェニックスはあまりにも異常な能力を有している。

 政府の特殊エージェントであるとか、国が極秘開発した兵器の被験者だとか色々な説があるがどれもこれも説得力には欠けるようだ。

 一方の宇宙人派であるが、こちらの方が現在は多数派となっているようである。

 宇宙人なら地球人から考えられない能力を持っていても不思議ではないし、地球人に見た目が似ているのもそういうふうに擬態しているからだで説明が付いてしまうからである。

 また、シャイニーフェニックス当人がギーガーク帝国は宇宙の侵略だと語っていたらしく、当然そいつらに対抗しているのならばシャイニーフェニックスも宇宙人だと考える方が自然だろう。

 とはいえ、それはそれで色々と疑問が出て来るし、宇宙人だとするなら何故地球に肩入れしてくれるのかなど謎も多い。

「うーん、結局何一つわかってないってのが現状みたいだな……」

 まあ、ネットでシャイニーフェニックスの正体がわかるなら苦労はしない、正体がわからないから議論は白熱しているのだ。

(しかし、これだけの説が出てくるシャイニーフェニックスの正体、それがもしみうだとしたら……)

 地球人であれ宇宙人であれ、オレの知っているみう像がガラガラと音を立てて崩れていくような気がした……。

 いや、もしかしたらオレが今まで見てきたものは全て偽りで、本当の彼女は……。

 一瞬そう考えてしまうが、オレは頭をぶんぶんと振りそれを必死で頭から追い出そうとする。

(そんなことあるはずがあるか! オレとあいつは生まれた時から知っている仲なんだ! 一緒に風呂だって入ったことがある!)

 それにオレはあいつの両親についてもよく知っている、というかオレの両親があいつの両親と仲が良かったからこそオレたちは幼馴染として育ったんだ、そんなあいつが実は宇宙人だったとか特別な力を秘めていたなんてことがあるはずはないのだ……。

 あいつのことでオレの知らないことなんてあるはずがないんだ……!

 だけど、シャイニーフェニックス=みうという考えがどうしても頭から離れない。その時、オレの目がある書き込みに留まった。

 それは、シャイニーフェニックスの正体議論の書き込みの一つだった、そこにはこう書かれていたのだ。

『じゃあ俺が宇宙人説と地球人説の両方を納得させる素晴らしい説を提唱してやるよ。シャイニーフェニックスは宇宙人が地球人の誰かと入れ替わってる説だ!』

 一笑に付されているその書き込みだったが、オレは思わずドキッとする。何故ならこの説なら、すべての説明が付いてしまうからだ……。

(まさか……シャイニーフェニックスはみうと入れ替わっている……?)

 オレは確かにガキの頃からみうのことを知っている。だが、最近のみうについてはどうだ?

 むしろ知らないことの方が多いんじゃないか……?

 いつの間にか、あいつの家に遊びに行く機会が減った……。最後にあいつの部屋に入ったのいつだ?

 あいつが知らない間に別の誰かに入れ替わってたとして、気づけるほどオレは最近のあいつと親しくないんじゃないのか……?

(まさか……まさか……)

 オレは胸の中で疑念がどんどんどんどん膨らんでいくのを感じた。

(もし、あいつがオレの知らない『何か』に変わってしまっているとしたら……!)

「オレは一体どうしたらいいんだ……」

 口から漏れた呟きはただ空気に溶けて消えていくだけだった……。

お読みいただきありがとうございました。

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