第12話 ドジっ子ルビィ、さっそくやらかしです!
「みうちゃん……みうちゃん……」
遠くから誰かが呼んでいる声がする……。
私は薄靄の中をぼーっと声のする方に向かって歩いていく……。
しばらく進んでいると、目の前に誰かの後ろ姿が見えてきたので声をかけようとした瞬間、その人影が振り返った……!
(あ! あれは……!!)
そこにいたのはなんと――!! 私の憧れのヒーローだった。そう、それはまさしく私がずっと会いたかった人物だったのだ!!!
「シュナイダーさん!!」
思わず叫んでしまった私に彼は両手を広げて応えたのだった……。
「久しぶりだね、みうちゃん」
相変わらずの優しげな声と瞳……。私は胸が高鳴り頬が熱くなるのを感じた。
私は感極まって涙を流しながら彼の胸に飛び込んで行く。
「どうしてここに?」
胸の中で上目遣いで見上げる私に対してシュナイダーさんは優しく頭を撫でてくれた。その心地よさに目を細めつつ尋ねる私に対してシュナイダーさんが答える。
「君にどうしても会いたくてね。任務の合間を縫ってやって来たんだ……」
その言葉に私はじーんと感動して胸がいっぱいになった……! ああ、やっぱりこの人は私にとっての最高のヒーローだ……!!
そんな事を思っていると、シュナイダーさんは私の顎に手を当て、クイッと持ち上げたかと思うとそのまま顔を近づけてきた!
「えっ!? シュ、シュナイダーさん!?!?」
戸惑う私に、シュナイダーさんはどこか熱っぽい口調で言う。
「頑張ってる君に、とっておきのご褒美をあげようと思って……さ」
カシャンッと、シュナイダーさんのマスクが開き、口元が露出される。そして、さらに顔が近づいて来る……!
(こ……これって……もしかして……キ……キス……されるのかな……??)
戸惑い、期待、不安、わずかな恐怖、そんな感情が入り乱れて頭が混乱してしまう中、ついにお互いの唇が触れ合おうとした瞬間――!!
「みうちゃん!!」
突然大きな声が響いたかと思うと、すべてが一瞬で暗転したのだった――。
目を開けた私は、自分を覗き込む一羽の鳥と目が合った。
「きゃあああっ!」
「わあっ!」
悲鳴を上げる私に、その鳥――昨夜うちへとやってきたS.P.Oのサポートアニマル・ルビィもまた驚きの声を上げる。
「酷いなぁ、いきなり人の顔見て悲鳴上げるなんてさ」
そう言って口を尖らせるルビィに私は顔を赤くしつつ答える。
「目覚めていきなり目の前に鳥の顔面があったら驚くに決まってるでしょ! 起こしてくれるのはいいけど、あんまり驚かせないでね?」
私がそう言うと、ルビィは肩をすくめながら言った。
「それは悪かったね。だけど、みうちゃんってば寝ながらニヤニヤしてるんだもん、どんな夢見てるのかと思っちゃってさぁ……」
その言葉に先ほどの夢を思い出して、私の顔が熱くなる。
シュナイダーさんが、私に、キ、キ、キ、キスなんて……! あぅぅ~!! 思い出しただけで顔が熱くなってきちゃったよぉ~!
夢は願望の表れだって言うけど、あれが私の……?
だけど、私のシュナイダーさんへの気持ちはあくまでも純粋な憧れであって、恋とか愛とかじゃない……はず。
それに、私とシュナイダーさんでは、年が違いすぎて釣り合わないし!
うん、だからあれはただの夢……。きっと、私の大人への憧れと、恋をしてみたいって言う願望、ヒーローシュナイダーさんへの憧れの気持ちが変に合わさっちゃった結果、あんな夢を見たんだ! そうに決まってるよ!!
……でも、ちょっとだけ、勿体なかったかも……。
「ん? どうしたの?」
少しだけ恨めしそうな目で見つめる私にルビィが首を傾げる。私は慌てて首を振りながら答えた。
「な、なんでもないっ!」
その言葉と共に、私は自分の中の変な気持ちを追い出すと、顔を洗うべく洗面所に向かったのだった――。
(夢は中断されちゃったとはいえ、おかげでこうして余裕をもって学校に行けるんだから、ルビィには感謝すべきなのかな……?)
私は心の中で呟きながら、学校への通学路を歩いていた。
(それにしてもあの夢……)
思い出して、再び顔が熱くなるのを感じる。あり得ないことだけど、もし現実でシュナイダーさんにキスされたらどうしよう……ああっ、駄目だぁ、またドキドキしてきたぁ~!!
私はぶんぶん頭を振って妄想を振り払う、そのせいで油断してたみたい、背後から忍び寄る人影に気づくことができなかった……。
「今日はピンクか……」
そんな言葉と共に、足元がスースーする感覚を覚える。
めくられたっ! 慌ててスカートを押さえつつ振り返るとそこにはヤツの姿が……!!
「……翔くうううううん……!!」
私は地獄の底から響くような低い声で名前を呼ぶと、思いっきり睨みつけた――!
「ははっ、今日はまたずいぶんと無警戒だったな。オレが堂々と背後に立っても気づかないなんてさ!」
そう言って笑うのはおなじみ、意地悪幼馴染の翔くんこと氷川翔平である。
この男はぁ……! 本当に油断も隙もないんだからぁ~! 私がキッと睨むと、彼は肩をすくめて言った。
「おいおい、そんな怖い顔するなよ~? オレたちは……」
あっ、ヤバ……これっていつものアレだ、『お約束』ってやつ……!? そう、例の一緒にお風呂云々のやつだ……!!
(ど、どうしよう……!!)
私の頭の中で警報が鳴り響いていたけど、翔くんがその先を口にすることはなかった。
「いてっ!」
彼は突然、自分の頭を押さえてうめき声を上げた。
彼の頭を、一羽の鳥が嘴でつついていたのだ。茶色い羽毛を持つその鳥はまるで翔くんの蛮行を諫めているようだった。
「いて、いてててっ! な、なんだよこの鳥!? なんでオレの頭をつつくんだよ!?」
翔くんは、頭を押さえながら、私から離れると、追いすがる鳥から逃げるように走り回る。
ふん、いい気味……。私が口元に手をやって笑いを堪えていると、彼がこちらに振り返り叫んだ。
「おい、みう! 何を笑ってるんだ!! この鳥、もしかしてお前のペットか何かか!?」
彼の言葉に私はにっこり笑って首肯する。
「そ、昨日からうちのペットになった『ルーちゃん』。基本的に大人しい子だけど私に危害を加えようとする人には容赦しないから気を付けてね~」
説明するまでもないけれど、翔くんの頭をつついている私が『ルーちゃん』と呼んだこの鳥はルビィである。
ルビィという名前はサポートアニマルとしての名前なので、香取家のペットを装っているときは別の名前で呼んだ方がいいだろうということで、(安直極まりない名前だけど)ルーちゃんという愛称を付けたのだ。
「ミウチャンヲイジメルナ! ミウチャンヲイジメルナ!」
流暢に喋れるのに、わざわざ鳥っぽい喋り方をしながらルビィは翔くんの頭を突き続ける。
「くそっ、何がルーちゃんだよ。おい、いいかげんにしろって! みう~なんとかしてくれよ~」
翔くんは情けない声で助けを求めるけど、私はあえて知らんぷりをした。だって、これは罰なんだからね?
しばらくルビィの攻撃を受けていた翔くんだけど、ついに根負けしたのか、「ああっ、もういい。オレはさっさと学校に行く! みう、お前も遅刻するなよ!?」と言って走り去ってしまったのだった……
はぁ、やっと行ってくれたかぁ……ふぅーやれやれだよぉ……まったくもうっ……!
安堵のため息を吐く私、その肩にルビィがちょこんと飛び乗ってくる。そして耳元で囁いた。
「大丈夫? 酷い目にあったね」
どうやら本気で心配してくれているようだ、まあ確かに私と翔くんの関係をよく知らないルビィからしてみれば、いきなり人のスカートをめくろうとする危ないヤツにしか見えないよね……?
「大丈夫大丈夫、いつものことだから。心配してくれてありがとう。でも、ちょっとやり過ぎかな? あれじゃ翔くんハゲちゃうよ?」
私が冗談めかして言うと、ルビィは笑って「あはは、確かに」と同意するのだった。
「ところでルビィ、なんで家から出てきたの? 私が学校に行ってる間は家でお留守番してるんじゃないの?」
そう首を傾げながら言う私に、ルビィは「ああ、それなんだけど」と前置きをしてから答える。
「みうちゃんが学校に行っている間は、ボクはこの町のパトロールをしてようと思うんだ。ギーガーク帝国の奴らがいつ襲ってきても対処できるようにね!」
なるほど……それはいい考えだ。基本的に私はギーガーク帝国に対しては完全に受け身で、あいつらが何か事件を起こしてから対処するという形になってしまっている。
特に私が学校に行っている間はどうしても無防備になってしまうので、それをカバーしてくれる存在がいるというのはありがたいことだ。
私は、彼の言葉に頷きつつ、「そうだね。それじゃお願いするよ」と返した。
それを聞くと、彼は、「それじゃボク行ってくるよ。みうちゃんは学校頑張ってね~」と言いつつ、私の肩から飛び立っていったのだった。
そんな彼の後ろ姿を見ながら、私も学校へと急ぐことにしたのだった――
**********
学校――
特に問題なく時が進み、二時限目の授業中。
黒板にチョークで文字を書きながら話す先生の言葉が響く教室の中、私は自分の席で片手で顎を支えるポーズを取りながらぼんやりと窓の外を眺めていた。
グラウンドでは体育の授業中の生徒達が楽しそうにサッカーをしている様子がうかがえる。
外は雲一つない青空で日差しも暖かくて絶好のお昼寝日和だ……なんてことを思いながら私は小さく欠伸をした。
(はぁ、退屈、早く授業終わらないかなぁ)
こんな調子だからいつまで経っても成績が上がらないという説もあるけど、退屈なものはしょうがないのだ。
そんなことを考えつつボーっとしていると、不意に左手首にわずかな振動を感じ、私はハッとそこへと視線を向けた。
そこには、宇宙戦士の変身アイテムであるSPチェンジャーが巻かれている。一見ただの変わったデザインの腕時計にしか見えないそれは、変身アイテムとしてだけではなく様々な機能を持っている。
通信機能もその一つで、この振動は誰かから連絡が来たことを意味するものだ。
誰か、と言っても今現在この通信を送ってくるような相手はたった一人しかない、そう、昨日から私の相棒になったルビィである。
(ルビィも私が授業中だってことはわかってるはず……。それでも連絡を入れてきたってことは……)
私はガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。先生や他の生徒たちが一斉に私に注目する。
「香取さん、どうしたんです?」
首を傾げる先生に私はしまったと思いつつ、恐る恐る、「あ、あの。ト、トイレに行ってきてもいいですか……?」と言った。
どっと教室中に笑いが巻き起こる中、先生は呆れたように笑いながら、行ってきなさいと言うのだった。
くぅぅ恥ずかしい……。あ、翔くんも笑ってるし! もうっ!! そんな恥ずかしさに耐えつつ、私は急いで廊下に出ると階段の方へと向かった。そして階段を降りて一階の女子トイレへと入ると個室に入り鍵をかけた。
私は胸に手を当てて、一つ深呼吸をすると、未だに振動を続けるSPチェンジャーの表面を軽くタップする。
すると、ブン……という音と共に通信モードが起動する。
「みうちゃん、大変だよ! ボク怪人を見つけちゃった!」
いきなり聞こえてきたルビィの切羽詰まったような声に驚きつつも、私は慌てて聞き返す。
「怪人!? どこにいたの!?」
「遊園地だよ、とにかく早く来て!」
遊園地……学校からは結構離れてるな……。
それに……。
「私、授業中なんだけど……」
そう呟く私に構わず、通信越しから聞こえるルビィの声は必死だった。
「そんなこと言ってる場合じゃないよ! 授業と地球の平和とどっちが大切なんだよ!?」
その言葉に私はハッとさせられる。
「それは……もちろん、地球の平和の方が大切だよ!」
私バカだ、そんなの言われるまでもないのに。まだまだヒーローとしての自覚が足りないね……。
だけど、もちろん学校もないがしろには出来ない、私って欲張りなんだよね!
(今すぐ行って、事件解決してすぐ戻ってくれば、なんとか次の授業には間に合うはず……!)
頭の中で計算をしつつ方針を決めたら善は急げだ! 私はトイレの個室の中で(ものすごくやりづらいけど……)変身ポーズをビシッと決めた。そして……。
「Start Up! シャイニーフェニックス!!」
変身ワードを叫べば変身が始まる……!
変身は実時間にして0.001秒で完了する。だけど、その一瞬の中で私の意識は引き伸ばされ自分が変身していく過程がはっきりと認識できるのだ。
今身に着けている物すべてが光の粒子となり、SPチェンジャーに収納され、代わりにそこから光の粒子として収納されていたSPスーツが私の身体に纏わりつくように装着されていく。
白と赤を基調にしたフリルの付いたミニスカドレス。胸には赤い宝石がはめ込まれたハート型のブローチが光る。
髪は茶髪のショートから、ピンク色のロングヘアーへと変わり、私は香取みうから正義のスーパーヒロインシャイニーフェニックスへとその姿を変えた!
「よしっ、行こう!!」
気合を入れるように言うと、私は個室のドアを開けてトイレから飛び出した!
向かう先は屋上だ、そこから目的地へと飛び立つつもりだった。
「こら、廊下を走るな!」
廊下を駆け抜ける私に対して、すれ違った先生が注意してくるけど……ごめんなさい!! 今はそれどころじゃないんです……!
「すいませーん!」
と一言残し私は階段に向かってダッシュする!
後ろでは先生が、「え、な、い、今の、シャ、シャイニーフェニックス……?」なんて呟いていた気がするけれど気のせいだろう。うん!
(早く行かなきゃ!)
そんな思いで階段を一気に駆け上る!
そして、屋上へと出ると、そのまま上空へと飛び立った。
「ルビィの言ってる遊園地は――こっちね!」
方向を確認し、私はそっちへ向かって空を駆けていく。
目的の遊園地は、郊外にある小さな遊園地だった。ジェットコースターや観覧車など定番のアトラクションが並んでいるのだけど、見たところどこにも異常はないように見える……。
(おかしいなぁ、怪人が出たならもっと騒ぎになってるはずだけど……?)
遊園地を見下ろしながら、空で首を傾げていると、「シャイニーフェニックス、こっちこっち!」という声が聞こえてきた。
見ると、ルビィが翼で手招きしているのが見えたのでそちらに向かうことにする。
「ここに怪人がいたの?」
私はキョロキョロと首を回しながら、ルビィに尋ねる。
どうやらここはアトラクションスペースらしい、近くの看板を見ると『仮面ファイターショー開催中!』という文字が書いてあった。
と言っても、今はショーの開催時間外らしく、誰もいないようだけど……。
ともかく、ルビィは私の質問に対して、少し興奮したような口調で言った。
「うん、そりゃあもうたくさんの怪人が子供をさらう相談をしていてさぁ、ボクびっくりしたよ」
「えっ!?」
驚きの言葉と共に、私は目を見開く。
たくさんの怪人が……子供を……?
そう言えばギーガーク帝国の奴ら、この間も子供を誘拐しようとしてたっけ……。
奴隷にしたり、どこかに売りつけたりするとかなんとか……。
私はぎゅっと拳を握りしめると言った。
「……許せない……!」
「でしょ? だから早くやっつけないと!」
ルビィの言葉に頷きながら、私は彼の案内に従い遊園地内を進んでいく。
「ここ……?」
着いた場所はプレハブ小屋の様な場所だった、悪の秘密基地にしてはしょぼい気がしないでもない。
訝しげな表情を浮かべる私だったけどルビィは、「この中で怪人たちが秘密会議をしてるんだ、耳を澄ませて聞いてみてよ」と言ってきたので扉に顔を近づけ耳を澄ましてみることにする……すると――
「次はどの子供がいいと思う?」
「やっぱり怖がる子供の方がいいだろうな、その方が盛り上がる」
私はハッと息を飲むと扉から顔を離す。確かに、ルビィの言うとおりだった! 中では子供を攫うための相談をしているみたいだ……!
私の頭にカアッと血が上っていくのを感じる、怒りが込み上げてくるのを感じながら私はぎゅっと拳を握る。
「なんてやつらなの……! だけど、思い通りになんてさせないんだから!」
そして扉を開け放つと同時に中へと飛び込んでいった――!!
「子供を攫おうだなんて許さないわよ! ギーガーク帝国!!」
ビシッと指を突き付けながら叫ぶ私だったけど、小屋の中の光景は私の想像していた物とはだいぶ違っていた。
シャツ一枚の汗だくの男の人たちが、ポカンとした顔でこちらを見つめていたのだから……。
あれ……? なんで? どうして?? 困惑しながら周囲を見回す私だったけれど、すぐにその理由に気付いた。
……あちゃー……これはもしかして……。
私がそう思ったその時、男の人が困惑気味に口を開く。
「ギーガーク帝国ってなんのことですか? 俺たちは次の公演について話し合ってただけですけど」
やっぱり! この人たちはヒーローショーの悪役の人たちなんだ!
つまり、子どもを攫うってのはヒーローショーでの話で、おそらくルビィが見た怪人っていうのも、着ぐるみ……。
「その恰好は、あなたも出演者の方ですか? 確かプチピュアショーは来週だったはずですけど……?」
「あ、え? あ、あはは、ちょ、ちょっと間違えちゃったみたいですぅ♡ 失礼しましたぁ~♡♡」
私は乾いた笑いを浮かべつつぶりっこポーズで誤魔化すと、そっと扉を閉めるのだった――。
「どうだった!?」
尋ねてくるルビィ、私はギロリと彼を睨みつけながら言う。
「なぁにが、怪人を見つけたよ! ただのヒーローショーの悪役の人たちじゃないの!!」
「え、ヒ、ヒーローショー!?」
目を白黒させるルビィに向かって、私は大きくため息を吐くと、続ける。
「もう、早とちりもいい所よ、おかげで恥かいちゃったじゃない」
いきなりやってきて変なことを言いだした私のことをあの悪役の人たちは一体どう思っただろうか? それを考えるだけで顔から火が出そうなほど恥ずかしい気持ちになる……うう……穴があったら入りたい……。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ルビィは、「ゴ、ゴメン、だってさぁ、あんな話聞いたらさぁ」なんて言い訳染みたことを言ってきた。
「せめてもう少し様子を見てから連絡してよ、ちゃんと話を聞いてたらわかったはずでしょ」
ヒーローショーの皆さんは部屋の中では着ぐるみを脱いでいた、ルビィがちゃんと中を確認していればこの誤解は避けられたかもしれないのだ。
私は頭が痛くなるのを感じていた。サポート役として彼を派遣してくれたシュナイダーさんには本当に申し訳ないけど、これじゃ先が思いやられるなぁ……。
私は再び大きくため息を吐くと、しょんぼりしてるルビィに向かって言う。
「まったく、ルビィのせいでひどい目にあったじゃないの。まあ、済んだことだからこれ以上は責めないけどさ。ともかく、私は学校に戻るから。じゃあね」
そして私は、空へと舞い上がっていくのだった……。
*
飛び去っていくシャイニーフェニックスの姿を見送りながらルビィはため息をついた。
「はぁ、さっそくやっちゃった……ダメだなぁ、ボク」
肩を落とすルビィだったが、気を取り直し顔を上げる。
「ダメだ、落ち込んでちゃ! 失敗は取り返せばいいんだ、よーし、そのためにも頑張るぞ!!」
シャイニーフェニックスのパートナーに相応しく不死鳥の精神力を持つルビィは立ち直りも早いのだ。
新たに決意を固めるとルビィは空に舞い上がった。




