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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第12章【飛べ宇宙へ! コロニー爆破5秒前!!】

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第99話 対決ディスト! コロニーの命運をかけて……

「ふふ、いいねぇその目、ぞくぞくするよ。実はこの展開も期待してたんだ、さあ楽しい戦いにしよう!」


 その言葉と同時にディストの纏う空気が変わる! そして、両手をバッと広げ再び衝撃波が放たれた!


「くっ!」


 私は両手で顔を庇いつつそれに耐える。しかし――


「隙だらけだよ」


 背後からディストのそんな声が聞こえた次の瞬間、ドゴッ! 背中に強い衝撃が走る。


「きゃあ!」


 私は悲鳴と共に吹き飛ばされ、そのまま地面へと叩き落とされた。


 ズシャアアッ!!


「あうっ!」


 背中を強く打ち付けた私は一瞬息ができなくなり、地面でのたうち回る。


「ぐ……う……」


 どうにか身を起こした私の目に飛び込んできたのはいつの間に接近していたのか、私を見下ろすように立つディストの姿だった。


「や、やるじゃない……。ちょっとだけ、油断しちゃったわ……」


 見た目は華奢でなよなよっとしとしてるくせに、とてつもないパワー……。ことによると、ヤーバン以上の強敵かもしれない……。


 痛む身体を起こしつつ言う私にディストは「へぇ」と面白そうに目を細める。


「それはよかった。このまま終わったら僕としても面白くないからね。さあ、もっと僕を楽しませておくれよ!」


 言うが早いかディストは両手を前に突き出し衝撃波を放つ!


「ハッ!」


 短く息を吐きつつ私は横っ飛びにそれを回避する! 来ると分かってる攻撃を食らうほど私は間抜けじゃないの! ドジっ子香取みうならともかく、今の私は正義のヒロインシャイニーフェニックスなんだから!


「ふふ、やるねぇ。でもいつまで避け続けられるかなぁ?」


 しかしディストもそれは予想済みだったようで、すぐさま次の攻撃が放たれる!


「避け続けるつもりはないよ、何故なら……」


 立て続けに放たれる衝撃波を最小限の動きでかわすと、私はエネエルギーを集中させる。そして……。


「ライトニングダッシュ!」


 超加速能力を発動させ、一気にディストの懐に飛び込む!


「なっ……!?」


 驚愕の表情を浮かべる彼の顔面に――ドゴッ! 突き刺さる右ストレート。そしてそのまま、殴り! 抜ける!!


「ぐはっ!」


 殴り飛ばされたディストは地面をゴロゴロと転がり、そして止まった。


「は、はは。痛いなぁ、もう。お転婆な子も嫌いじゃないけどあまりに度が過ぎるのは考えものだよ?」


 立ち上がりつつそう減らず口を叩くディストだったけど、確実にダメージはあったようで僅かに足元はふらついていた。


「おっとっと……一撃でこれかい。まあ想定内だけどね。コーワスのロボット軍団を倒したぐらいだし……」


 と、そこで彼は何かに気づいたように「そういえば」と続ける。


「ロボット軍団を倒したときのあの金色の力。あれは使わないのかい?」


 エクシードモードのことだ。おそらくモニターで見ていたんだろう。


「お生憎様、あれはあなたなんかに見せてあげるほど安い力じゃないのよ。私の切り札なんだから」


 そう言ってニヤッと笑って見せる私だったけれど、その頬をつうっと一筋汗が伝う。


 こいつ相手にあれを発動させないのは別に出し惜しみしているからでもなんでもなく。さっきから心の中では発動しろ発動しろと叫んでいるのだけど、どうにも発動できないのだ。


 エネルギーの消耗が一番の理由だろうけど、コロニー内であの力を使って戦えば下手をしたら大惨事になりかねないという意識があるせいで心の奥で発動を躊躇しているのかもしれない。


「ふふふ、可愛いね。強がっちゃってさ。本当は自分でもうまく力を扱えないんでしょ?」


 しかし、そんな私の内心を見透かしたかのようにディストが愉快そうに笑う。


 うっ、ば、バレてる……。


「う、うるさい! どっちにしろあの力なしでもあなたと戦うことぐらいできるわ。現にさっきのパンチであなたは大ダメージを負ったはずよ!」


 顔を赤らめつつそう反論する私にディストは「ククッ」と笑う。


「もう油断はしないよ? それにねぇ、僕はまだまだ全力を出してないんだ。楽しむこと、それが僕の目的だからねぇ。君を壊さないよう手加減してるんだよ」


「そっちこそ、強がり言っちゃって!」


「そうかもねぇ、それじゃあお互いどっちの強がりが勝つか。さあ、再び勝負だよ!」


 言うが早いかディストはこちらに向かってダッシュをかけてきた。


 てっきり衝撃波で来ると思ってた私は驚きに目を見開くも、何とか繰り出されたパンチをかわす。


「うっ……これも速い……!」


 さらに続けざまに繰り出される拳を今後は肘を突き上げるようにしてガードするも、受け止めた瞬間拳から衝撃波が放たれ、私は吹き飛ばされた。


「きゃああ!」


 こいつ! 格闘能力もかなりのものがあるみたい。空中で体勢を立て直しつつそんなことを考える私だったけど、いきなり目の前に現れたディストにぎょぎょっと目を剥く。


「考え込む余裕なんて与えないよ?」


 シュババババッ! と今後は目にも止まらぬ速さで繰り出される拳のラッシュ!


「くっ、うっ!」


 一撃一撃はそんなに重くはないけど、とにかく手数が多い! このままじゃ押し切られちゃう!


「シャイニーフラッシャー!!」


 カッと私の全身から眩い光が放たれる!


「何っ!?」


 全身からエネルギーを放つことで相手を吹き飛ばす、攻撃というより緊急時の離脱のための技である。


 エネルギー消費が激しいからあんまり使いたくはないのだけど、効果は絶大でディストの身体は後方へと吹き飛び地面へと叩きつけられる。


 このまま一気に飛び掛かりマウントポジションでも取りたいところだけど、あいつには衝撃波がある。


 迂闊に近づけばまた返り討ちにあってしまうだろう。


 だからここはあえて距離を取る。


「惜しいなぁ。飛び掛かって来てくれたら抱きしめてあげたのに。君との寝技の掛け合いはさぞ楽しいだろうに」


「何変態みたいなこと言ってるのよ!」


 こいつってば、顔こそ美少年然としてるけど中身はとんでもない、まるでエロオヤジみたいじゃない!


 妙にデジャヴュを感じると思ったらあいつに似てるのよね。ギーガーク帝国のブーミ・ダイン。しかもなまじ顔が良い分ディストはあいつより性質が悪いんじゃないだろうか?


「変態とは心外だねぇ。まあいいけど。それはともかく、そろそろ終わりにしようか。ふふ、安心しなよ殺しはしない。殺してしまったら僕のハーレムに迎え入れることができなくなるからね」


「なっ、何を馬鹿なこと言ってんのよ! そんなことさせるわけな――うっ……」


 再び放たれた言葉に怒りで顔を真っ赤にしつつそう怒鳴りつける私だったけど、その言葉は途中で途切れてしまった。


 ディストに莫大なエネルギーが集まっていることに気づいたからだ。


「さあ、今度のはさっきのとはわけが違う。この一撃を食らって立っていられるかな?」


 全身にオーラを纏わせそう言って笑うディストに気圧されるように私は一歩後ずさる、が。


「いいわ、来なさい! 受け止めてやるわ!!」


 足を止めキッとディストを睨みつけそう叫ぶ。


「ふふ、いい目だね。じゃあお言葉に甘えて……」


 瞬間、それまで浮かんでいた彼の笑いが消え去り真剣な眼差しが私を射貫く。


「行くぞ! ギガ・ディストラクション!!」


 ドオオオオオン!! ディストが手を突き出した刹那、私のいた場所が大爆発を起こす!


「ハハハ、ちょっとやり過ぎちゃったかな? でもまあ、死んではないよね」


 高笑いを上げる彼だったが、そんな彼の横手から迫る影!


「見え見えだよ!」


 しかし、彼が突き出した腕によってその影は貫かれてしまった。


 ニヤッと笑う彼の眼には腕に貫かれた私の姿が映っているはずだ。が、すぐにそれがかき消える……。


「な、なに……!?」


「残像だ……なーんて、ね♡」


 驚愕の声を上げるディストに彼の背後へと回った本物の私は勝ち誇ったようにそう言うと彼の腰へと両手を回しガッチリとホールドする。


「うりゃああああっ!!」


 そのまま彼を持ち上げブリッジの体勢でその頭部を地面に叩きつける!


 ドゴォッ!! という鈍い音と共に砂埃が舞い上がりディストが苦悶の声を上げる。


 今のはいわゆるバックドロップという奴である。プロレス技の中でもかなり危険度の高いこの技をまともに食らった以上流石のディストもただでは済まないだろう。


「う、くぅ……。まさか、僕の技に耐えきるとは……。その上で残像を使ってかく乱、背後に回り込みそこからのバックドロップ……。ふふ、やるじゃないか」


 しかし、ディストはゆらりと立ち上がると頭から流れ出る血に塗れた顔で、どこか嬉しそうにそう言ってのけた。


「しぶといっ!」


 予想はしてなかったわけじゃないけど、ディストのタフさに思わず悪態を吐いてしまう私。


 しかし、そんな私を嘲笑うかのようにディストは頭部から流れる血を手で拭いながら口を開く。


「これでもプラネットブレイカーズのリーダーだからね、そう簡単にやられはしないよ。とはいえかなりのダメージを受けてしまった、戦いはここまでかな。どっちにしろもう勝負を続ける意味はないしね。僕の勝ちはすでに決まったわけだし」


「……え?」


 不可解な彼の発言に私は思わず眉を顰める。


「ふふ、君は何のために僕と戦ってたのかな? 僕と君が戦い始めてから何分経った?」


「あ、あ、ああ……」


 彼の言わんとしている意味に気が付き、私の顔が絶望に染まっていく。


「爆発まで後約5分。もう職員を抱え脱出するような時間は残されてはいないよ。ふふ」


「くっ、う、うああああああ!!」


 私は絶叫しその場から飛び上がる。ディストはやれやれと肩をすくめるだけでそれを追ってこようとはしなかった。

お読みいただきありがとうございました。

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