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新しい週が始まった業務の終了時、休憩コーナーで、智也と 由 が待ち合わせをして、話をし始めた。
「智也」
「何だ、呼び出して 由」
「彼女居たんだ」
「そ、う言う事になるかな...」
「なるかなって...、なによ、もう」
「何だよ」
「私の事は何とも思ってなかったのね」
「あれって、冗談だっただろ?」
「ひどい!...」
「だって、言葉の端に好きって言ってたんで、ついでの挨拶みたいに聞こえてた」
「いつも本気って言ってたじゃない、私の事キライ?」
「オレ、由 は大好きだが...」
「だったら何で 彼女作っちゃうの?」
「週末のあの日には、もう彼女が居たって事よね」
「そうなるな」
「そう......」
智也が話を変える。
「そう言えば、何で 寛子と一緒だったんだ?」
「だって、友達だもん、それが何か?」
「どうも、寛子は苦手だな」
「私には何も気にならないけど」
「結構な美人なんだけど、あの上から目線と、俺だけかも知れない、冷たい言葉...、何とかならんかな~」
「そう言えば、智也には特に言い回しはキツイものがあるかな」
「だろ? 何か、目の敵みたいな...」
「それは無いと思うけど」
「...で、寛子は彼氏が今現在いるのか?」
「居ないわよ、だから週末 寛子とモールに行ったの」
そこへ 仁がやって来た。
「あれれ?お二人さん、俺を外して、 ナイショ は無いっしょ...なんてね」
「「さむ~...」」
「仁 凍るぞ」
「悪かった、で、何の話だ」
「智也に彼女が出来たって話と、私の友人の話だよ」
「何だって? 智也、それは聞き捨てならんな。経緯を述べよ」
「あ~だ こ~だ...」
「それはすごいな」
「今ので分かるやつは えすぱあ だな」
「何言ってるの 二人、仁 私から説明するわ」
由 から先ほどのやり取りを事細か説明する、そうすると、意外に智也の彼女よりも、寛子の方に 仁は興味を持った。
「それで、その 寛子の写真ってあるのか?」
「あるわよ......、ほら!」
「!!......」
「オレに紹介してくれ、由 お願いだ」
「男って、美人に弱いのね...、ばっかじゃない?...でもいいけど」
「お~やった! 今日の帰りなんてのは、気が早いか?」
「待って、聞いてみる」
数分のメッセージのやり取りがあった後、仁に
「いきなりOKが出たわよ。今日の6時に、私たちの行きつけの居酒屋なんだって。分かった?」
「お~け~、由 ありがとう。...で、お前も来るよな」
「行くわけないじゃん、今日は思いっきり酒飲んで、泣いてやるんだから…、誰かさんのせいで...」
「な、何だよ、何が言いたい、 由」
「フン だ。酔いつぶれてやる!」
「おいおい!」
「じゃあ、助けてよ 智也」
「怒られるわ、彼女に....」
「あ~あ、聞きたくなかったな、智也の口からわたし以外で 彼女 なんて言葉...」
智也の気が滅入る、何だこれ、結構めんどいな、と思った。
◇
「...で、智也さん、こうなったのね?」
「スマン、藍那ちゃん」
「この娘、見たことがある」
「私もこの方、見た覚えがあります、智也さん」
智也が連絡を取り、例のコンビニのフードコートで、3人が顔を合わせている。
「どこで?」
「私は大学の説明会の時に、中庭に居たのを覚えています」
「私も同じよ 智也」
「声掛けたのか?」
「いいえ、この方、絶賛 ケンカ中だったので...」
「あわわわわ...、あれは...」
「ひとみ も居たので、また聞いてください」
「今 聞きたいな」
「智也、良いじゃない別に...」
「今 聞きたいな」
「勘弁して 智也」
「今 聞きたいな」
「.........」
「どした?」
「分かったわよ、言うわ...」
大きくダメ息を吐きながら、由 が喋り出した。
あの時は 由 に彼氏が居て、交際4ヶ月目だった。でも、ある日、校内で私と違う女に声を掛けている彼氏が居て、その時はたまたま声を掛けていたんだと思ったら、その後も同じ女にしつこく声を掛けているものだから、由 は、頭に来て、次の日に中庭に呼んで、事の説明をしてとお願いした。そしたら、話の途中で、彼がキレ出して、ケンカになったらしい。 そこで、大学の説明会の帰りに、その場面に出くわした 藍那とひとみが 「あの~、皆が見てますけど...」と言ったのが初めてだという事だ。
「喧嘩の原因は何だ?」
「それ聞く?」
「聞く」
「......」
「言えないか...ならいいや」
「言うからぁ......」
由 が小声で...
「彼が、3ヶ月にもなるのに、お前 ヤらせてくれないから、が、原因だったの」
「それひど~~い!」
藍那が叫んだ。
「でしょ? だからもうコイツ(彼)いいやと思って、あの日に対決していたの」
「となると、あなたは?」
「ピッカピカの 処女です。未だに」
「私も そのピカピカなんですが...」
「「ええ!!」」
智也も一緒に驚く。
「では、捧げたいなら、だれ?」
と、一斉に女性陣が、智也に人差し指を向けた。
「「この人」」
「.........」
これには智也は絶句した。
「でも私には権利が無くなりました。だって、智也は藍那さんの物だもの」
「はい、今それに至っては、私がいちばん近くに居る女性だと自負します」
「あの~...」
「なんですか?智也さん」
「さっきから、そっち 下ネタグランプリで、お立ち台に乗れそうな話をしていますが、オレそっちのけでいいんでしょうか?」
「あなたは目の前に、二つも 処女がぶら下がっているのに、動こうともしないんですか?」
「オレも男ですから、致せば致したいと思っているんですが、いかにもと言うシチュエーションはさすがにどうかと...」
「と、言いますと?」
「やはり順序をですね...」
「やっぱり」
と、藍那が言うと。
「そうでしょう、智也なら」
「何が?」
「あなたは、性行為だけを求める不埒な男とは違い、女の思いと置かれた立場を理解してくれる、優しい 男性 です」
「だから、抱かれたい気持ちになるの」
由 が、言い切った。
「でも、ゴメンな 由 。今の俺は、藍那に気持ちが大分固まって来ていて、多分近いうちに、この気持ちは、由 が入りきれないくらいになると思う。だから、早いうちに言う、オレは 藍那と一緒に居たい」
「智也さん! わたし うれしい...、ありがとう」
藍那が目に一杯の涙を溜めて。
「あ~あ、ざんね~ん。振られちゃったか~...、でもはっきり言ってくれて、すっきりした...かな? 後で思いっきり泣くと思うけれど」
「今はっきり言わないと、二人に心の傷を与えてしまうんで...、でもありがとな、由 。お前イイ女だから、多分いい出会いがあると思うぞ」
「はは、慰めかな? 敗者は帰りますか...じゃね、お二人さん、コレからいい思い出作ってね」
そう言って、由 はフードコートから出て、家路についた。
◇
「俺たち付き合う事になりました」
仁がなんと、寛子と交際を始めた。このメッセージを受け取った智也は
「何かしっくりこないな。でも、この二人って、いいコンビになるかもしれないな」
「そうだね、私達もまだ始まったばかり、これからよろしくね、智也」
「お!その呼び方いいな、カップルって感じで」
「ね!」
「おう! 藍那」
「好きよ 智也」
「俺だって大好きだ、藍那」
これから二人の、新しい恋愛が始まる。
(つづく・・・・かな?)
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まあ、こんな感じで、短編を作ってみました。行き当たりばったりで、おかしい所があるとは思いますが、目を瞑ってください。
この他に、 僕たちの馴れ初めから Y編(全11話) が、完成しています。
少しでも今回の投稿にアクセスがあったら、そちらも投稿したいと思っています。
お読み下さって、ありがとうございました。
雅也