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パラレル・マイルド  作者: 甘凜守 麦
序章 荒唐無稽な平行法則
2/10

プロローグ

 並行世界(パラレル・ワールド)

 別名、多元宇宙的別時空仮設。

 それは限りなく無数に存在する『IF(もしも)の世界』。

 この並行世界(パラレル・ワールド)という言葉は多くの場合基準となる世界から分岐した細部がほんの少し異る『類似並行世界』のことを指すが、全く異なる世界を形成した『完全相違並行世界』にも同様の言葉が使われることがある。


 では後者の『完全相違並行世界』と区分される『パラレルワールド』とはどのような世界だろうか。


——例えば、魔法や錬金術が使える並行世界(パラレル・ワールド)

——例えば、科学が超発達した並行世界(パラレル・ワールド)

——例えば、超能力が発現した並行世界(パラレル・ワールド)

——例えば、騎士道を重んじる並行世界(パラレル・ワールド)

——例えば、幻獣が溢れる並行世界(パラレル・ワールド)

——例えば、神話を体現した並行世界(パラレル・ワールド)


  ここにあげたように、『完全相違並行世界』は現実世界から大きく逸脱した『独自の発展』を遂げたものばかりであり、そのほとんどが『非現実的』の一言に片付けられる。


  少し話を変えよう。並行世界の()()()についてだ。

  一般的に並行世界にはいくつかの法則(ルール)があるといわれている。


[1] 並行世界のことを認知・干渉することはできない

[2] 全く同じ並行世界は存在し得ない

[3] 並行世界には必ず『自分』に相当する人物が存在し、どこかの並行世界で死んだ『自分』は全ての並行世界で死ぬ


 当然だが今あげた法則性は科学的・論理的根拠に基づいておらず、都市伝説として分類される噂程度のモノである。

 そもそも[1]により平行世界(パラレルワールド)を認知できないと明言した次の行には[2][3]のような法則(ルール)を付け足しており、この法則(ルール)がいかに荒唐無稽なシロモノか分かるだろう。

 特に『並行世界の辻褄合わせ』と呼ばれる『3』の法則に関しては懐疑的な意見が多く、並行世界論を信じる者達の間でもしばし論争が起こっている。


だが、、、。

こんな疑念は浮かばないだろうか。


"もし『並行世界の辻褄合わせ』の法則が事実だとしたら?"


 それこそ例にあげたような非現実的な『完全相違並行世界』が実在していて。


 その全てが各々の世界の中で戦争をしていたとして。


 その中の一つでも『他の並行世界』を認知する術を持っていた場合。


 偶発的に『最弱の並行世界』———『現実世界』を見つけてしまったら?


 あまつさえ他の並行世界に『干渉』するほどの力を有していたら————


 "『並行世界の辻褄合わせ』の法則を利用しない訳がない"、と。



          ◇



暗闇。

音もなく、

風もなく、

光もなく、

熱もなく、

圧もなく、

上下も、

左右もない無の空間に、歪んだ声が響き渡る。


『——魔術世界(グリムワール)

灯る、桜色の火。


『——科学世界(シンギュラリティ)

灯る、空色の火。


『——超然世界(サイ)

灯る、瑠璃色の火。


『——秩序世界(レギオン)

灯る、灼熱色の炎。


『——幻想世界(プエリーリス)

灯る、銀色の大炎。


『——神話世界(ミュートロギア)

灯る、金色の業火。


 言葉に合わせて6つの焔が円卓を囲って踊った。


『——脆弱世界(フラジール)

 遅れて卓の中央に灯る、白色の小さな篝火。


『これより〈並行代理戦争〉を始める』


 響き渡った歪な声に。

 6つの(セカイ)が、嗤い。

 1つの篝火(セカイ)が、、、啼き。

 篝火は六囲の炎に呑み込まれた。

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