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新入りの魔法少女に捕まった

 

 さて、凄く困ったことになった。



「わー、ここ凄くオシャレですね」



 キラキラした瞳で店内を見渡す少女が一人。現実離れ気味の薄桃色の髪のお団子ちゃんだ。名前を月野 キラリちゃんという。


 その向かいの席に座るのはパッとしない顔のオッさんである俺なわけで。



「ねぇ、あれってもしかして……」

「二人きりなんてまさか……」

「それって犯罪なんじゃ…」



 周囲の目が冷たい。いや、この場合は痛いというべきか。



「アスカさん、私このパフェが食べたいです!」



 キラリちゃんが指差すのはメニューの最後のページに書いてある超・ジャンボ苺パフェ。お値段なんと3000円オーバーである。


 いや、奢るとは言ったけど流石にこれはないんじゃないか? 最近の若者って遠慮を知らないの?



『けっ、そんなもん食べても無駄な贅肉にしかならないのにな。俺はビールか日本酒で』



 余計な声が聞こえたリュックをとりあえず殴る。念入りに殴る。この中にクマのぬいぐるみが入っているのは俺しか知らない。

 つーか、仮にも魔法少女と契約している妖精が酒類頼むな。ここは喫茶店だぞ。



「どうかしたんですか?」

「いやなんでもないよ⁉︎ すいません店員さん! このパフェとココア。あとコーヒーのブラックをお願いします」



 バレてはいけない。決して俺が魔法少女だなんて!







 キラリちゃんと会ったのはついさっきのことだ。

 久々に当代の魔法少女の戦闘を見ていたらこっ酷くやられていた。

 まぁ、敵の強さ的に雑魚使い魔ではないから新人は苦戦するだろうと思ってたら案の定。泣きながらステッキ振り回していたのを見てられないと変身したら一撃で倒せた。

 流石に概念系ラスボスを何回も倒してるとこうなるよな。


 で、問題はその後だ。無言でその場を立ち去って人目のつかない場所で変身解除した直後にマジカル・ミンキーが飛んできた。先輩魔法少女を追ってきたら冴えないおっさんがいた。これはどういうことですか? とりあえず話をしようか←今ココ!



「いやー、まさかマジカル・ミンキーの正体が君みたいな中学生だなんてね。ビックリだよ(棒)」

「あの、それは秘密なので誰にも言わないで下さい。そうじゃないとアスカさんの記憶を魔法で消さなきゃダメだから」



『記憶消去の魔法? あぁ、あの高確率で記憶障害を引き起こすやつか。下手したら自分が誰かすら忘れるぞ』



 おい、なんだよその物騒な魔法は。



「心配しなくても誰にも言わないよ。こう見えてお兄さんは魔法少女が好きだからね」

「その歳でですか……」



 この後輩ちゃん。思ったことを口に出しすぎじゃないだろうか。



「俺が君くらいの時に魔法少女が活躍し始めたからね。何度も助けてもらって感謝しているんだよ」



 これは事実。ボス系は当時、一人じゃ敵わなかったらね。助け合ったもんだよ。



「そうなんですか。実は私も魔法少女が大好きでこうしてマジカル・ピンキーとして戦えるのは嬉しいんです。今日は憧れの大先輩、マジカル・ダイヤ様と会えたし!」



 ブッ!



 口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまった。

 えっ、この後輩は俺に憧れて魔法少女になった系なの? もうそんな世代になるの?

 凄くキラキラした目でマジカル・ダイヤについて語られても、おっさんの精神が削られるだけなんだが。



「そこでなんですけど、どうしてダイヤ様が去っていた場所にアスカさんがいたんですか? あの辺は人が少なくて周囲にダイヤ様はいなかったんですけど」



 さて、なんと答えるのが正解だろうか?

 正直に俺がマジカル・ダイヤだと暴露するか? いや、それはない。まさか憧れの先輩がオッさんだなんてトラウマを植え付けたくない。

 逆に俺の方がトラウマになる。社会的に死ぬ。



「それはだね……えっと、その…」




 とりあえず適当に話をでっち上げて誤魔化そう。





















 ふぅ。なんとか理解してくれて助かった。

 キラリちゃんを家まで送り届けた後、俺は安堵した。



『あんな誤魔化し方で良かったのか?逆に面倒なことになるんじゃないのか?』



 俺がついた嘘。それはマジカル・ダイヤは極度の恥ずかしがり屋で人前に正体を明かしたくなく、たまたまその正体を知ってしまった俺が協力をしている。

 今日も俺が彼女の正体がバレないように妖精に協力して貰って彼女を逃したと。


『そんな都合がいい魔法はないからな』


 わかってるよ。でもまぁ、大丈夫だろ。彼女って意外とアホの子っぽいし。

 問題はこれからなんだよな。

 マジカル・ダイヤにピンキーとペアを組んで一緒に戦ってくれるように説得してってお願い。どうしたらいいかな?



『アスカ次第だろ。個人的にはパワーバランス崩れるからやめて欲しいけど、ピンキーってあれ歴代最弱みたいだしな。このまま行けばどっかで潰されるだろうよ』



 むむむ、その言い方は無いんじゃないか? きっと鍛えればそれなりには強くなるだろ。

 だからといって、俺が手伝うわけじゃない。正体バレに繋がるリスクある行動は嫌いだ。


 それにだ、リアルJCとOTONAがハイタッチしたり抱き合ったりしたらそれこそ犯罪だよ。























 次回予告。『魔法少女マジカル・ミンキー』



 ついに現れた敵のボス、モノスゴワール。その圧倒的な強さの前に最大ピンチのミンキー。


 誰か助けて、このままじゃミンキーが⁉︎

 その時聞こえた凛とした声。



「全く、見てられないわね。ミンキー」

「ダイヤ様!」



 新旧二人の魔法少女がチカラを合わせて立ち上がる。


 受けてみよモノスゴワール。これが魔法少女コンビの仲良しパワーよ!



『あぁ、だから言わんこっちゃないクマ』



 次回もお楽しみに‼︎



















 この後、滅茶苦茶後悔した。







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