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Right dreamer

作者: 恋夢

俺は今、小説を書いている。

正面のパソコンを見つめながら、唸っていた。

理由は簡単、今書いている物語が思うように進まなくて困っているのだ。いつもこんな感じだが、相変わらず慣れないものだ。

今日の昼頃に大学で講義を受けなければならない。それまでにある程度書き上げるつもりでいたのだが……、あらすじすら書き上げていないという有様だ。

結局、ロクに進まないまま大学へと向かった。

大学へ向かっている最中に、あらすじや内容、それからキャラ設定を考えていたが自分の納得の行くような内容が浮かばなかった。

今考えているのは、異世界物のファンタジー小説だ。今想像しているのは、コメディにシリアスな展開も少し入れてたような内容を想像している。

その両方を上手く伝えれるような内容のあらすじを考えているわけなんだが……、どう表現すればいいのか全く想像がつかない始末。


_ある朝、目を覚ました俺は……


_ある日、俺は異世界に転生した……


等と色々なあらすじが頭に浮かぶが、どれも納得の行くものでは無かった。

何も浮かばないままぼーっとしながら歩いていると、気が付けば大学に着いていた。何人かと挨拶を交わしながら教室に入り、自分の席に着くと、鞄からノートを取り出し小説を考え始めてる。

どこに行っても頭の中は小説でいっぱいなのだが……、やはり納得のいくようなものは浮かばない。

結局、今考えている小説もボツとして諦めることとなった。

ボツを出したときはどうも書く気が起きない。起きないというか何も浮かばなくなるような感じになってしまう。

書きたくても書けないなんていう言い訳を自分で自分にしながら抗議を受け始める。

抗議が終われば急ぎ足で帰宅した。別に何かがあるから急いでいるわけでは無い。ただ帰りたかっただけ、それだけだ。

帰宅した俺は、やる気が出ないのを言い訳にして、本棚にある小説を気が済むまで読んでいた。

小説を読んでいると、閃いたかのように小説を書き始めるが……。


_ここは、人工隔離都市クローズタウン……


今読んでる小説のパクリになる。そう、確信して直ぐに却下した。

もう、こんなことを何度も繰り返している。

仮にこんな所を見ている人がいてその人はどんな風に思うのだろうか?ふと、そんなことを考えていた。

結論は出ないまま考えることをやめてしまったが、少し別のことを考えたおかげでなんとか少し気持ちを立て直すことが出来た。

結局気持ちの持ちようなのだが、俺はどうもその辺のコントロールが苦手らしい。

その辺のコントロールがもう少し上手くいけば小説書くのも安定するのだろうか……、

そんな、どうでも良いことを考えていたら午前1時を過ぎていたみたいだ。

寝よう……。ベットに潜って、ゆっくりと目を閉じた。


朝、目が覚めると直ぐにパソコンの前に座った。今の今まで見ていた夢をネタにしようと思った。

しかし、今の今まで見ていた夢のはずなのにいざ書くとなるとどうも上手く書けない。

悩んでいるうちに記憶が薄れていくように感じられた。結局書き上げたあらすじは何かが違うというもやもや感があふれ出ているような感じだった。


_ある日、目が覚めると異世界に飛ばされていた主人公中野一樹は見るもの全てに混乱してしまう。

 まるでゲームの世界に迷い込んだような感覚に襲われてしまう。

 そんな中で一樹は、エルフ族の少女エミリーと出会う。

 この少女の出会いが一樹をよりいっそう混乱させることになる。

 その理由はいかに!?これは、異世界に迷い込んだ主人公中野一樹と少女の冒険物語


こんな感じでいいや。割と投げやりな感じで書き上げたあらすじだが、俺は面白そうだと錯覚していた。

あらすじを書き終えた勢いで話の本文を書き始めるも、話の中盤位で行き詰まっていた。

唸り声を上げ頭を抱えるが、内容が浮かばなくなっていた。

小一時間ほど考えた挙句、これもあんまり面白くならなさそうと判断しボツ小説にしてしまった。

何か面白い小説思い浮かばないかなぁ何て考えてしまう。

正直あまり良い状態とは言えなかった。

電撃文庫の応募締め切りも毎度のごとく逃しているし、半分諦め状態に陥っていた。

明日は朝に講義がある。講義があることを理由に自分に良い聞かせ早々と寝てしまった。


昨日早く寝すぎたせいで6時頃に目が覚めてしまった。二度寝しようと目を瞑るが結局寝れずにぐだぐだと時間が過ぎるのを待っているだけだった。

いつもなら小説を考えて書いてる時間。普段なら時間がたつのが早く感じるのに、今日はかなり長く感じた。

いつもこんなに時間かけて考えてるのにと思うと頑張ってるように思える。逆にこれだけの時間をかけて未だに一作も書けてないと考えると余計にやる気が起きなくなっていた。

大学に向かってる最中も、普段の自分の生活について考えていた。朝起きて考える、大学がある日は講義の時間までひたすら考える。

四六時中小説のことを考えていた俺が、考えること辞めるとこんなに大きな穴が空いたように感じてしまう。

自分で言うのもなんだが、生きた抜け殻のように腐抜けたようなだるさがこみ上げてくる。

大学に向かってる最中も何度帰りたい。帰って寝たい何てことを考えていた。

正直何もやる気が起き無い。

講義中もぼーっとすることしかしていない。何度か講師の先生に注意されたものの、途中であきれたらしく何も言われなくなった。

講義が終わって帰ろうとしたとき、隣に座っていたやつに話しかけられた。

『なぁ辰巳、カラオケ行かない?』

『行かない、かな』

『いつも、そーやって断る〜』

そう、言ってこいつは俺の手を取り引っ張り出した。

『え、あ……。ちょっ』

かなり勢いよく引っ張られたせいでこけそうになってしまった。

俺の手を掴んでいるやつにされるがままにカラオケに放り込まれてしまった。

そこには見知った顔ばかりで、ほとんど会話していない人達ばかりだった。

皆、俺の事を気にしてるように感じられた。

それからは、流されるままに歌いに歌った。考えてること全て忘れるくらいの勢いで歌いまくった。

何時間かたった後疲れ果てて寝てしまった俺は、目が覚めたときには家にいた。

どうやら、運んでくれたらしい。顔を洗おうと鏡を見たとき、俺は泣きそうになってしまった。


_小説頑張って書けよ!


こんなメッセージはせこいと思った。

『戸締まりくらいしといてくれよ……』

俺しかいない空間なはずなのに誰かがいるような感覚に襲われた。


それからまた、小説書きに没頭するようになっていた。

書いてはボツにの繰り返しは辛かったが、あのメッセージを思い出せば不思議とやる気がこみ上げてきていた。

今まで以上に真剣に小説家になるために努力を続けていた。雷撃文庫の募集〆切りまで後一月。全力で尽くそうと心に誓った。

とは言ったものの思うように上手くいかず、書き進まないで行き詰まっていた。

気分転換に街をぶらぶらとほつき歩いていたら、慌ただしく走っている女性が見えた。

かなりの猛スピードで走って来るものだから、完全によけ切れず肩と鞄が少しぶつかってしまった。

『ごめんね!』

慌てた様子の女性は、そう言って走り去ってしまった。

足下に落ちていた名刺に目をやると、「佐原琴美」と書いていた。

俺は、思わず二度見してしまった。

あの有名な小説家がなんでこんな所に、そんな疑問を抱えながら気付けば彼女を追いかけていた。

『あの、これ落としましたよ〜』

そんなことを叫びながら、必死で追いかけていた。

追いついたときには、かなり息切れしていた。

『はぁ……、はぁ……。あ、あのこれ落としましたよ』

これは、予想外だったらしく彼女は酷く驚いていた。

『あ、うん。ありがとう』

名刺くらい別にいいのに、そんな感じの様子だった。ここで、この機会を逃したらダメだ。そんな気がしていた。

『少し今、お時間もらえないでしょうか?』

『私、これから用事があるので……』

やっぱり、断られるよな。わかっていたことだけど、諦め切れなかった。

歩き去る、彼女に大声で声をかけた。

『あ、あの!自分小説書いてて、今度雷撃文庫に応募したいんです。でも行き詰まってて、さっき名刺を見ました。少しの時間でいいので、お話聞かせてください。お願いします!』

人前で、大声でしかも頭を下げている姿を見られるのはかなり恥ずかしかった。

その様子を見た彼女は慌てた様子で、『頭を上げてください。話なら聞きますから』と言ってくれた。

仕方なく承諾してくれたような感じだったが、俺としてはかなり嬉しかった。

取りあえず近くの喫茶店で話をすることにした。

『それで、話って言うのは何?』

『えっと。先ほどにも言いましたけど小説を書いてて、それで中々上手く書けないで困っています』

俺の言ったことが良くなかったのか。彼女は怒った様子だった。

『中々上手く書けないで困っているって言うのは甘えだよ。それは、普段の自分なら書けると錯覚しているだけ』

『錯覚ですか……?』

『そう、錯覚。君、今までちゃんと書き上げたこと無いでしょ』

『はい、ないです……』

まるで、俺自身の心の中まで見透かされているような感覚に襲われた。

それだけ、彼女の言ってることは俺の心に刺さることなのだろうと俺自身を客観的に見て判断した。

『君、小説書くってどういうものだと思ってる?』

『楽しむものだと思ってます』

『君は楽しめてる?』

『あまり、楽しめて無いと思います』

この質問にどんな意味があるのか俺にはわからない。でも、何かあるのだろうと思った。

『小説は楽しんで書くものっていう君の考えは正解だと思う。でも、実際楽しめてないといってる君自身言ってることは矛盾している。それはわかってるよね?』

『はい……』

『辛いとか苦しいとか思ってる状態で書いても長続きしないと私は思うの。結局どこかで辞めてしまう。だから、困ってる。そんな風に私は感じたわ』

彼女の言ってることは的確に的を射ていた。彼女の言うことは一つ一つには重みがあった。

全て確信得ている言葉にも関わらず、受け入れきれずに戸惑っている俺に彼女はこう言った。

『あのね、もっと楽しみなさい。つまらない義務感だったり責任感なんて捨てて楽しんで書けばいいの。そんなものに捕らわれて困っているようなら書けるものも書けないわよ。何度でも言うわ、もっと楽しみなさい』

彼女の言ったことはかなり説得力があった。つい、そうなのかもしれないなと思わされてしまった。

楽しむ……か。

感傷に浸っている俺を差し置いて彼女は『それじゃっ!』と言って店を出て行ってしまった。

歩き去る彼女に軽く会釈して俺も店を後にした。

家に帰って、〆切りまで後何日かを確認してからまた、小説を書き始めた。今日は気分がすごくいい。なんと言ってもあの佐原琴美に会って、話をしてアドバイスをもらったのだから。

普段とは違い、鼻歌交じりで小説を書いていた。いつものように張り詰めたような雰囲気とは一変して明るい雰囲気のように感じれた。

それから、〆切りまでの一週間、周りの奴らからも『楽しそうに書いてるね』と言われた。

彼女の言った通り気持ちの持ち方一つでここまで変わるものなんだなと改めて思わされた。そして、改めて尊敬と憧れの人だと確信した。

着々と書き進められる小説にさらに楽しさを感じていられるようになっていた。

『書き終わったぁぁぁ!』

募集期限ぎりぎりで書き上げた小説を直ぐに応募して取りあえずは書き上げることが出来た。

すさまじい達成感がこみ上げてきた。

書き終えることがここまで、嬉しいものだと思わなかった。一次選考の結果が来るのはまだ先らしいから、それまで楽しみに小説を書きながら待っていようと思った。


結果が来るまでのしばらくの間は俺を支えてくれた人達にお礼をして回った。

皆それぞれ就活があり急がしそうでお礼して回るのに少し手間取った。

数日後、結果が出た。

結果は落選。

すごく悔しかったが、不思議と辛くは無かった。次、頑張ろうと思った。

結局就活しながらやらないと行けなくなったが、小説家になれるその日まで間の生活資金源がいるだろうと思い。そのための就活だと思うとあまり辛くは無かった。

社会人になってからでも書きながら頑張ればいつか小説家になれるだろうか?いやなれる!俺が、やれるかどうかにかかってるだけで努力はいつか報われるんだ。

初めてそう思えた。

ここまで、物事をポジティブに考えれるようになったのは彼女のおかげだと俺は確信していた。

いつか、彼女に追いつくと、闘志を燃やしていた。そして、彼女に感謝していた。

『ありがとう』と……。

どうも、恋夢らむねです!

今回、短編小説第二作目を書かせていただきました!

今回は少し思うように書けない部分が多くて、まだまだ表現が下手だなぁって思いました。

これから、書いていく上でそういう部分も少しずつ上手くなって行けたらなぁと思っています!

楽しんで読んでいただけたら幸いです。

それでは、次作でまた楽しみに待っていただけたら嬉しいです。

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