表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「湾岸の風」 カルテット番外編  作者: 椎堂かおる
第一幕
2/9

01

 私はその場で彼らに連行された。

 素っ裸の女の子が、剣を持った男達数人に拉致されるなんて、考えてみれば大変なことだけど、あのまま砂浜に放置されていたら、私は熱射病にでもなって倒れて、下手すると命に別状ぐらいはあったかもしれないから、助けてもらったんだと思ったほうがいいかもしれない。

 私に外套を貸してくれた男は、イルスと名乗った。イルス、なんとか、かんとかだ。長い名前が後に続いていたけど、そっちのほうは忘れてしまった。彼もそのことは全然気にしていないようだった。

 連れて行かれた先は、りっぱなお屋敷で、どうやらそこはイルス・なんとか・かんとかの家のようだった。門のところで待っていた人たちが、彼に「お帰りなさいませ」と言ったからだ。

 拉致ってきた娘っこを連れて入るにふさわしく、外套を私の頭からすっぽりと覆い被せたまま、彼は私を横抱きにして足早に門をくぐった。迎え出た人たちに、「水、風呂、着替え、それから食事を」と早口に言いつけた。言われた彼らは黙って頭をさげた。

 やっぱり偉い人なんだ。イルス・なんとか・かんとか。

 お姫様抱っこで廊下を突っ走られながら、私はそう思った。

 ところで、どうしてこの人走っているんだろう。なにをそんなに焦っているの?

 外套の端をめくって、ちらりと盗み見た彼の表情は、かなり必死だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ