0話―季節の終わりと季節の始まり―
雪が激しく舞うあの日、オレはいつものように寝坊した。
慌ただししく外出の準備をしながらいつも通りの朝を過ごす。髪を洗い服を着替え、どこに置いたか忘れた財布と鍵を探し、そして特に役にはたってない携帯を手に取り家を出る。これがオレの日常だ。
ただ、この日は少し違った。毎日ろくな仕事をしない僕の携帯が仕事をし始めた。らしくないことをするなよと思いながらただひたすらに歩く。
メルマガ?迷惑メール?迷惑電話?まぁこいつの仕事といったらいつもこんな感じだしとりあえず仕事の邪魔はしなかった。
でも仕事をなかなかやめようとしないこいつの『非日常』に少し興味を持ってしまった。
お邪魔します。そんなノリで仕事ぶりをのぞいてみるとこれまた珍しいやつからの電話だった。
少し慌てながら通話ボタンを押し「どうした?久しぶりだな」と声をかけた。
それと同時に「あいつ」に近々メールでもしようとふと思った。
電話の相手は高校時代の部活仲間であり友人だ。本当に久しぶりだなと思いながらこいつの言葉を待っていた。
「・・・なった」
理解不能な言葉が飛んできた。
その瞬間に様々な事が脳裏を駆け巡った。四年ぶりの第一声がそれか?いやそもそもなぜ「こいつ」からその言葉が出てくる?なぜオレがその話を「こいつから聞いている?」まだ考えている。
だけどオレは電話を切った。
相変わらず雪が激しく舞っている。寒さも感じる。これから「あいつ」がいる場所の近くを歩く。そこでおはようとつぶやくのがオレの日常。
「おは・・・」
そうつぶやこうとしたとき、友人の言葉が雷鳴のように鳴り響く。
「日向が亡くなった」
オレは冬の寒さに耐えるだけで精一杯だった。
これから迎える春の温もり、夏の暑さ、秋の涼しさ・・・
そんなものどうでもよくなった。




