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ご対面

『ウィリアム殺し』の依頼を引き受け屋敷に忍び込んだ年若きハロルドはその煌びやかさに驚いた


彼の富を誇示するかのように飾られた数々の彫像品や家具、そのすべてが一級品!

しかし趣向が悪い!ゴテゴテのギラギラのピッカピカばっかり


「…センスないわねぇ…高けりゃ良いってもんじゃないわよ、それにしても…外より寒いってどーゆーこと!?」

ハロルドはぼやきながらウィリアムの部屋へと急いだ


だだっ広い屋敷はまるで廃墟のよう静まり返っており…本当に人が住んでいるのか?と疑ってしまうほど


ふと一枚のドアの前で足を止めると、剣柄を握りしめ肩を扉に押し当て開いた隙間へ小さな体を滑りこませる、そこでハロルドが見たものは…


【闇】と微かな光


光の正体それは、小さな椅子に大きな体と長い手足を投げ出しこっちを見つめるくぼんだ大きな『目』


「ウィリアムか!?」

慌て剣を抜いたハロルドだったが…

月明かりに照らし出されたその姿にゆっくりと剣を下ろす


「…どうした…ワシを殺しにきたのだろ?なぜ剣を下ろす?」

腹の底から押し出されるしわがれた声、その声の主ウィリアムからは…何一つ感じられない


まるで幽霊に出会ったかと思えるほど


「…あんたほんとにウィリアム?噂とはえらい違いなんだけどぉ?」

部屋の中を見渡しながらハロルドは剣を鞘に納める


「ははっ!お前の探しているウィリアムはもう死んだよ。残っているのは死に損なったウィリアムと言う男の老いぼれだ体とバカみたいに広い屋敷だけだ…さぁ!心臓はここだ!思いっきり突き刺せ…」

はだけたガウンから見えるあばらの浮き出た身体がよりいっそう彼を哀れに見せた


「ふ~ん…そう言って油断させておいて、合図を送れば護衛が現れあたしをとっ捕まえるって魂胆でしょ!?」

暗闇に慣れてきたハロルドは戸棚に並んだお酒を見つけ勝手に開け飲み始める


「コラッ!勝手に飲むとは図々しい!ワシにも飲ませろ!…まったくなんて奴だ。お前名前は!?」


お酒を並々と注いだグラスを手渡しながらハロルドは名を名乗った


「ハロルド…あぁ…お前があの噂の男か…『裏切りのハロルド』」




「おい!『根無しのハロルド』じゃないのか?」

突然イアンが声をあげる


「!!急に大声ださないでちょうだい!びっくりしちゃうじゃない!!」

ハロルドは驚きすぎてひっくり返った


「あたしだって驚いたわよ!まさかそんな風に呼ばれていたなんて!まったくデマもいいところだわ!あぁ…噂ってほんと怖い怖い!」



ハロルドはウィリアムに説明した

裏切り者では無いこと、相手が裏切るから悪いのだと。


「まぁ信じてやろう。ハロルドとやら…それだけ名が知れ渡った奴になら殺されても文句は無い…さぁ、殺せ」

ウィリアムは干からびた体へお酒を流し込むとゆっくりと大きな目を閉じる


「いゃ~ね~。あたしは無抵抗な人を殺す趣味は無いわよ」

ハロルドはウィリアムの空いたグラスへお酒を注ぎ足すとフカフカなベットへ横になる


「フフッ、お前変わった奴だな。残念ながらこの屋敷には誰もおらんよ…ワシとお前の2人だけだ。だから無抵抗だったかどうかなんて誰にもバレない、ホレっ!殺れ(やれ)」

今から殺される人間とは思えないほどウィリアムはお気楽だった


「誰も居ない?家族も?使用人も?」

驚きに目を丸くするハロルド


ウィリアムは笑った、心の底から笑った

「はははー!笑えるだろ!?」



「笑えるか!?あんた…頭大丈夫?」

呆れるハロルドでした



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