近道
ハロルドとイアン
年は離れているが、2人は上手くやっていた
ラルフの見張りは交代制で行い(ハロルドがよく仮病を使う為ほとんど交代制の意味は無し)
イアンは暇があればラルフの屋敷までの近道を探し歩いた…そのたび迷子になるのでハロルドはイアンの為、森に目印をつけて歩いた
目印をたどると小屋へとたどり着くように
突如現れたそれら不気味な目印は時折森を通る人々から『悪魔の印』と呼ばれ恐れられているとは知らず…
『悪魔の印』をたどって行くと地獄への入り口にたどり着くと…
そんな地獄の入り口に暮らしている2人は、久しぶりに霧の晴れたぽかぽか陽気の森の湖で水浴びをしていた
ぽかぽか陽気とは言っても水はまだ冷く数分浸かっているのがやっとの事…だけど変人ハロルドには関係無かったようで
「イアンも泳ぎなさいよ~気持ちいいわよ~」
岸で焚き火にあたっていたイアンは時折湖に浮かぶハロルドのお尻を見かねて
「風邪ひくぞ!湖が腐るから早く上がれ!!」
「くさるか!」
腐りはしなかったけど…
「ふぇ……ふぇぇ…ぶぇっっくしょっ!!」
風邪ひいた
「ほら!言っただろ!早く体を拭いて服を着ろ!」
イアンは羽織っていたブランケットを投げ渡す
あらわになったイアンの上半身をジッと見つめるハロルド
「何をジロジロ見ている…理由によっては殴るぞ」
「まぁ!ひどい!あたしは傷を見ているの!」
「傷…?あぁ、このわき腹の傷か?」
「そうよ!まったく…ハロルド様秘伝の万能薬のお蔭よ!?…でもまぁ、傷がふさがるまでこんなに時間がかかったのはイアン!あんたが初めてよ!」
ラルフに肘で小突かれた後、何度か開いたわき腹の傷はイアンの体と心に大きな傷跡となって残っていた
「仕方がないだろう、屋敷までの厳しい道のりを行くんだ…傷口も開く」
そんなイアンの体をまたまたジッと見つめるハロルド
「今度はなんだ!」
イアンの二の腕をペチッと叩き
「色の白さは生まれつきなのね…でもだいぶ頼もしい体つきになってきたわよ!」
そう言ってもう一度ペチッと叩いた
「…体つき?…」
イアンは自分の胸や腕を触ってみる
「…そう言われれば…」
ハロルドと出会った頃の青白いやせ細った体はもうそこには無かった
「も~!あんたその顔でその体なんて!女の子にキャーキャー言われるわよ!!あたしも言っちゃうわよ!キャー!」
二の腕を連打するハロルド
「…やめろ、女にもおっさんにも興味はない」
服を着て帰り支度を始めるイアン
「まぁ!好きになった子とかいないの!?」
「オレの知っている女は…口の悪い女将や酒場で酔いつぶれている娼婦…そんなもんだ」
「つまんない事言うのね~…まぁ~いいわ。そうだ!体力もついてきた事だし…そろそろ特別に教えちゃおうかなぁ~」
「…何をだ…」
「近道よ!!」
「…近道…」
イアンの動きが止まる
ハロルドは人差し指をビシッと立てイアンの目の前に突き出し
「そう!坊ちゃんのお屋敷までの近道!!」
イアンの表情が変わっていく
「………やっぱり…知っていたんだな…」
「何よ!あたしが見つけたのよ!教えるか教えないかはあたしの勝手でしょ!それに!あたしだって探すのに苦労したのよ!簡単に教えちゃつまんないじゃない!?それに!それに……!!」
他にまだ何か言いたかったハロルドだったが慌てて口を閉じる
イアンが睨んでいた…しかもかなり怖い顔で…しかもしかも剣を握りしめて
「ちょ!ちょっと!気は確か!?」
「…あぁ」
「!!」
小さく返事をしたイアンがハロルドへ飛びかかる
「いやーーー!!やめてーー!」
服を抱え逃げるハロルド
「待て!!変人オヤジ!!」
追いかけるイアン
久しぶりに霧の晴れたぽかぽか陽気の森を一糸纏わぬ小さなおっさんが駆け抜ける
「ふ…ぶぇっっくしょっ!!」
ハロルドとイアン
2人は仲良しです




