兄弟
「ただいまぁ~!見て!見てぇ!帰りに偶然!鳥さん捕まえちゃった~!今日は鳥よ~鳥の…!!」
明け方、見張りから帰ってきたハロルドは小屋の中を見て言葉を失う
イアンの姿がない!
「…イアン……まさか!?」
慌てて外に飛び出し探しに…行くかと思いきや、いきなり鳥を料理し始める、匂いの強いハーブと共に
食欲をそそる匂いが森全体に行き渡るよう
数時間後…
迷子のイアン無事帰宅
「もう!いい加減にして!心配するあたしの身にもなって!森の奥深く迷い込んだらどーするの!?無謀なことするのはやめてちょうだい!」
小屋の入り口、入るに入れずばつの悪そうなイアン
「…散歩に行ってただけだ…」
「なんで散歩で道に迷うのよ!散歩なら近場でやってちょうだい!!」
【方向音痴】
理由は無いが今度こそは大丈夫と思える自信が湧いてくる瞬間がある
夢でうなされ気分転換に散歩に出ただけ
ただそれだけだったのに…迷子
そんなイアンの手には薪とほんの少しではあるが食べられそうな木の実が…
「も~…そんなの見せられたら…怒るに怒れないじゃない…」
困ったような嬉しいような顔のハロルド
イアンから薪を受け取りながら
「イアン、森の中に行くときは目印になるものを見つけながら行くのよ!?わかった?」
うつむきながらボソッとイアンは呟く
「一応目印を…目立つ目印を見つけて…しかし…帰りにはなくなっていた…」
「なくなっていた?目印が?」
「そうだ…」
「…どーゆーこと?」
「…花」
「はな?」
「そう…白い花が咲いていたから…それを目印にしていたのだが…なくなっていた。確かに咲いていたはずなんだが…」
【方向音痴】
目印にするものがとても微妙
ハロルドはこんなイアンが今までよく無事で生きてこられた事に感謝し、彼の手を握り締め
「イアン、お花さんにも明るい時に咲いて暗くなると寝るお花さんと、暗くなると咲いて明るくなると寝るお花さんがあるのよ~、良く覚えておいてね~」
イアンは握られた手を見つめ
「…そうなんだ…」
見つけられなかった理由がわかって少しホッとした
【イアンの『かしこさ』が2上がった】
「あたしはちょっと寝るから、あんたその鳥食べたかったら食べなさい」
そう言ってハロルドは薄っぺらい毛皮をかぶり横になる
「…ラルフは…あんたに会えて喜んでいただろう?」
鳥肉を小さくちぎって遠慮気味に食べるイアンを薄っぺらい毛皮の間からハロルドが睨む
「まったく…ほんの数日前までは『ハロルド!ハロルド!』って…それがたった1日で『イアンは?イアンは今度いつ来るの?』って!あ~悲しいったらありゃしない!」
ハロルドはすねたようにプイッと背を向けた
「…ラルフが?…俺のことを?」
「そうよ!ずーっとあんたの話しばっかり!あ~つまんない!つまんない!」
「…俺の話しを?…何故だ…」
「…兄弟が出来たみたいでうれしかったんじゃないの?」
ハロルドは肘をたてつまらなさそうな声で言った
「…兄弟…」
「そうよ…イアンお兄ちゃん」
「……」
イアンは何とも言えない不思議な気持ちになった
『お兄ちゃん…お兄ちゃん……!?』
イアンは慌ててハロルドへ叫ぶ
「父親と母親はいらないからな!」
突然のイアンの言葉に
「………あんた大丈夫?」
心配になるハロルドだった




