愛のカタチ
「もう!びっくりさせないでちょうだい!!」
血相を変えハロルドは目にも留まらぬ早さで不気味な色の粒と薬草を混ぜ練り合わせ例のドロドロした物をイアンの傷口へと塗りたくる
「急に倒れるから死んじゃったかと思ったじゃない!!」
心配を通り越し怒り心頭のハロルド
「あぁ………ぐっ!! ……いったい…何が…」
意識が戻ったイアンは同時に痛みも戻って悶える
そんなイアンのおでこをぺちっ!と叩き
「『何が』じゃないわよ!急に倒れるからびっくりしたのよ!そしたらあんた!傷口から血がべーって!!べーって出てるじゃない!も~どう言う事!?」
『大半はお前の責任だろ』
と言いたかったが…そんな元気もなく…
ラルフに肘で小突かれ出血したまま、ハロルドと薪を投げ合い、追い回されれば倒れます
【貧血】です
ハロルドは何かまたまた怪しげな小瓶を取り出し蓋を開けると無理やりイアンへ匂いを嗅がせた
「今晩の見張りはあたしが行くからあんたはゆっくり休んでなさい!!…いい!?出歩いたりするんじゃないわよ!!」
傷口を綺麗な布でガッチリ固定しハロルドはイアンのまぶたを指で強制的に閉じる
イアンは眠気と戦いながら
「なぁ…ハロルドのおっさん、何のために…あんたは何の為に人を殺した…お金が…欲しかった…」
再度おでこをぺちっ!
「あんたホントに嫌な子ね~…昔まったく同じ事聞いた人がいたわよ!!いゃねぇ~思い出しちゃったじゃない!!」
痛みからイアンの額に汗が吹き出す
「…その時…何と答えた…」
「も~目閉じてよ!」
ハロルドは両手でイアンの目を覆い鼻歌(子守歌?)を歌い始めた
「ハロルドのおっさん…」
「なぁ~に?」
「呪われそうだから…やめろ…」
「失礼しちゃうわね!」
あれからどれくらいの時間が経っただろう?
目を覚まし起き上がるイアンは日の落ちかけた薄暗い小屋に一人ぼっちだった
ハロルドはすでに屋敷に向かったようだ
傷口はさっきの痛みが嘘のよう、少し熱を感じるくらいに治まっていた
恐るべし変なドロドロ!!
「…眠っていたのか…匂い…あの小瓶の匂いのせいか…」
軽く頭を振り眠気を飛ばしゆっくりと立ち上がると、すでに火が入っている焚き火の側に腰を下ろした
「ん?」
すっかりイアンの所定の位置になった場所に器がちょこんと置いてある
中には干し肉と少し固くなったパンが…
きっとハロルドが用意してくれた物だろう
干し肉とパンを見つめ
「わからない…なぜここまでするのか…家族でも何でもないのに…あの変人!何を企んでいる!?」
家族のいないイアンにとって愛情や優しさは何かの代償で得られる物…
ハロルドの【無償の愛】…?
ちょっと違う…【押し付けの愛】…
ん~…【一方通行の愛】?
そんな感じの物が理解できなかった
そしてその【ハロルドの愛】の干し肉は想像以上に固く噛めば噛むほど味が出た
「……かたすぎる…」




