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ちっちゃいオジサンのキモチ

森に静けさが戻った頃


小屋の中では…


ハロルドが床に押さえつけられ悶えていた


「ちょっと!痛い!離してー!」

体をくねくね動かし抵抗するハロルド


そんなハロルドの首根っこをつかみ完全ホールドのイアン

「貴様ホントは母親を殺した犯人知ってるんだろ!?言え!誰だ!俺にラルフを殺すよう依頼してきたあのメイドか!?言え!」


「なに!なによ!メイドって誰よ!犯人なんか知らないわ!知ってたってあんたに教えないわよ!!」


「なんだと!?」


一段とくねくね暴れまわるハロルドに向かってイアンは拳を振り下ろす!

「いやぁー!やめてー!顔は!顔はやめてーー!グーはイヤ!せめてパーで!お願いパーで!いゃあぁ~!!」




≪バキッ!≫




「……?……?」


拳はハロルドの顔ではなく床に落ちた


ハロルドが避けた訳ではなく

初めから床を狙って振り下ろしたのだろう


不思議そうに見上げるハロルドに

「…お前わざと俺に捕まったな!?いつもならもっと逃げ回るはず。こんなに容易く俺に捕まるはずない!!何を企んでいる!?」

イアンはハロルドを突き放し焚き火そばへ腰を下ろす


「…バレてた~!!やっぱりあんたは賢い子ね~」

ハロルドは体をひねりイアンの背中に語りかける


「……」



「おーい!聞こえてるなら返事くらいしなさいよぉー!」


「……」


「もう……今朝あたしにブランケットかけてくれたでしょ!?すごく暖かくてさぁ~久しぶりに寝坊しちゃって~帰ってきたらあんたに温かいもの食べさせてあげよう!って思って…」


「そのお礼にわざと俺に捕まってやったって事か?」

イアンは肩越しにハロルドを見る


「…そうね…そうかもね。今日はあんたに何かしてあげたいと思っていたから…2、3発殴られても良かったくらいよ…でも顔は嫌よ!!顔は!」

ハロルドはしゃべり続けた


「昨日の兎だって『偶然捕まえた』なんて言ったけど、偶然見つかるはずないじゃない!探して探して探しまくってやっと見つけたのよ!あんたに食べさせたくて…でも!そんな事言ったら遠慮して食べないでしょ!?さっきのパンだって大事に大事に取っておいたやつなのよ!!」


「……」


「その毛皮だって!見かけは変だけど…あんたが暖かくなればって一生懸命作ったのに!!親不孝者!!」


「…………いや……お前おれの親じゃないし…」


「あっ!………訂正!恩知らず!!」


どっちもニュアンス的に違っている気がするが、とりあえず《イアンを思ってした事》だと言いたいらしい


「わからない…ナゼそこまでする?血もつながっていない俺の為に…何か裏があるんだろ?」


ハロルドは横になった体勢のまま肘をつき

「…あんた…性格暗いわね…」

ボソッとつぶやいた


「聞こえてるぞ!」


慌てて口を押さえるハロルド


「俺みたいな馬鹿な奴の事など誰も気にもとめない…たとえ俺が明日死んだとしても…」


「まぁ!そんな事言わないの!!死ぬとか簡単に言わないで!…今まではそうだったかもしれないけど…今日からは違うわよ!」


ハロルドは体を起こし胸に拳を当て低めの声で


「これからは!このハロルド様があんたを心配して世話をやいておちょくってあげるから!安心しろや!」

今度は腰に手を当て笑いはじめた


イアンは首を左右に振り呆れた様子だったが

「あんた…まさか今のでうまく話しをごまかし切れた…なんて思ってないだろうな?…俺の言いたい事はまだ終わってないぞ…」

横目でハロルドを睨みつける


「いやぁー!その目こわぁーい!」


本人は気がづいていないだろうが、ハロルドの扱いが上手くなっているイアン君なのであった

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