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2人ぼっち

「ほら…入れよ」


パジャマ姿で裸足のラルフを見かねイアンはマントを広げ左側にスペースを作る


最初は躊躇していたラルフもさすがに寒さには勝てずちょこんと収まった


隣に座ったラルフはとても小さく弱々しく見え

「…チビだな、お前本当に俺を刺したあの時のガキか?」

イアンがラルフを見下ろしながら言うと


「ガキじゃない!ラルフだ!俺の名前はラルフだ!」

どうやら『チビ』は自分でも認めているから許せるが『ガキ』は許せ無いらしい


「言っておくけど…お父様も『もう少ししたら大きくなる!』って言ってるから!チビなのは今だけだからな!」

あっ…『チビ』もちょっと許せ無いらしい


「根拠はあるのか?」


「こ…こんきょ?」


「あぁ…理由、理由だよ!大きくなるって事の」


「理由は…理由は…無い…でも!でも足が大きいから絶対大きくなるって…おい!笑うな!」


膝に顔をうずめイアンは肩を震わし笑っていた

「お前本気で信じているのか!?残念ながらチビはチビのままだ」

そう言ってまた膝に顔をうずめて笑う


「笑うな!!」

ラルフは顔を真っ赤にしイアンの膝と頭を揺さぶる


今は笑っているイアンだが数年後にはラルフに見下ろされる事になるのだった


「ハロルド…俺の事嫌いになったのかな…」

突然寂しそうな声でラルフが呟く


「急にどうした?…嫌われる様なことでもしたのか?…嫌われたとしてもどうってこと無いだろう?あいつ変人だぞ!?それに…」

イアンはもう少し言いたかったが取りあえず口を止めた


「だって!お前!ハロルドからの依頼でここに来たんだろ!?俺を殺そうとしたお前をよこすなんて…嫌われている証拠じゃないか!?」

ラルフは少し声を荒げた


「『お前』じゃない、イアンだ、俺の名前はイアンだ。あいつは、ハロルドはお前の事嫌ってなどいない…むしろ大好きだぞ、あいつお前の事」


その言葉にラルフの目が輝く

「ほんと!イアン!?ほんと!?」


イアンには理解出来なかった、あんな変人のしかもおっさんに好かれて嬉しいなんて…


「お前、あいつが…あのおっさんが誰だか分かっているのか?」


ラルフは目を輝かせたまま

「もちろん!知ってるよ!『根無しのハロルド』だろ!?」

イアンを見上げる


「お前、本当にあいつが『根無しのハロルド』だと信じているのか?」


「うん…だって…そう言ってたもの…」


「そう言えば…あのおっさん俺にも『根無しのハロルド』だと自分から名乗っていたな……」

イアンはますますハロルドへの疑いが強くなっていく


「…それに…」


「それに?」


「…ハロルドは、ハロルドだけは信じてくれたから…だから俺もハロルドを信じる!」

唇をぎゅっと噛みしめラルフは強く目をつぶった


「…信じるって…お前の母親が殺されたって事か?」


ラルフは小さくうなずき

「お父様もリタ叔母様も…誰も信じてくれなかったのに…」

うつむいたまま素足をこすりあわせる


「…でも…お前の母親は病気で死んだんだろ?」


「違う!お母様は病気なんかじゃない!殺されたんだ!」

ラルフは何度も首を横に振った


あまりにも何度も振るのでイアンは彼の頭頂部をわしづかみし止めた

「気分悪くなるぞ…」


「おえっ!」

舌を出し今にも吐きそうになラルフを


「吐くなよ、飲み込め」

イアンは冷たくあしらいながらも

左手は何度も何度もラルフの小さな背中をさすっていた


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