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小屋の中

日が傾きはじめた森は一気に気温が下がりはじめる

そんな肌寒い森の小さな小さな小屋は…


そんな寒さとは無縁なほど暖かかった


たくさんの薪を贅沢に燃やし美味しい兎の鍋でイアンとハロルドは心も体もぽっかぽか


お腹がいっぱいになった2人は暖かさも手伝ってかウトウトし始めていた


ただ本当にウトウトしていたのはハロルドだけで…


「…お…い…また…何か…飲ませた…な」

イアンは目の前が揺れ頭がぼんやりし始める


「…ふぁ~ぁ…やっと効いてきたのね~…あんたの傷の手当てをする為よ」

大きな欠伸をしよろよろと立ち上がったハロルドは棚から小瓶を取り


「仕方ないじゃない?だってあんた『こんなの自然に治る!』って強がって素直に手当てさせてくれそうにないしぃ~、そーでしょ!?」


そう言いながらもまんまと騙され朦朧(もうろう)としているイアンを見ては嬉しそうにニヤニヤしていた。


空いた器に小瓶の中から不気味な色の粒を取り出し薬草らしき葉をちぎり入れ練り混ぜはじめる


「…まさか…そんな……気持ち悪い…もの…傷口に…」


「ピンポーン!大正解~!傷口にしか塗りませーん!」

人差し指をイアンのおでこに突き当てハロルドが「ピンッ!」と押すと

イアンはまるで糸の切れた操り人形のように床に倒れる、そんな無抵抗な彼の服を捲り上げ


「いやぁー!ほらぁ!やっぱり傷口が開いてる!べーって!血がべーって出てるじゃない!」

嫌なのか嫌じゃないのなわからない奇声を上げながらハロルドはさっき練って出来た不気味でドロドロした物を傷口へと塗りたくる


「…しっかし…なんて傷だらけで痩せッポッチな体なの!ペチッ!」

あばらの浮き出た傷だらけのイアンの青白い肌を叩く


「!!…イッ!…無抵抗な…ケガ人…を…叩くな…」

イアンは今にも閉じそうな瞼を懸命に持ち上げていた


「ペチッ!ペチッ!ペチッ!」

嫌がれば嫌がるほど、ハロルドは楽しそうに何度も何度もイアンの体を叩く


「…まったく…子供かよ……変なこと…するなよ……俺は…男にも………おっさんにも…興味ない…からな………」

笑いながらイアンがそう言うと


「いゃーーー!ちょっと~言うじゃないーー!きゃーーー!なまぁいきぃーー!もう!変なことしちゃおうかしら!!きゃーーー!」

ハロルドは自分の膝をバシバシ叩きながら笑い転げた


「あんたは利口ね…少し眠りな…今夜から坊ちゃんの見張りはあんたがやるの、居眠りせずに朝まで頑張るのよ!」

そう言って瞼に手を当てるとイアンは静かに深い眠りに入っていく


イアンが眠った事を確認するとハロルドは小屋の隅っこから袋を引きずり出し何やら縫い始める


袋の中身は綺麗になめされた毛皮、それも大量に

たぶん今まで彼が捕まえ食したのであろう兎などの毛皮だった


それを一枚一枚丁寧につなぎ合わせては縫い合わせる


時折イアンの体にあてがいながら


一枚、また一枚と縫い合わせる


「…まったく…最近の子供はなんでこんなに大きいの!?…足りるかしら?」


毛皮の心配をしながら、面倒くさそうに、でも笑顔を浮かべながらハロルドは小さな毛皮を縫い合わせ続けた


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