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狸寝入り

少しずつ森が明るくなり始めた頃

イアンは寒さと傷の痛みで目が覚めた


辺りを見渡し徐々に昨夜の出来事を思い出す


「!!そうだ!」

慌てて体を起こし手足を動かしてみる

多少のだるさは残っているが確かに体は自由になっていた、しかし傷口からはまだうっすらと血が滲んでいる

「あのガキ…あんな奴と俺を一緒にするなって!…そう言えば…ハロルドのオヤジは…」

後ろを振り返ると今にも消えそうな焚き火の側で薄っぺらい毛皮にくるまり一段と小さく丸まって寝ているハロルドがいた


時折小刻みに震える姿はまるで小動物のよう


小さくため息をつく

「はぁ…本当にこの男が…あの恐れられている『ハロルド』なのか…」


ふと、思い立ったようにイアンは胸元に隠していたナイフを握りしめゆっくりとハロルドの方へ近づいていく、足音をたてずゆっくりと


そして小さくイビキをかき眠るハロルドへナイフを突き立て一気に振り下ろす!


「…ふぅんがぁ…」


「ガツッ!!」


その瞬間、ハロルドが寝返りを打ち彼の小脇に大事に抱えられたワインボトルにナイフが弾き飛ばされる


「チッ…!」


急いでナイフを拾おうと向きを変えたイアンのわき腹をハロルドの右足が襲う


「ぐはぁゎ!!!」

イアンはわき腹を押さえ悶える


「…こ…この…クソ…オヤジ!…お前…起きているのだろ!!」


「・・・・・」


「オイ!!起きてるんだろ!!怪我している所を狙うなんて!卑怯だぞ!!」


「・・」


「オイ!聞いてるのか!!」


「…グウグウ…寝ているところを…襲う卑怯者に…『卑怯者』と…言われたくない…グウグウ…」


「!!…くぅ…」

当たっているだけに何も言い返せないイアンは

「顔をあらってくる!!」

そう言ってナイフを拾うと小屋を出る


「そうだ!ついでに薪と食べ物もお願いね~」

嬉しそうなハロルドの声が小屋の外まで響く


「ッチクショ…絶対毒キノコ食べさせてやる!」

イアンは意気込んで林の中へと進んでいった


その頃ハロルドはゆっくり起きあがり大きく背伸びをして

「ふふっ…坊ちゃんといいあの子といい…楽しいわぁ~…さて、食べ物は期待出来なさそうね…」

そう言うと身支度を整え

「育ち盛りの坊やの為に兎でもひっつかまえてやろうかね」

弓を手にイアンの方とは反対の林の中へと入っていった


森の霧は晴れることなく二人を包んでいった


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