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向こう側
雨はいつしか上がり、空には少し欠けた月が輝いていた
エマはふと目が覚めた
物が割れる音、そして声が聞こえたような気がしたから
はじめは夢かと思ったが、次第に頭がはっきりしてくる
「お父様達!?帰ってきたの!?」
エマは飛び起きブランケットを肩に掛けるとキキを起こしガウンを渡した
「お嬢様………まだ夜ですよ……どうしたんですか…」
半分以上寝ているキキを揺らし
「お父様達が帰ってきたの!」
そう言うと部屋を飛び出し居間へと向かった
冷え切った階段を急いで駆け下りる
開いた居間の扉から光が漏れ、人が慌ただしく動いているのが見えた
エマはなんだか扉の向こう側に行ってはいけない気がして慌ててキキの手を握り締めた
「お嬢様…何だか怖い、部屋に戻りましょう…」
キキも何かいつもと違う雰囲気に怯えていた
腕を組み寄り添いながら2人は居間へと近づき
扉に体を半分隠しそっと向こう側を覗いた
無数のろうそくとランプが部屋中を明るく照らしている
「お嬢様!いけません!!」
突然背後からの悲痛にも似た声にエマとキキは声を上げる事も出来ずその場にへたり込んだ




