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【闇】

【光輝く場所あれば、闇になる場所あり、それは人の世も同じ事】


ピーターとケイティの結婚の話は瞬く間に

街から街へ、街からとなり街へ、となり街からそのまたとなり街へと広まっていった


『美男美女のお似合いの夫婦』


『ケイティの御両親は反対だったがピーターがとても素晴らしい男性だったので最後は結婚を認めたそうだ』


ピーターとケイティは時にはケンカもしたが(ほとんどケイティが一方的に怒っていた)仲むつまじく暮らしていた


春から夏にかけてはケイティの実家で楽しく過ごし、 一年後には元気な女の子が誕生した。

元気いっぱいの女の子は名前を『エマ』と名付けられた



そんな我が子の顔を覗き込んだケイティは

「あぁ!ピーター!貴方からのプレゼントね!なんて綺麗なオリーブ色の瞳なのかしら!」


「君に似て美しい子だ、困ったなぁ…」


「何が困ったの??」


「女の子だ、いずれは結婚の相手を探さないといけない。この子はすごい魅力的な女性になる!そうなると…いろんな男性がプロポーズに来る…」


最初は冗談だと思って聞いていたがピーターの真剣な顔を見てケイティは吹き出してしまった


「人が心配してるのに、笑ったな!?」

ピーターは声を殺して笑っているケイティの左頬を摘む


「きゃっ!…だって!あなたこの子産まれたばかりよ!?」

ケイティは可笑しくて可笑しくておかしすぎて涙が出た


ケイティの両親も孫の誕生をとても喜んだ。


叔母のダーマは山を3つも越えて会いに来てくれるほど喜んだ


「ピーター…お願いがあるの」

ケイティは『エマ』を抱きながら指輪を外し

「この…この指輪を誕生祝いとして『エマ』にプレゼントしたいの」


ピーターは指輪と『エマ』を見つめた後、少し考えて

「君がそう望むなら」

そう言って笑いすぎて流れたケイティの涙を親指で拭った



2人は本当に幸せだった



小さな小さな【闇】が幸せの影で生まれようとは思いもしなかった


【闇】は【噂】となって広まっていく


≪ケイティの御両親は結婚に大反対だったが、2人は反対を押し切って結婚したそうだ≫


≪2人は駆け落ち同然に結婚した≫


【噂】はどんどん広まっていく


商人から商人へ


≪父親は大事な娘を連れ去ったピーターを恨んでいるそうだ≫


≪母親はあまりのショックに病に伏せておられるそうだ≫


商人から吟遊詩人へ


≪ピーターには結婚を約束した女性が居たが無理やり仲を裂かれ傷心の女性はケイティを恨みながら身投げをしたそうだ≫


≪生まれた赤ん坊にその女の呪いがかかっているそうだ≫


吟遊詩人から村人へ


≪娘の『エマ』には呪いがかかっていて、彼女と結婚すると不幸が降りかかるそうだ≫


【噂】は生き物のようにどんどん成長し形を変えて広まった


『たかが【噂】』


時には真実を飲み込んでしまうほど、厄介で恐ろしい【闇】


『されど【噂】』


時が経つにつれ【噂】は薄れかけた


だか


見えない深い深い奥底で


生きていた


息を潜め


【噂】から【真実】になるチャンスをうかがっていた



『エマ』が10歳の誕生日を迎えひと月過ぎた頃


その時はやってきた



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