愛すべき者達
「なぜ剣を抜かぬ!!」
ジェームスは剣を振りかざし叫んだ
しかしピーターは一向に剣を鞘から抜こうとしなかった
いや、ジェームスの動きが素早すぎて抜く事が出来なかったのだ
それがますますジェームスを苛立たせる事になる
「剣を抜くほどの事では無いと言うのか!!」
「いい加減にしないか!!さっさと二人を引き離せ!!」
騒ぎで壊れた居間の装飾品を握りしめケイティの父親が叫ぶと数名のコックと護衛隊達が二人に飛びかかった
と言うよりジェームスに飛びかかった
「離せ!どけー!」
暴れるジェームスを皆必死で押さえこむ
「こら!隊長たる者がなんだ!場所をわきまえないか!!」
割れた花瓶のかけらを拾いながら
「あぁ…なんと言うことだ…」
父親は怒りたいのか泣きたいのかわからなくなってきた
「この勝負!顔立ち、スタイル、技、共に引き分け!!」
目を輝かせ母親は勝手に判定を下した
「ピーター怪我は?大丈夫?」
叔母のダーマが心配そうにピーターに駆け寄り体を確かめる
「叔母上大丈夫です、ご心配かけました」
ピーターはダーマを安心させるよう両手を広げて微笑んだ
そんなピーターを睨みつけ
「なんて奴だ!」
ジェームスは肩で息をしながら剣を鞘へ収めた
「…あいつめ!こんなに動いて息一つ乱れてないとは……」
拳を骨が白く浮き出るほど強く握り
「この勝負…私の負けだ…」
そう呟くとジェームスはいきなりケイティの腕をつかみ、背中を強く押した
「ぎゃぁわ!」
変なん声を発してケイティはピーターの方へと押し出される
「私の優秀な部下を悲しませるな!」
ジェームスはピーターへ剣先を向け叫んだ
ピーターの顔から笑顔が消え、真剣な眼差しで
「言われなくとも」
そう言い放つとピーターはケイティの前へ膝をつき
「全身全霊で貴方を守り、愛し続けます…私と結婚して下さい」
再び指輪を差し出した
ピーターの輝く緑色の瞳を見つめ
「あたしで良いのですか…」
ケイティは涙ぐんだ
「貴方でなければ困ります」
そう言って優しく微笑むとケイティを大きな腕で包みこんだ
ケイティは嬉しくて嬉しくてピーターの胸でワンワン泣いた
ケイティの両親も「この二人なら大丈夫」と納得し心から結婚を祝福した。
「こら!お前!あっしの大事な一番弟子を泣かせるなよ!」
デニスが鼻をすすりながら叫ぶと
「何言ってやがる!俺の大事な助手を大切にしろよ!コノヤロウ」
マイルズが少し涙声で叫んだ
「今度は男に生まれてこい!」
ジェームスが真顔で叫ぶ
「だからぁそれは無理だってぇ」
デニスとマイルズが声を揃え呆れた
ケイティは3人の優しさが心の奥までしみてきて
『もっと!もっと!もっと早く彼らと打ち解けていたら、もっと!もっと!もっとたくさん素敵な思い出ができていただろう』
と後悔した、と同時に少しの間ではあったが彼らと仲良く、そして楽しく過ごせた日々に感謝した
それからひと月後、ケイティは真っ白なドレスに身を包みピーターとの愛を誓った。
ケイティの指にはあの指輪が輝いていた
ピーターは何度も冗談でケイティへ問いかける
「ケイティ…君は…本当は妖精?」
ケイティは笑いながら
「そうよ、伝説の森の妖精よ!あなたの魂を奪ったの」




