三銃士~愛すべき三バカトリオ~2
「情けない奴だ!!」
バケツを蹴飛ばしマイルズがボヤく
「やめろよぉー!」
バケツを抱えデニスはケイティの後ろに隠れた
「ケンカはやめて!」
ケイティに注意され、ますます不機嫌になったマイルズは声を荒げ叫んだ
「おい!あれを持って来い!!」
「はい!!ただ今!!」
居間の外で待機していた若いコックが大事に大事にそぉ~っと、そぉ~っと大きな器を持って居間に入って来た
その器からは、どんなにお腹がいっぱいでも「ぐぅぅ~」っと鳴ってしまいそうなほど何とも言えない美味しい匂いがした。
「あぁ~なんて良い匂いなのかしら~…夕食はまだ?」
お腹を鳴らし誰かがつぶやいた
マイルズが少し小さめの皿へ中身を注ぐ、黄金色に輝くスープだ。
皆が生唾を飲んだ
「さぁ!お前さんよ!このスープは俺の自慢のスープだ!じっっっっくり煮込んでトロットロのウマウマスープだ!」
見た目通りのネーミングである
「このスープの中にはお嬢様のお気に入りのハーブが香り付けとして入っている、どんなハーブが入って
いるか当ててみな!」
そう言ってマイルズは皿をピーターへ差し出した
「あんなに大きな器からほんのちょっとだけしかあげないなんて…」
「ハーブが何種類入っているかも教えてくれないなんて…」
「あんな恐ろしい顔でよくこんな神がかりのような料理が出来るもんだ…」
周りの人達はマイルズに聞こえないよう小さな小さなとても小さな声で囁いた
「ちょっと!マイルズ!『お気に入りのハーブ』ってどう言うこと!?あたしそんな事言った覚えは!!・・・・・むぐっ」
マイルズが慌ててケイティの口をふさぐ
「さぁ!旦那!こっちは気にせずグイッとやってくだせー!」
マイルズは笑って見せた
その笑顔を見た周りの人達は
「悪魔の微笑みだ!!あいつ!マイルズ何か企んでいるぞ!」
と身震いした
ピーターは気にするなと言われても口をふさがれジタバタしているケイティが気になってしょうがない
「助けてあげるべきだろうか……」
ピーターは迷いながもスープの匂いを嗅ぎ一口、口へ流し込んだ。
(!!なんと素晴らしい!こんな美味しいスープは初めてだ!)
と同時に口いっぱい旨味が染み渡る。
ピーターは懸命に舌で喉でハーブの味を読みとろうとしたが新鮮な野菜や良質の肉の旨味が邪魔をする
「…玉ねぎ…人参…マッシュルームに…」
ピーターはひとまず特定出来た材料を口に出してみた
それからその材料に合うハーブを考えたが…
「わからない…いったい何が入っているのだろう…」
ピーターは空になった皿を見つめつぶやいた、そして
「……どんなハーブが入っていたのか…私にはわからない…申し訳ない…」
ピーターは寂しそうな眼差しでケイティを見つめた
「あぁ……」
なんと声をかけたらいいのか分からないケイティはマイルズを叩いた
「ひどいわ!マイルズ!」
「イテっ!!」
マイルズは叩かれた肩をさすり慌ててこう言った
「勘違いするな!負けたのは俺の方だ!」
「???」
ケイティだけではない、周りすべて皆「?」になった
「ハーブなんて入ってないよ!もともとこのスープにはハーブなんて入っていないんだよ!それ以前にお嬢様の好きなハーブさえ知らねーよ!!」
少し逆ギレ気味のマイルズ
「それじゃ!………あなた嘘をついたの!?」
ケイティは今にも飛びかかりそうにマイルズを睨んだ
「ちっ!あいつが適当にハーブの名前言ってりゃ《嘘つき》呼ばわりしようと思っていたのになぁ~」
ぜんぜん反省の色が無い
「言っておくが!それだけじゃないぞ!そんな事で負けを認めるような俺じゃない!」
嘘をついた割にマイルズの口調は威張っていた
「あの旦那は!はじめて飲んだこの 《じっっっっくり煮込んでトロットロのウマウマスープ 》の材料をすべて言い当てたんだよ!はじめて口にしたはずなのに!」
そう言って マイルズは器の《じっっっっくり煮込んでトロットロのウマウマスープ》を一気に飲み干した
「俺が間違えて入れちまった材料まで言い当てやがって!!」
ふてくされマイルズは恐ろしい事を口にした
「今日は夕食無し!!」
周りが一斉にどよめく
ただ1人、ケイティだけは嬉しくて嬉しくて、嬉しさのあまり側にいたデニスを叩いた。
「イテっ!!何するんですかぁ~!お嬢様~」




