三銃士~愛すべき三バカトリオ~
「皆様のお気持ち、わかりました…それなら…私も本気でいかせてもらいます!」
そう言ってピーターはジャケットを脱ぎスカーフを緩めるとシャツの袖のボタンを外した。
捲った袖から伸びた、たくましい腕を見て
「おい!おい!おい!!ちょっと勘違しちゃ~困るよぉ!?」
庭師のデニスが慌てて両手を振って
「あっしと戦うのはこれだよぉ~」
そう言って手に持った三枚の葉っぱを見せた。
しばらく葉を見つめていたピーターは
「それは…薬草ですね」
デニスに問いかけた。
「そうだ!あっしはお嬢様に薬草について色々と教えた、そのお嬢様の薬草の知識を超えるほどの奴でなければ!あっしは認めないんだから!」
デニスは薬草をピーターへ差し出し得意気にこう言った
「この3つの薬草について特徴や効能などを言ってみろ!!」
「なんだ、デニスは!自分の得意分野じゃないか!?」
「これじゃランドールさんが不利に決まってるじゃない!」
「相変わらず卑怯な奴だなぁ~」
周りから一斉にブーイングが上がる
「うるさい!うるさい!黙れ!」
デニスは顔を真っ赤にし叫んだ
「どんな事でも受けたからには勝負は勝負です」
そう言うとピーターはデニスの手から薬草を受け取り
「…これは…この薬草は…切り傷などにすり潰して塗ると効果的で、火傷にも…」
みんなの予想とは裏腹にピーターは薬草の特徴や効能についてスラスラ答えた。
「すごい!」
とケイティが喜んだのもつかの間
「これは…この薬草は………」
最後の一枚でピーターはしばらく考え込み悩んだあげく
「申し訳ありません、勉強不足です。この薬草についての知識が私には…ありません」
そう言うと残念そうにデニスへ薬草を返した
そんな彼を見てケイティは少しガッカリした。
そして勝手に期待してガッカリしている自分にガッカリした
「やったわ!!」
母親がハンカチを振り回し喜ぶ
しかし当の本人、デニスはとても不満そうな顔をして
「あいつ!わざと分からない振りをしやがって!」
そう言うとピーターが答えられなかった最後の薬草を床に投げつけた
周りもデニスの悔しがる様子を見て驚いた
「一体どういう事だ?」
「卑怯なデニスが勝ったんじゃないのか」
「いったいあの卑怯者は何を悔しがっているのだ?」
言いたい放題にザワつきはじめた
「うるさい!俺は卑怯者じゃねー!」
デニスは投げ捨てた薬草を踏み潰し怒った。
「デニス?どういう事なの?あなたが勝ったのではないの!?」
ケイティの母親が問いかけると
「旦那様!奥様!あの男はこの薬草の事を知っていながら『俺に気をつかって』知らない振りをしんたんでさぁ!」
そう言いってピーターを指差した
「いえ!!そんなつもりは!」
ピーターは慌てて否定したが
「えぇーい!あっしは気を使ってもらうほど落ちぶれちゃいねーよぉ!」
ますますデニスは不機嫌になっていく
「デニスよ、彼がこの薬草を知っていたと言う証拠があるのか?」
ケイティの父親がデニスに問いかけると
「あいつはこの薬草には毒性があるのを知っていたのでさぁ!」
そう言って踏みつぶされて哀れな姿になった薬草を指差した。
「毒なの!?」
皆驚いた
「毒と言っても、ちょっとかぶれるくらいで…そのかぶれる場所がこの薬草の茎の部分なんですがね」
デニスは他の薬草を使って説明した
「葉を持つときはこう茎の近くを持つのが普通だろぉ~、だけどアイツはこの毒性のある薬草だけは茎は持たず葉の部分を持っていたんでさぁ~」
そう言っている間にデニスの右手がどんどん赤く腫れ上がってきた
「茎の部分に毒があるって知らなかったら普通は茎の部分を持つのが当たり前!」
デニスは右手を必死にズボンにこすりつけ
「あっしだってバレないよう《かぶれ》を覚悟で茎の部分を持っていたってのに!!」
あまりの痒さにデニスはたまらず叫んだ
「おぉーい!誰か!!バケツに水を持ってきてくれーー!」
どんどんかぶれて腫れていくデニスの右手を見てケイティはつぶやいた
「ぜんぜん…ちょっとじゃないわ…ね」
「ちくしょう!覚えてろ!」
デニスは右手をバケツの水に突っ込みながら悔しがった。
「っと言うことは…デニス?この勝負は…」
ケイティが恐る恐る聞く
「気を使われるなんて情けない!あっしの負けでさぁー!あぁー!負け!負け!」
最後は少し投げやりになったデニスをよそに
「やったぁーー!!ありがとー!デニス!!」
ケイティは全身で喜んだ
周で見ていた人達も
「すごいぞ!あの薬草馬鹿のデニスを負かすなんて!」
「しかも卑怯者のデニスに気を使うなんて!なんて心優しい奴なんだ!」
ピーターを見る目が変わっていた
そんな中、この状況をわかっていない人が1人いた
渦中の人、ピーター本人だ
彼は本当に最後の薬草については知らなかったのだ
ただ子供の頃似たような形の葉っぱの茎でかぶれた事がトラウマとなっており無意識に茎ではなく葉の部分を持っていただけの事だったのだ。
ピーターは事情を説明しようとしたが、全身で喜ぶケイティが余りにも可愛らしく言い出せずにいた。
「この事態が解決したら後で謝ろう」そう思っていた




