強さ
「お嬢さま~待ってくださ~い」
ケイティの歩く速さに追いつけずケリーは何度も転びそうになる。
「早く!彼が帰ってしまうわ!」
ますます歩く速さを上げるケイティ。
「もうダメ~」ケリーが足を止めようとした瞬間、急にケイティが振り返ったので彼女は抱きつくように倒れ込んだ。
「むふぁっ!…お嬢さま~急に止まらないで下さいませ…」ケイティの胸に埋もれケリーがもがく。
「ごめんなさい!大丈夫!?」慌てて抱き起こしケリーの顔を覗き込んでこう尋ねた
「お客様は…彼は…お…おひとりでお見えになっているのかしら…」
とても遠回しな言い方になってしまったのでケリーは少し考え込み「数名のお連れ様がおりましたが…」
「数名?…その中に女性は!?」
「一人、御一緒に広間にてお待ちになっているご婦人が1人おりました」
一瞬ケリーの顔が涙でぼやけたが、肩をグッと上げ「さぁ!急ぎましょう」とケイティは再び歩き始めた。
「遅いと置いていくわよー」
「あぁ~待ってくださ~い!」ケリーも急いで後を追う。
「…ふふっ」
ケイティは1人笑った。
残念な気持ちはもちろんある、長い事期待し待ち続けた自分に悔しくもある、でも今はそんなことよりもとにかくこの目でもあの笑顔が見たい!
彼の顔を確かめたい!ただそれだけが今の彼女を突き動かしていた。
考えるのはその後。
泣くのか泣かないのかはその後。
「あたし強くなったなあ~ふふっ」ケイティはまた1人笑った。




