有言実行
「ブランケットは残念だけどあなたに譲るわ、その代わり」とダーマはいくつか条件をだした
「嘘はつかない事、何かあれば必ず連絡をする事、どんな辛い事もそれを受け止めて前に進んで行く事、いいわね!?」
まるで今からピーターがやろうとしている事をすべて見通しているかのような彼女に「叔母上は魔法使いか何かですか?」と笑いブランケットを受け取った。
急いで帰るピーターの背中を見送り「きっと忙しくなるわ…そうだ!ドレスを新調しきゃ」そう呟くとダーマはメイドを呼んだ「街へ出掛けるわよ~」
ピーターは走った、周りの景色が凄まじい勢いで変化するくらい。
一日でも無駄にしたくなかった。
その頃…ケイティは部屋に閉じこもり本を読んでいた。
本を読むのが嫌いなケイティがいきなり本を読み始めたので「結婚が嫌で頭がおかしくなった」と周りの人に心配されるほど。
最初は泣いてばかりいたケイティだったが『部屋で泣いてても彼には会えない』と悟ったらしく、いつ何処でピーターに出会えるかわからないその時の為《無事戻ったらやる事リスト》 を実行してみようと思っていたのだが…
本を読んだからといっていきなり上手くいくわけなく、ハーブの事も薬草の事もチンプンカンプンだった。剣については本で使いこなせるようになるなら苦労はしない。
1人煮詰まってしまった彼女は本を数冊持って庭師デニスの元を訪ねた。
「デニス…忙しいところ申し訳ないけど薬草について教えて欲しいことがあるの」恐る恐るケイティは聞いた。
剪定をしていたデニスは本当に忙しかったので少しムッとしたが『どうせいつもの気まぐれだろう』と思い「何でしょうか…」とぶっきらぼうに帽子を取った。
最初のうちは適当に返事をしていたデニスだったがケイティの熱心さにいつしか夢中で答えていた。
そして彼は自分の知っている事をすべてケイティに教えた。
「ありがとう!とても勉強になったわ!あなたって物知りね!」
そう言われ少し背中がムズムズした。
「出来ればハーブの事も聞きたいの…」そうケイティに言われ「あぁ…ハーブに関してはあっしは全然でして…」申し訳なさそうに頭を下げる。
「そう…」残念そうにケイティがうつむくと
「そうだ!あいつなら!コックのマイルズならハーブはお手のものです!」
しかし調理の邪魔にならないか躊躇しているケイティに「あっしも一緒に頼んでみますよ!さぁ!行きましょう」
ニンニクと香辛料の匂いが立ち込める鍋の前で二人は小さくなっていた。何故なら「ハーブの事を教えて欲しぃだぁ~?」夕食の準備でとても忙しかったコック長のマイルズは恐ろしく怖かったからだ。
「俺からも頼むよ~お嬢様もこんなに熱心に頼んでいるしぃ~」
マイルズは鍋をかき混ぜながらデニスを睨んだ。
「あ…あなたならハーブの事知らないことは無いって彼が誉めてたの!」あわててケイティが間に入る。
二人を無視していたマイルズだったが『どうせいつもの気まぐれだろう』と目の前の鍋へぶっきらぼうに説明をしながらハーブ入れた。
「これの名前は?」「これを入れるとどう味が変わるの?」彼はいちいち聞いてくるケイティをウザイと思いながらもすべての質問に答えてくれた。
「ありがとう!こんなにいろんなハーブがあるのね。あなたは料理とハーブの天才だわ!」
そう言われお尻がムズムズした。
「実は、剣を使えるようになりたいの。お二人は剣は使える?あたしに教えてくれない?」彼女は突拍子もない事を聞いてきた。とても庭師とコックに聞く質問では無い。
「まさかでしょ~俺達が使えるのは剪定のハサミか料理用のナイフくらいですよぉ~」二人は声をそろえ言った。
「そう…」寂しそうにうつむくケイティを見て「そうだ!あいつなら剣を教えるのが得意だ!護衛隊長のジェームスなら!」
そんな偉い人にお願いするのは気が引けると遠慮していたケイティに
「俺達ついて行きますよ!俺達からもお願いするからさ!」と彼女を裏庭へ促した。
ケイティはなんだか嬉しくて左頬がムズムズした。




