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別れ

すぐ側の茂みで木の実や薪を集めていたピーターのもとにも悲鳴は届いた。抱えていた薪を投げだし全力で駆けつけた…が、いきなり茂みから男が現れたのでケイティはまた悲鳴をあげた。「ヒヒィン!ぶるるるっ!」悲鳴に驚いた馬が悲鳴をあげる。何とも騒がしく森は朝を迎えた。



「大丈夫!僕です!ピーターです!」息を切らしなだめる彼を見てケイティはやっと状況が飲み込めた。なぜ森に居るのか、そしてなぜ剣を握りしめているのかが。


2人は森で集めた木の実を少し早めの朝食にし、身支度を整え馬を走らせた。


昨日までの暗く不気味な森はもうそこには無かった。降り注ぐ日差し、青々と茂った木々、足の踏み場もないほどの草花、そしてなにより彼女を気遣い何度も振り返るピーターの横顔。

「このまま森を永遠にさまよってもいい!」

ケイティは本気で思った。本気で願ったが、願いむなしく「街です!街がみえました!」ピーターは木々の切れ間から小さく見える街並みを指差し「これでお家に帰れますよ!安心してください!」と馬の走りを少し早めた。


「…ホント…良かった…」心とはうらはらな言葉だったが、優しく気遣う彼を思うとこれ以上困らせる事は出来ない。


近づく街並みを見てケイティはふと大変な事を思い出した。「あたし…家出をしたんだ…!!!」


屋敷を飛び出した彼女、街にはきっと彼女の事を探している兵が居るかもしれない「一晩どこに居たかもわからない上、どこの誰だかわからない男と現れたら!!それは!それはどうしても避けなくてはならない事だわ!」


焦ったケイティは「ありがとう!ここからは1人で大丈夫です!」

「?…っと言うと?」

「だから!」

「だから?」

「だから!もう…」

「だから?もう?」

「だから……その…ここで…」

「だから?ここで?」

なかなか別れを切り出せないケイティ。それを感じ取ったピーターは「…もう…ここでお別れと言う事…ですね…」突然の別れに笑顔が消えた。

ケイティは彼の顔を見ることも返事をする事も出来なかった。


言いたいことはたくさんあるのに言えないまま沈黙が続いた。


すると突然ピーターは少し小高い眺めの良い場所を見つけるとそこへ馬を走らせ「…あなたが無事森を抜け街へたどり着くまで、ここで、この場所で見守っています、だから安心してください」再び緑色の瞳を優しく細め微笑みながら叫んだ。


ケイティは何度も何度も何度もうなずいた。


街へ着く間、数え切れないほど後ろを振り返り小さくなる彼の姿を目に焼き付けた。木々に隠れて見えなくなってもそこに彼が居る、見守っていることが幸せだった。


ケイティの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。拭っても拭っても涙は溢れて出て、森が遠くなればなるほど涙はどんどんどんどん溢れ出た。目の前が見えなくなるほど。


街へ着くと「お嬢様!お嬢様が居たぞ!ケイティお嬢様!!」すぐさま屋敷の兵が駆け寄ってきた。

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