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背中
ちょっとした冗談で恥ずかしくブランケットから顔を出せなくなったケイティはそっと隙間を作りそこから彼を眺めた。
あぐらをかき傍らに弓矢を置いた大きな背中、栗色の髪と緑色の瞳。その瞳が焚き火の炎で硝子細工のように輝いていた。
服の上からでもわかるほどたくましい腕。日に焼けた肌、どれを取ってもケイティの【理想の王子様】にはほど遠かったが、なぜか彼から目が離せなかった。
ずっと眺めていたかった。
あの腕に、あの背中に守られ笑顔を独占出来る女性はどれほど幸せだろうか、人生を共に過ごせたら…ケイティは祈った、剣を握りしめて祈った。
「神様!どーかこれ以上彼を好きにさせないでください!!」
さすがに疲れていたのだろう、ケイティは剣を握りしめたまま眠りについていた。
寝息が聞こえてくるとピーターはホッとして彼女の方を見た「…困ったなぁ」そう呟くと照れた表情で鼻を掻いた。
空には月も星も無くただ闇だけか広がっていたが彼にとっては素敵な夜だった。
〈明けない夜はない〉と言われるように二人の森にも朝はやってきた。
「寒ッ!」あまりの寒さにケイティは目が覚めた。
【目が覚めるとそこは森だった】
「ここどこ!!??」
彼女は大きな声で叫んだ。
その声に驚いた森中の鳥が飛び立った。




