遺言
ケイティは頭の中で《リスト》を作っていた。
《無事戻ったらやる事リスト》
その1・剣を使えるようになる事
その2・薬草の勉強をする事
その3・ハーブを育てる事
彼女はなぜか彼にだけは幻滅されたくないと思っていた。本当は薬草の知識など無いことや何も考えずに無謀に森に入った事、彼だけには知られたくなかった。
もう二度と会う事は無いだろう、だけど今の自分を信じて疑わない彼の気持ちを裏切る事だけはしたくない。
ただ、この《リスト》今後項目が増えていく予感がしてならないのだ。
いつもならおしゃべりすぎる彼女が、不思議な感情からかほとんど話すことができず、そんな彼女の沈黙を埋めるようにピーターはいつも以上にしゃべった。
聞けば長い間床に伏していた父親が一月前亡くなりその跡継ぎである自分へ残した遺言に従って旅をしているとの事だった。
彼の父親は厳格で厳しく「領主たるものいざという時に皆を守れるほどの行動力、知識、判断力がなければ駄目だ」と常々言っていた、そんな父親だからこそ亡くなった後その役目を受け継ぐピーターへ思いを託し遺言を残していたのだ。
《遺言:我亡き後、その役目を継ぐ息子ピーターへ。
私が死んだらこの指輪をある人へ届けて欲しい。遠く離れて暮らす愛する我が妹ダーマのもとへ。
ともに苦労した小さな妹。指輪を渡せば彼女はわかるだろう。私が幸せであった事、愛されていた事、そしてその幸せのままこの世を旅立った事を。
その役目を無事終える事が出来たのならお前に全てを譲ろう。わたしの財産すべてを。
ただしそれには条件がある。
ピーターよ。愛する息子よ。
試練は一人で乗り越えていかなければならない、人を頼ってはいけない。自分の力で道を切り開き判断し解決するのだ。
お前を信じている。
リチャード・ランドール》
彼の首に巻かれた革紐には遺言書に書かれていた指輪であろう、それは、その指輪は美しい優しい光りを放ってた。




