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妖精

指が白くなるくらい強く手綱を握り夢中で馬を走らせた、獣達の鳴き声はもう聞こえない。見晴らしの良い岩場を見つけると「ここなら大丈夫かな…」そう言って男は軽やかに馬から降り、ケイティへ手を差し出した。


「ご心配なく!一人で降りれます!」馬の背にしがみついていたケイティは彼の手を払いのけ、一人で何とか降りようとしたもののなかなか上手くいかない、見かねた男は強引に彼女の腕を引き寄せ滑り落ちる彼女の身体を軽々と受けとめた。

「何をするの!離して!」身を固くし抵抗するケイティを男は平らな場所へ大切に下ろした。

揺らめくたいまつの灯りの下、はじめて男の顔を間近に見た。

王子さまにはほど遠いほどの日に焼けた肌、そして美しく優しい緑色の瞳。何よりもケイティを片手で楽々抱えられる腕は頼もしかった。


突然男は顔を近づけ彼女の顔をジッと見つめた。

「何っ!」ケイティは両手で男を押しのけた。「無礼者!」平手打ちをしたつもりだったが、男の背が高すぎて頬までは届かなかった。


「良かった、どうやら人間のようだ。余りにも美しくしいから伝説の森の妖精に出逢ってしまったかと思ったよ」


《伝説の森の妖精補足》

森で迷った男達を惑わし魂を奪うと言われている妖艶な妖精


ケイティは先ほどとは反対側の手を振り上げた。「失礼な人!あたしは男を惑わしたり!魂を取ったりしないわよ!」


「だから安心したんですよ」男はまんべんの笑顔を浮かべながら馬から荷物を下ろし始めた。

調子の狂う相手だ。


荷物をほどき始める男に向かって「何をしているの?早く先を急ぎましょう」ケイティは促した。しかし「闇雲に走ったので道に迷ってしまった上に今宵は星が無い、夜が明けるまでここで待ちましょう」と言い岩場近くにマントと袋から出したブランケットを敷きほじめた。


「!!…野宿ってこと!?」

驚くケイティを見つめ「野宿も楽しいですよ」と男はまたまんべんの笑顔をうかべた。

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