表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の骨  作者: 448 23
6/7

カラオケにて

「単刀直入に言おう。ボクは殺人鬼だ」

「知ってますよ」




 猫の死体を見つけたあの日、私は殺人鬼に出会った。ナイフを向けられて、殺されるんだろうと思っていたら、殺されなかった。よく分からない。

「ボクはね、泣き叫ぶものが好きなんだ。犬でも、玩具でも、なんでもいい。とにかく、叫ぶもの」

「狂ってますね」

 気遣いもなく言ってみると、彼はにやにやと笑っていた。なんだこれ、気持ち悪いぞ。

「仕方ないんだよ、これがボクなんだから」

 その言葉に、一瞬、身体が反応する。

 少し溜まった血。

 小さな身体。

 動かなくなった、猫。

「お先に失礼します」

 いまだに意地の悪い笑みを浮かべる殺人鬼を置いて、私はあの日いた場所へ向かった。



 猫があった。ぎりぎり猫と呼べるものが。

「……」

 骨が現れている。野良犬にでも、食い散らされたのだろうか。

「……」

 ハエが集っている。耳障りな音が聞こえる。

「……」

 死臭がする。鼻を刺激する匂い。

 私は、何も出来なかった。

 術が、ない。


 分からない。分からないものが分からない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ