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猫の骨  作者: 448 23
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帰り道にて

 この話は、筆者の実話+オリジナルとなっております。

「かわいいよねぇ」

「いや、かわいいのは里香(りか)さんでしょう」

 今日も一日の勉学を終えて、いつものように同じ景色を見ながら歩いていると、里香さんは突然そう言い出した。

 実は、彼女がこう言ったのは初めてではない。あの日も、場面は帰り道。塾が同じ私と彼女は、数少ない女の生徒ということで、たまに話していた。そのときにも言われた。

「かわいいね」

 彼女がこう言うのは、きまって私が笑っているときである。私は女性としての魅力がない。兄がいるせいだろうか、声は大きく心は狭い。全て兄のせいというわけではないけれど、声が大きいのは絶対に兄による影響だ。

「あのね、笑顔がかわいいの。笑顔!」

 そうやって笑いながら言う彼女の笑顔はとてもかわいいので、思わず笑ってしまった。



「おかえり」

 帰宅した私に声を掛けるのは、我が家一のぐーたらである兄だった。掛けられた声に返事をして、すぐに夕食を食べる準備をする。腹は空きすぎて、とても気持ちが悪い。

「ねえ、私ってかわいいかな」

「全然」

 顔がどうこうではなく、趣味の一致というだけで恋仲となった女性とは、まだ関係が続いているらしい。呪ってやりたい。面白そうだ。

「人によって、感じ方は変わるんだよ。笑うからかわいいとか、普段の表情がかわいいとか、関係ない」




「おっはよー」

「おー」

 元気よく挨拶してくる里香に、適当な返事をすると、このやろうと言いながら走り寄ってきた。

「ねえ、里香」

「何?」

「私は、いつもの里香が好きだよ」





 あったりまえじゃん!

 うちはね、笑ったあんたが好きだよ。

 なぜだか知らないが、「笑顔がかわいい」と言われた。

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