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第七話
あなたの名前は何ですか?
「………。」
人間について何か知っていますか?
「………。」
おかしいな…。翻訳機の故障だろうか。
前にゴキ子が言っていたように、止まっているかのよう…というか動かない生物のようだ。やはりこれが人間なのか?
「ちょっとそこのあんた、一体誰と話してるんだい?」
えっ?この生物とですけど?
どこから声が?
「上だよ上。そいつはもう死んでいるんだよ。けなげに主人の帰りをずっと待っているうちに、死んで石のようになったのさ。」
その主人というのはやはり…
「ああ、人間だよ。そしてそいつは人間に最も良く仕えている犬という種族さ。」
人間のために死んでもなお待ち続ける。その心意気に感服いたします。
ところで、あなたにお話をうかがってもよろしいでしょうか?
補足:我々は偶然居合わせた生物に話を聞くことにした。