序章 異変
序章 異変
変わらない自分、そんな自分が嫌だった。
何か変わろう、と思っていても結局は考え込むだけで一日が終わってしまう。
とにかく、考え込んでいてもしょうがないので、大学に行くことにした。
ここは大学が集まる都市「アナザーシティ」都市全体の6割が大学で出来ている都市だ。
ちなみに、俺の通っている大学は「国立黄燐大学」だ。
当然ながら、国立なので頭が良くないと入れない学校だ。
俺は頭がいい、だがそんな自分が嫌いだ。
ただ頭がいいだけでは面白くない、何か不思議なことでも起こって、不思議な力を手に入れるようにならないか。そんなことを考えていたが、あまりにも非現実すぎたので、考えるのをやめた時、俺はある異変に気が付いた。
「あれ…ここ何処だ」一瞬、俺は自分の目を疑った。いや、疑わざるをえなかった。
ありえないことが起きていたのだ。
崩れかけのビル、消えかけの街灯、凸凹している地面、どれもこれも近代都市では絶対に見ない光景だったのだ。
なんだか不気味だった。
身の危険を感じたのか俺は一刻も早くここから出なければと思い後ろを振り返った。
しかし一瞬にして希望は潰えてしまった。
道が無かったのだ。いや、正式に言えば道が消えていたのだ。
残っている道は真っ直ぐな道のみ。
前に進めという意味なのか。
しかしそこしか道はなかったので、仕方なく俺はゆっくりと前に進んでいった。
これから始まる不思議な、不思議な物語が始まるとも知らずに。