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消えるその瞬間まで

作者:
掲載日:2026/03/15

推しがいる、私の心の糧、私の心の潤い。

一時期は解散騒動もあったけれど、今ではすっかり仲のいいグループになっている。


ネットニュースを見ると、推しのグループが記者会見をするという、解散騒動は鎮火したばかりだから、他になにか不祥事があったんだろうか?

でもどんな事があっても、私は推しを推すことを辞めれない。


初めて推しに出会ったのは、とあるショッピングモールのイベント特設ステージだった、推しはキラキラしていて人生に投げやりになっていた私は、一瞬で心を奪われた。

曲を聴いてもっと好きになった。


それからは推しに夢中だ、もし推しがいなかったら生きていけないだろう。

生き甲斐なんだから。

ライブの日私は声が枯れるほど叫んだ、こんなに夢中になれるグループを作ってくれて、支えてくれたみんなに感謝しかない。


ライブが終わってしばらくの間は、毎日のように気分が良かったけれど、また推しの供給が足りなくなってきた。

次のライブ予定はしばらくない、ずっとイヤホンをして曲を聴くことにした。

仕事中はばれないように、片耳イヤホンだ、特に気に行っているのはライブバージョン。

推しに会えた日を思い出せるから幸せになれる。


推しの記者会見が始まる。

並んだメンバーの一番端に私の推しがいた。

他のメンバーはみんな鼻水を垂らして泣いている。

メンバーの人が高速道路で事故に遭って亡くなったという。

息を飲んでメンバーを数える

あれ?全員いるのはなんで?

推しも泣いている。

けれど全員ちゃんとそこにいる。

結局よく分からない会見だった。


暫くして、夜の音楽番組が放送された

あの人が薄れている、いつも私の推しといちばん仲良くしていたジローというメンバーだ。

私はうちの推しじゃなくて良かったな、と安心した、そんなこと他のファンには絶対言えないけど。


ある日推し活仲間で会うことになった、亡くなったメンバーの事でずっと泣いている、ご飯も喉を通らないと。

たしかに彼女の目は腫れぼったく、泣いたばかりの目をしていた。

私もジローが同じ目に遭ったら、耐えられないどころではないなと感じた。


人メンバーのかけたグループがテレビに出ている、ジローと仲のいい……あれ?名前はなんだったっけ?

そう感じた瞬間彼の姿がまた一段と薄まった、何故かジローもテレビ越しにほんの少し薄く見える、ジローには何も起こっていないはずなのに。

そうしている間にもジローはどんどん薄くなっていく。


私は慌ててテレビに手を差し伸べた、差し伸べた手は薄れている。

なぜ?なぜ?

そのうちどんどん消えていく。

ジローも消えていく。

ああ、私はあっちに行ってもジローを推せるんだ。


一瞬現実に引き戻される。

きいっ。

強い衝撃が走る。

不自然な方向を向いた友達の頭が、額ごとハンドルに押し付けられていた。

クラクションは押されたまま、耳をつんざくように鳴り続けている。





ここまで読んでいただきありがとうございます。

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