表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【1章終了】逃げ癖ハンターは立ち向かう 〜狩人の大精霊に憑依された底辺ハンターは魔物に溢れた現代で無双する〜  作者: 藤枝止木
1章 ハンター、大精霊に気に入られる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/45

第24話 ハンター、暴走ダンジョンを鎮める(1)


 降り立ったボス階層には、これまでの熱帯のジャングルとはまた違った風景が広がっていた。

 巨大な針葉樹と広葉樹が混在していて、こう、白亜紀の大森林という感じだ。今の地球上ではあまり目にしない植生である。

 そして何より、木々の枝の隙間から見える空の色が血のような赤に染まっていた。


「し、師匠…… この空、ウィングタイガーの時と同じ色だね……」


 トモミンが空を見上げながら不安げに言う。以前彼女と潜ったD級ダンジョン。そのボス階層で異常等級個体に遭遇した時の空がこんな色だった。


「ああ、そうだな。ここのボスはシールドトプスの筈だが……」


 シールドトプスは、顔面が巨大な盾のようになっているトリケラトプス型の魔物だ。

 突進がそのままシールドバッシュになっていて、攻守共に優れた強敵だが、攻略方法がかなり研究されている魔物でもある。そいつがそのまま出て来てくれたら楽なのだが……


 ゾワッ……


 そう都合良く事は進まないらしい。巨大樹の森の奥から、震えが来る程に凶暴な殺気が飛んできた。


「討伐陣形!」


「「応!!」」


 俺たちは瞬時にその方向へ向き直り、硬い表情で臨戦体勢を取った。後衛のノルフィナを背後に庇い、俺を中心にトモミンとシロが前に出る配置である。


 ズンッ、ズンッ、ズンッ……!


 直後、大地を揺るがす足音が高速で俺たちに近づいてきた。

 強まる威圧感にシロが身を低くして唸り、ノルフィナが冷や汗を流す。


「グルルッ……!」


「来ます……! 何か、巨大なものが!」


 --バゴォッ!!


 そして、巨木を小枝のようにまとめて薙ぎ倒しながら、森の奥からそれが姿を現した。


「ゴルルルルッ……」


 そいつは、以前何かで見たティラノサウルスそっくりの姿をしていた。

 直立した体高は十メートル、体長は尻尾も含めてその倍以上はある。とにかく巨大で、さらに体表は岩石のような甲殻で鎧われていた。

 巨体を支える両脚は大木の幹のように太く、大きすぎる頭部には刀剣のような牙が林立した大顎……

 そんな怪物が、発狂したかのような血走った目で俺たちを傲然と見下ろしていた。


”でけぇ……! なんだコイツ!?”

”完全にティラノサウルスやんけ。おててちっちゃい”

”ここダンジョンじゃなくてジュラシックパークだったのか?”

”なんつー迫力…… 画面越しでも震えが来ちまう……!”

”や、やっぱりダンジョン暴走中にボスに挑むのは無謀なんじゃ……”


『ま、まずいわ! あの魔物って……!』


 奴の登場にスマートグラス上のコメント欄が加速し、ドローンカメラから斉藤(さいとう)さんの悲鳴のような声が響く。

 あの姿、この強烈な気配…… 間違いない。


「クェイクティラノ……! 最強の亜竜と呼ばれるA級の魔物だ! みんな注意しろ! コイツの地魔法は--」


「グォォォォォッ!!」


「「……!?」」


 突然、クェイクティラノが重低音の凄まじい咆吼を発し、俺の声はあっさりかき消された。

 みんながその爆音に耳を塞ぎ、体を竦ませる。

 そしてその隙を突くかのように、奴がゆっくりと片足をあげ、その体を黄金に発光させた。


「まずい……! 上に跳べ!」


 咄嗟に背後を振り返って叫ぶ。しかし、みんなはまだ奴の咆吼に悶えていて、俺の声は届いていないようだった。

 絶望的な気持ちで前に向き直ると、ちょうど奴が脚を踏み鳴らす所だった。


 ズガァンッ!


 爆音のような音と共に、踏みしめた足を中心に大地がうねり、その振動波が高速で俺たちに迫った。

 俺は咄嗟に拳を振り上げると、それの到達に合わせて全力で大地を殴った。


「おぉっ!!」


 ドガァッ!


 奴の踏み鳴らしと同等の爆音が鳴り、地面が大きく抉れる。

 俺の拳によって振動波は大きく減衰したように見えたが、それでも完全には殺しきれなかった。

 小さくなった波が俺の足にふれた瞬間--


 ドンッ!


「うぐっ……!」


 両足から内臓、頭までを強烈な衝撃が貫いた。

 これが奴の振動波魔法だ。大地を踏み鳴らした衝撃を地魔法で増幅。振動波を波及させ、波にふれた敵を粉砕する…… 強力無比な対軍攻撃魔法である。

 以前見た上級パーティーのダンジョン配信では、新進気鋭だった強力なハンター達がこの魔法一発で全滅していた。


 S級並みの身体強度を持つ俺には、地面を殴って威力を殺した事もあって大きなダメージは無い。けれどB級やC級水準のみんなには、減衰した振動波でも致命的なはず……!

 再び背後を振り返ると、俺が地面を殴った事で察してくれたのか、シロとノルフィナは上に跳んで振動波を飛び越えていた。

 その事に安堵するも、奴の咆吼に耳だけでなく目まで閉じてしまっていた彼女は……


「トモミン!」


 悲鳴のような声で再び叫んだけれど、やはり俺の言葉は届かなかった。

 無防備な彼女の足元に振動波が到達した。


 ドンッ!


 分厚いタイヤを思い切り殴ったような音が響き、彼女の体が大きく震えた。


「痛っ!? コフッ……!」


 驚愕に見開いた両目から、両耳から、鼻から血を流し、さらに吐血しながら、彼女は仰向けに倒れ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんばんは。 振動波系はキツいですよね…。物理的に防具や肉体を貫通して内部にダメージ→波の外に行くか、同じ揺れの振動波で弱める位しか回避手段ないですし。 まともに食らったトモミン大丈夫か?戦闘不能だ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ