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【1章終了】逃げ癖ハンターは立ち向かう 〜狩人の大精霊に憑依された底辺ハンターは魔物に溢れた現代で無双する〜  作者: 藤枝止木
1章 ハンター、大精霊に気に入られる

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第15話 ハンター、エルフと子犬を拾う(2)


 エルフ氏とでかい子犬を抱え、非常に目立つ状態で走っていた俺たちは、幸い誰にも目撃される事なく自宅に戻ることに成功した。

 すぐに空き部屋に布団を敷き、エルフ氏をそこへ寝かせてた所で、今度は玄関のチャイムが鳴った。

 トモミンと一緒に出迎えると、そこには総白髪で柔和な顔つきの老紳士が立っていた。


「しゃくじーちゃん! 電話したのさっきなのに、もう来てくれたんだ! ありがとー!」


 トモミンがその紳士の手を取ってブンブンと手を振る。彼がトモミンの友達の医者らしい。


「ほっほっほっ、いいんじゃよ。トモミンの頼みじゃからの。おや、そちらは……?」


 初対面の紳士の視線に、俺は少し緊張気味に頭を下げた。


「は、初めまして。ハンターの狩山(かりやま)です。トモミンの師匠という事になってます」


「うむ、トモミンの配信で見て知っとるよ。ワシは石神井(しゃくじい)。隠居間近の医者じゃ。会えて嬉しいわい。それで早速じゃが、患者はどこじゃな?」


「どうぞ、こちらです」


 石神井(しゃくじい)先生をエルフ氏の元へ案内すると、彼はテキパキと治療の準備を始めた。

 そして処置が始まる直前、俺はトモミンに部屋の外へ追い出されてしまった。


「そ、そりゃそうか。治療のためにエルフ氏の服を脱がせたりもするだろうし。自分で気づくべきだったな……」


「クゥーン……」


 一緒に追い出されてしまった子犬君が、俺と部屋のドアを見比べながら不安そうに鳴く。


「大丈だよ、トモミンの友達の先生なんだ。きっと君の友達も良くなるさ。あ、お腹減ってないか?」


「ワフン?」


 俺は子犬君を連れて台所に行くと、熊野郎の肉を茹で冷まし、彼に差し出してみた。

 すると余程お腹が減っていたのだろう、彼は結構な量をペロリと平らげてしまった。


「ワフッ、ワフン!」


 お腹が満ちて不安な気持ちが和らいだらしい。彼はご機嫌に尻尾を振りながら俺にじゃれついて来た。


「ふふっ、美味(うま)かったか? 俺も好きなんだよ、その肉」


 そうして子犬君と戯れている内に時間はあっという間に過ぎ、トモミンが処置の完了を知らせに来た。

 全員でエルフ氏の部屋へ戻ると、彼女は各所を包帯でぐるぐる巻きにされた状態になっていた。


「クゥーン……」


 子犬君がエルフ氏の枕元で不安げに鳴く。さっきより顔色は良い気がするけど、まだ意識は戻らないみたいだ。


石神井(しゃくじい)先生。彼女の具合はどうでしょう?」


「うむ。まず、身体中の傷は全て処置しておいたぞい。軽い脱水症状も起こしておったので点滴もの。(じき)に目を覚ますじゃろうて。

 山で傷だらけでの所を見つけたという事じゃから、本当なら抗生物質も処方しておきたい所なんじゃが……」


 先生はチラリとエルフ氏の耳に目をやった。


「このお嬢さんは少々変わっておるようじゃからのう。ワシらの常識に合わせて薬を出して良いものか分からんかったのでな」


「ごめんねしゃくじいちゃん。電話でも話したけど、その子ちょっと訳ありなの。僕らもまだ状況がよく分かって無くて……」


「ほっほっほっ、謝る必要は無いわい。お主の事じゃ。訳ありと分かっていても放って置けなかったのじゃろう? 相変わらず優しい子じゃわい。

 さて、それじゃあワシは行くぞよ。また何かあったら呼んでどくれ」


「うん! ほんと助かったよー!」


「ありがとうございました、先生」


 そうして石神井(しゃくじい)先生見送ってから暫く経ち、そろそろお昼になるという頃。


「うっ……」


 小さな呻き声と共に、エルフ氏が(うっす)らと目を開けた。


「あっ…… 師匠! エルフちゃんが起きたよ!」


「ああ! 君、大丈夫か……?」


「ワンワン!」


 目覚めてすぐの彼女はぼんやりとしていて、俺たちの声に全く反応しなかった。

 しかし段々と目の焦点が合っていき、ギョッとしたように俺たちに気づいた。


「**…… ***!?」


 バッ!


 すると彼女は、何事かを叫びながら一瞬で部屋の壁際まで飛び退いた。さらに俺達を睨みながらその体を青く発光させ--


 ピキキキッ……!


 周囲に何本もの氷柱(つらら)を生成した。

 氷柱(アイシクル・アロー)の魔法……!? それに今の身のこなし、只者じゃない……!


「ま、待ってくれ! 俺たちは敵じゃない!」


「ストップ! ストーーーップ!」


 冷たい殺気を撒き散らすエルフ氏に、俺とトモミンは揃って両手を上げて敵意が無さアピールした。

 しかし言葉もジェスチャーも通じないらしく、彼女の敵意は全く緩まず、一触即発の緊迫した状況が続く。

 そんな中、エルフ氏と俺たちの間に子犬君が割って入った。


「ワフッ…… ワンワン! ワンワンワン!」


「***……!? **、***……?」


 まるで仲裁するかのように必死に鳴く彼に、エルフ氏の殺気は霧散。彼女の周囲に生成された氷柱も消失した。


「ふー…… よかった。助かったよ、子犬君。けど彼女の言葉、一体何語なんだ……? トモミンわかるか?」


「うーん、わかんない。僕、百ヶ国くらいの国に友達がいるけど、エルフちゃんの言葉は聞き取れなかったよ……」


「百ヶ国って、友達百人どころの話じゃないな……」


 そういえばこの弟子、結構頻繁に海外旅行ロケやってたな。その彼女が聞いたことがない言語って…… やっぱり、彼女は地球じゃないどこかから来たのか?

 そのエルフ氏はというと、目に涙を溜めながら子犬君を抱きしめている。子犬君も嬉しそうに尻尾を振っていて、見ていて非常に癒される光景だ。


「あー、その、良いかい? 少し話を聞かせてもらいたいんだが…… いや、言葉が通じないのか…… どうしよう」


 おずおずと話しかけると、エルフ氏は少し気まずげにこちらへ顔を向けてきた。そしてなぜか俺の胸元を凝視し…… 驚愕した様子で目を見開いた。


「***……! *****!」


 そして突然何事かを叫ぶと、まるで土下座のような姿勢で俺に(こうべ)を垂れた。


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