表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/60

第四十九話『雪嵐の姫と銀狼の牙』

「お前たちのおかげであのオーバーロードシルクワームを倒せた」


 そうサンフォイザさまが礼をいった。 オーバーロードシルクワームが死んだことで、他のモンスターも散り散りになっていった。


「ええ、まさか羽化するとは思いませんでしたね」


「ああ、俺が見た時もイモムシだったからな...... お前たちがいなければさすがにやばかったぜ」


 そうサンフォイザさまは笑顔で答えた。


(この人が本当に裏切っているのか。 わからない......)



「あのモンスターは魔力結晶はなかったですね」


 馬車の中でルエルがそういった。 俺たちはルデアナ女王から城へ招かれていた。 サンフォイザさまは面倒だといって帰っていった。


「では帝国の関与はなかったということか」


 シャガがほっとしたようにいう。


「......そうとは限らない。 前も帝国かはわからないが、禁獣を転移させたやつもいた」


 そういいながら、ゼグドのことを思い出す。


「なら帝国の関与も否定できないな」


「ですがお二人は、この国の危機は救いました。 その事は事実なので胸を張りましょう!」

  

 ルエルは鼻を鳴らし、胸を張った。


「まあ、そうだな!」


 それにあわせてシャガも簡単にいった。


(シャガもお調子者だな)


「おっ! ついたぜ」


 シャガはルエルとはしゃいでいった。


 

 城にはいる、雪のように白いその城は美しかった。 王の間に通された俺たちは白い髪の女王の前で膝まずいた。


「そなたたちがナナミどの、シャガどのか。 私はこの国の女王、【ビルディオラ】。 此度の一件、そなたたちのおかげで我が国は救われた。 感謝しよう」


 そう女王が礼をいう。


「ええ、ですが、サンフォイザさまがあの禁獣を倒しました。 我々はその手伝いをしたまでです」


「聞いておる。 しかしそのサンフォイザどのが、そなたらの功績を高く評価しておったとも聞いている」


 そう女王は微笑んだ。 しかしすぐ真顔になり、困惑した表情を浮かべた。


「なにか......」 

 

「ふむ、そなたらに助けられたので、申し上げにくいのだが、もうひとつ頼みごとをしてもよろしいか。 もちろん報奨はとらそう」


(報奨......) 


「なにかようなんですか?」


 シャガが聞くと、女王は眉間にシワを寄せ語り出した。


「ああ、この国に禁獣がおることはしっておるな」


「ええ」 

 

「その禁獣はかつて、我が祖先が話して封じた。 その封印が解けかかっておるのだ。 あの者がよみがえればこの国が危ぶまれる...... 我が娘が勝手に向かっている。 止めてほしいのだ」


(禁獣を姫様が)


「お止めすればよろしいのですね」


「ああ、禁獣は悪ではない。 倒してはならぬ。 兵士も向かわせておるが、あの子が言うことを聞くとは思えない。 すまないが力ずくでここまで引きずってでもつれてきてほしい」


(姫様を連れ戻す...... か。 この国とも懇意にしておいたほうがいいか。 それに親として子供が心配なのはわかる......)


「わかりました。 私たちが連れ戻します」


「あの子は西の遺跡に向かった。 行く道は険しい。 今からなら追い付けるはず...... 頼みましたぞ」


 そう女王から頼まれた。


「おいおい、姫様の子守りかよ」


「そうぼやくなよ。 女王が困ってるのはわかるだろう」 


「そうですよ」


「わかったよ。 やるよ」


 俺たちはその【メリカ】姫を連れ戻しに西にある遺跡へと向かった。



「かなり吹雪いているな。 姫様は大丈夫なのか」


 シャガがそういう。 吹雪の中、俺たちは姫様を探して山道を進む。 兵士たちは吹雪で動けず止まっていた。 吹雪が強い中では遭難の可能性があるため、彼らをとどまらせて俺たちは先に進んだ。


「ああ、俺たちはエトゥロで飛びながら移動しているが、姫様は歩きだろう。 どこかに倒れてないか。 調べながら行かないと」


「その姫様は召喚士らしいな」


 そうシャガがいった。


「ルエル感知できるか......」


「吹雪なので集中力が保てなくて......」


「まあ、確かにこの吹雪で集中できないな...... エフェネも無理だな」


「なんなのよ! この吹雪!!」


 吹雪で音もかき消される中、大きな声が響き渡る。 近づくと白い髪の少女が地面を踏みながら怒っている。


「まさかあれか......」


「こんな山奥にいるんだから、だろうな」


「ずいぶん元気なお姫様ですね......」


 あっけにとられていた俺たちに姫様は気づいた。


「あんたたちだれ!? まさかお母様からの追手! 帰らないからね!」


「いえ、帰っていただきます」


「いや! 私は禁獣を封印するんだから! あいつのせいでこの国は吹雪がやまないのよ!」


「わがままいうな。 力づくでも構わないと、いわれてんだよ」


 そうシャガが近づくと、姫様はニヤリと笑う。


「私を止められるとでも...... 【クターニャ】」


 姫様が呼ぶと、空間が歪み銀の狼が現れた。


「狼...... ジアルガ!!」


 シャガが呼ぶと、ジアルガは雪をかき分け銀の狼をつかもうとする。


「遅いわよ!! クターニャ、遊んでおあげ!」


 銀狼は雪を沈むことなく跳ね飛びながら、ジアルガの腕に噛みつき投げ飛ばした。


「なっ!!?」


(この雪の上を沈まないのか...... なんの能力だ。 氷や雪...... 違うな。 それにかなりの重さのあるジアルガを簡単に投げ飛ばした) 

 

「くそっ!! なんだ! ジアルガ! 跳んで地面を叩け!」


 ジアルガは跳んで地面を叩いた。 その衝撃で銀狼は大量の雪に飲まれた。


(うまい...... なに!?)


 雪に飲まれたと思ったが、雪は狼を飲み込まず、音もなくそのまま落ちた。


(なんだ!? 今のは...... 沈むこともなく、ただ落ちた)


「そんなものは無駄よ!」


 狼が飛ぶとジアルガを踏みつけた。


 ドオンッ!!


 衝撃音がとどろくとジアルガが地面にめり込んでいる。


「ジアルガ! 戻れ!」


(あのジアルガを地面に...... なるほど、そういう力か)


「どうするよ? あの姫さん、けっこうやりやがる」


 シャガがいった。


「ああ、俺がやる」


「はぁ? 見たでしょ。 あんたたちじゃ私を止めるなんて無理ね」


 そう姫様は笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ