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第四十八話『糸の王獣と禁獣の影』

「ふぅ、こんなものか」


 サンフォイザさまが余裕で帰ってきた。 周囲には大量のモンスターの死体がある。


「すごい...... あの数の大型をたった一人で」


「ああ、王契将って化け物だな」

 

(リルもこんなことができるようになるのか...... すごいというべきか、なにか複雑な気持ちだな)


「これで解決ですね」

 

「......いや、違うな」


 サンフォイザさまは考えるようにいった。


「なにがですか?」


「こんな風にモンスターが集まることは奇妙だが、前例がないわけでもない」


「本当ですか!?」


 俺たちは驚いた。


「ああ、モンスターにはモンスターを操れるやつもいた。 かつて多くの町や国を焼いた。 禁獣がな」


「禁獣......」


「そいつはここにいると?」


「わからんが、調べないとまた同じことが起こるぜ」


 その日は砦に泊まると、次の日、砦を隊長に任せ、俺たちは探索に出掛けた。



「本当にモンスターを操る禁獣がいるんですか?」


「ああ、俺が子供の頃、そいつを見た」


「確か、サンフォイザさまは今はない東の【ザンケストラ】出身でしたよね」


 シャガがいうとサンフォイザさまはうなづいた。


「そうだ。 俺の故郷はそいつに滅ぼされた」


「こんな北にその禁獣がきた......」


「わからんが、そいつはモンスターを従えていたのは確かだ。 俺の国にはかなり腕のある召喚士がいたが、そいつにみんな殺されちまった」


 そう遠くを見ながらサンフォイザさまは歩きながら語る。


(国ひとつを滅ぼせる禁獣......)


「三人では...... 危険なのでは」


「そうだな。 ただ弱い奴らがいくらいても、そいつらを守りながらじゃ戦えん。 やつがモンスターを操るにはかなり近くにいないといけないはず...... 今すぐには王契将も集められん。 早くしないと逃げられたらことだ」


「ルエル、なにか感じるか」


「この先の山に巨大な魔力を感じます...... ただ、かなりの数が周りにいますよ」


 そう緊張気味に答えた。


「間違いないそいつだな......」


 サンフォイザさまが拳を握る。 


「お前たちは取り巻きのモンスターを狩れ。 俺が禁獣をやる」


「わかりました」


「了解」


 俺たちはルエルの導きで山に歩を進めた。


「あそこです......」


 木々の間から遠くにいるモンスターがたくさん見える。 その中に紫色の巨大なイモムシがいた。


「あいつだ...... 【オーバーロードシルクワーム】だ。 バルブロバス......」


 サンフォイザさまは王獣を出した。


「お前たちは周りを一掃してくれ」


「ええ、クアト、ザッファ」


「ジアルガ」


 俺たちは界獣を出し構える。 


「いくぞ! バルブロバス!」


 バルブロバスは糸を出すと木々に張り付けると、振り子のように木々を飛び周る。


「速い!」  


 俺たちは後をついていく、イモムシに近づくと、イモムシの体から紫の煙がでて周囲をつつむ。


(これは......)


 モンスターたちがイモムシを守るように動き出した。


「ナナミ、他のところからもモンスターが集まってくるぞ!!」


「やれ! クアト!! シェリー!!」


 集まってくるモンスターを排除していく。


 サンフォイザさまはイモムシの上を飛びながら糸を繰り出すと、その体を攻撃している。 しかし、その体は斬れず弾かれている。


(あのモンスターを切り裂く硬糸が全く効いてないのか!)


「なめるなよ!!」


 サンフォイザさまの背中にいたバルブロバスの六つの脚から糸が吐き出し、 それはサンフォイザさまの腕に巻き付くと、その形は巨大な戦斧のような形になった。


 ザッシュ!!


「ギィィイッ!!」


 糸でできた斧はイモムシの固い表皮を切り裂くが、身をよじると口から広範囲に糸を吐き出した。


「ぐっ!!」


 その糸は近くのモンスターごとサンフォイザさまを木に張り付けた。 モンスターたちがサンフォイザさまに群がる。


(まずい!!)


「エトゥロ!! ザッファ!!」


 エトゥロでザッファをサンフォイザさまの前にだし、突風でモンスターを吹き飛ばす。 シェリーでイモムシの糸を貫いた。


「サンフォイザさま! その鏡にはいってください!! 空に飛ばします!」


「わかった!!」


 サンフォイザさまがエトゥロにはいると、イモムシの上空にでた。


「うおおお!!」


 そのままサンフォイザさまは糸斧でイモムシの背を切り裂いた。


「ギィィイィ!!」


 強烈な打撃をうけたイモムシはそのまま動かなくなった。


「やったか!!」


「いや、動く......」


 イモムシの背中が割れ、なにかが空へと飛び出した。 それは巨大な蛾だった。


「羽化したのか!?」


 蛾は空に舞い上がると、光る鱗粉を撒き散らした。 それは触れると発火し、地上の木々やモンスターたちを見境なく焼いた。


「こいつの鱗粉、燃えやがるぞ!!」


「ああ! まずい!! 延焼する!」


「こいつ!!」


 サンフォイザさまは糸を放ち蛾を木々に固定した。


「俺がこいつを止める! お前らこいつをやれ!!」


 サンフォイザさまは叫んだ。


「シャガ! ジアルガを飛ばす! お前の剣を渡してさせ!!」


「わかった!! ジアルガ!!」


 ジアルガをエトゥロで蛾の上に飛ばした。 ジアルガは剣を蛾に突き刺す。


「ギォォォォオ!!」


「こいつで! エトゥロ!!」


 俺は短剣をぬくとありったけの魔力を注いで剣をふる。 すると雷撃が放たれ蛾に刺さったシャガの剣に吸い込まれるように当たった。


「よし! 任せろ!」


 糸を切ると蛾は地面に落ちてくる。 サンフォイザさまは糸で飛ぶと、両腕を斧に変え、落ちた蛾を切り裂いた。



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