キャロルサイド
「どういう状況?」
口に出すつもりはなかった。ただ心がもういっぱいで、頭の中もいっぱいで理性が働かず、つい口に出してしまった。
「ああ。そういえばそこの説明をしていなかったね」
そのついが
「色々というと混乱するから結論を言うね」
予想だにしない方向へと流れを変えてしまった。
「キャロル。君を消すために来たんだ」
ノアは料理を食べつつ、なんてことない日常会話をするみたいにいった。迷いなく。まっすぐに私を見て。
「え?」
「急にこんなこと言われても混乱するよね。だけど、一度死んだ人が蘇ってはいけないっていうのが世界のルールだからさ」
と淡々と言うけど、理解が追いつかない。ただ一つわかったことはノアーー主神自らの手で私を消しに来たということ。
「ごめんね」
ノアはフォークを置いて前方ーー私へと手を向けると
「すぐに終わるからね」
私へと黒い円を出現させ放った。
「これも輪廻を守るためだから」
ノアの放った黒い円はゆっくりと飛んで私の前方で止まると
「ブラックホール」
周囲のものを吸い込みながら拡張し、私へと迫った。
「っ!ホーリーライト!」
と同時に理解した。この黒いモノは触れたら命はないということが。だからとっさに闇魔法のツイとなる光属性(聖属性)の魔法を行使した。
「お、いい勘してるね」
私のとっさの判断は正しかったようで、ブラックホールとぶつかった。白と黒の押し合い。
「やるね。人間にしては」
主神は余裕しゃくしゃく。一方で私は抗うことに必死で持てる魔力の全てをかけていた。
「っ!」
力の差は歴然ーーこれ以上ブラックホールに魔力を注がれたら、すぐにでも飲みこまれておわる。
「でも、これで終わりだね」
ノアは笑顔を浮かべるとブラックホールへ、さらに魔力を注いだ。拡大するブラックホールが、私の展開するホーリーライトを飲み込んでゆく。
(くっ!)
迫りくる2度目の死ーー2度目だから新鮮味がない走馬灯が頭を駆けめぐる。だけど2度目だからか走馬灯を通して気づいたことがあった。
"忌み子が"
父やその家族、家族を恨む村民、そして母ーー全てにうとまれ、否定され、拒絶された。
(そうか)
本当は認めてほしかった。でも、言ったとしても聞いてもらえないとあきらめていた。
(もし本心を伝えていたら)
何かが変わっていたかもしれない。耐えるばかりではなく伝えていたら。だけど気付いても遅い。
「さようなら」
闇が私を飲み込んだ。
「キャロル!」
………
……
…
終わった。2度目の死。今度こそキャロルとしての人生を終えた。
「……」
誰かの呼ぶ声が聞こえる。もしかしたら転生というものをしたのかもしれない。今度はどんな人生が待っているのか不安を覚えつつ目を開けた。
「キャロル!」
どんな両親だろうと目を開けたら
「……レオン?」
そこにはレオンがいた。




