後日談(街へ)キャロルサイド
「早くしろ。門が閉まるぞ」
太陽が沈む夜のとばりがもうすぐそこまで迫る。
「待ってくれ」
半身がヘビの女性、ガイコツの商人、傭兵の豹人、ダークエルフの冒険者ーー様々な種族が私とレオンの横を通って街へ入っていく。
"明日、街へ行ってみないか?"
昨日、農作業を終えて木陰でお昼を食べている時、レオンに誘われた。
"……いく"
湖に行けなかったから今度こそ2人でしっかりと出かけたいと言っていた。楽しそうだし、レオンと2人ならと了承した。
『街』ーー人族ではないけど、多くの魔種族が暮らしている。
"おい、領主の忌み子だ"
"聖女様!私を助けて下さい!"
昔から「街」というものに、人の集まるところにいい思い出がない。怖くて、面倒で、苦しい場所だった。でも、レオンが一緒なら大丈夫な気がした。
「どうした!早くこちらへ来い!」
そう思っていたけど、いざ目の前にすると。
"忌み子が"
"聖女様!"
過去のことだとわかっているけどーー身体が動かない。前に進まなくちゃと思うのに。
「……すぅぅぅ」
下を向いて目をつむった。そうするといつも気持ちが落ち着いて……だから今日もきっと。
「ふぅぅぅ」
大丈夫。
"キャロル"
私は1人じゃない。だからきっと
(大丈夫)
目を開けて隣を見た。
「行こ」
大丈夫。私の横には確かにレオンがいる。
「うん」
私とレオンは手を握って門を潜った。そして街に入って
「……なんだ」
恐れていたことは起こらなかった。何も。誰も私を見ないし、噂もしない。睨むこともなく過ぎ去っていく。
「ありがとう、レオン」
「ふふ、今日はお礼を言われてばっかりだね」
「ふふ。行こ」
街に入った私とレオンは買い物を楽しんだ。




