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キャロルサイド

「だれか、誰か助けて!」


消滅していく。腹違いの妹にだけど


「誰か助け……」


なんの感慨も浮かばない。


「さよなら」


エクストラヒールにより傷は癒えた。エリザベスという脅威も去った。だけど、


「レオン」


レオンが目を覚さない。


「レオン!」


やだよ。目を覚ましてよ。


「エクストラヒール!エクストラヒール!」


死なないで。1人にしないでよ。私のそばにいてよ。


「エクストラヒール!」


私を守るって約束したじゃない。もう戦わなくていいって。これから先。


「エクストラヒール!」


まだ植えたばかりの野菜一緒に育てようって、また街に出かけようって


(約束したじゃない……)


失いたくない。私は何度も何度もエクストラヒールと唱えた。それでもレオンが目を覚ますことはなくて。


「また一緒にあの星空を見ようよ!ねぇ!レオン!」


だけど私はそれでもレオンを呼んだ。キセキが起こるかもしれないとかそんなことは頭になかった。ただ私にはもう魔力がなくて名前を呼ぶことしかできなくて。


「起きてよ!レオン!」


それしかできなくてーー祈るように。祈ってどうにかなることなんて今までなかった。祈ったところで届くはずがないって知ってる。でも、祈ることしかできなくて。


(お願いします。どうかレオンを逝かせないでください)


涙が溢れた。すがるしかない自分に腹が立った。母を失って、聖女として力に目覚めた。どんな怪我も病も治せるようになった。なのにどうすることもできない自分に腹が立った。


(どうか。今だけでいいんです。こんなに誰かが大切で失いたくないって思うのは母以外で初めてなんです)


もう大切な誰かを失うのなんて絶対に嫌だ。だからすがった。すがってすがって、祈った。


"大丈夫よ"


もう声も上がらなくなって、喉がかれて、血を吐いた。それでも祈っていたら


"もう大丈夫"


優しい声がした。その声はそれだけいうと私の頭を撫でて消えていった。


(……お母さん?)


聞き覚えのある声だった。


「がはっ!」


だけど今はそれよりも


「っ!」


レオンが目を覚ました。


「きゃろ、る?」


それがもう嬉しくて


「レオン!」


私はレオンに飛びついて


「レオン!!」


「いたたたた!ちょ、きゃ、きゃろる!」


思いっきり抱きしめた。感触、匂い、耳から聞こえる声ーーその全てが


(レオンだ!レオンがいる!)


レオンがここにいると教えてくれる。


「レオン!」


嬉しい。廃墟と化した聖王国王都に私の声がこだました。


「だから、痛いってぇ!」


泣き叫ぶレオンの声もこだました。


(お母さん。ありがとう)

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