魔王サイド
ワシの名前は「リーラ」と申します。魔王をやっとります。200年くらい。
そんなワシはずっと戦いに明け暮れて、気づくと魔王になっておりました。戦いこそがワシの人生と言えます。
ですから戦い以外は何もないのですじゃ。なのに
"お困りごとがあれば何なりとご相談ください!"
というてしまったばかりに
「リーラ!」
今ではレオン殿の恋愛相談の相手をしておりますじゃ。1000年生きて、ずっと戦いしかしてこなかったワシに
「女の子がため息をつく時ってどんなときなんだろうか!」
どんな相談しとるんじゃっ!ーーつい力が入ってしまって決算書を獄炎で消し炭にしてしまった。
「いつも笑ってくれるのに、時折りため息をこぼすんだ」
しかしレオン殿はワシの事情なんぞ知らない。ゆえに安心しきった顔で悩みを話してくる。
(くぉぉぉ……なんとかしてやりたい)
レオン殿からの信頼は素直に嬉しくもあり、なんとかしてやりたいと思うのじゃが、
(なんとかしてやりたいのじゃが……わからん!)
確かに若いときは女を見るとドキドキした時期もあったが、とうの昔すぎて忘れてしまった。
「これはどういうことなんだ、教えてくれ!リーラ!」
しかし答えないわけにもいかず
(ど、どうすんじゃ!ごまか……嘘はいかん!それは人として良くないのじゃ!)
悩みに悩みワシの出した答えは、
「お、思ってることをそのまま言ったらいっすよ」
果たしてあってるのか。レオン殿は納得してくれるのか。
「な、なるほど!さすが魔王ーーリーラ」
納得してくれたぁ!ーーレオン殿は顔を輝かせて
「ありがとう!また何かあったら頼むよ」
満足そうに執務室を飛び出して行った。
「……乗り切ったぁぁ!」
しかし油断はならない。
(次の相談に備えて恋愛小説とやらを読むかの)