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ざまあサイド
聖女に就任して1週間が経った。
「聖女さま!」
「私が先よ!」
「ぼくを一番に治してください!」
私は光に満ちた日々を送っていた。あの生意気なキャロルを聖女の座から引きずりおろして自分のものにした。国民は新しい聖女の私をあがめ、誰も私に逆らわない。
「ぎゃああ!」
「こっちに早く布を持ってきて!早く!」
「は、はい!」
最高だった。1日前までは。
(なんなのよ)
無数に横たわる死傷者たち。キャンプの外では今も村を守るべく騎士たちが魔物と戦っている。
(こんなの聞いてないわよ)
ずっと描いていた聖女生活はもっと贅沢で華やかなはずだった。なのに
「聖女様しっかりしてください!」
「……え」
「聖女様こっちの方の治療をお願いします!」
理想とかけ離れすぎた現実が目の前にひろがる。
(こんなの、こんなの私が思い描いた聖女生活じゃない)