キャロルサイド
主神の騒動から2日が経った。朝日が昇っているというのにひんやりとした白いモヤが光を阻み、1メートル先がかすかに見える。
「本当にこっちで大丈夫?」
だから気を抜くと木に頭をぶつけたり、小石につまずきそうになったりしてしまう。
「大丈夫」
レオンは私の手を引いて前を歩いていく。
「なら、いいけど」
魔の森に入って2日、私の魔力探知をもとに森を進んでいたけど、目的地である魔王城に辿り着けず何度も森の外へと出てしまった。
「魔力探知で魔王の位置はわかってるのに」
目的地はわかってるのにたどり着けない。
不思議だった。
「案内する」
ただ進んでいればそのうち着くだろうと思って進もうとしたら、額に手を当てて目をひくつかせたレオンが、私の手を掴むと先陣を切って進みはじめた。
(むぅぅ)
ときどき襲ってくる魔狼やオーガの群れを倒しつつ進んだ。
(こうなったら戦闘で役に立つしかない!)
意気込みを新たにドラゴンゾンビを滅した。目の前にはどす黒い大きな城がそびえ立っている。
「……」
その禍々しさに圧倒された。でも、2人ならなんとかなる気がする。私とレオンは静かに頷きあうと
「行こう」
「うん」
魔王城への扉を開いた。